◎マルク・ルッテ首相「一言でいうと、オランダは明日、ロックダウンされます」
2021年12月18日/オランダ、首都アムステルダムの広場(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

12月18日、オランダ政府は欧州で猛威を振るうコロナ変異ウイルス「オミクロン株」の感染拡大を抑えるために、施行中の部分封鎖を強化すると発表した。

マルク・ルッテ首相は記者団に、「私は今夜、憂鬱な気分でここに立っています」と語った。「避けられません。皆さんもそう感じているでしょう。一言でいうと、オランダは明日、ロックダウンされます」

政府は先月、飲食店などに営業時間の短縮を求める部分封鎖を施行したが、新規陽性はその後も増加し続け、11月末の1週間あたり陽性数は22,000件を超えた。なお、1日当たりの死亡者は50人前後を維持している。

新しい制限は12月19日の0時に発効する。政府によると、集会の人数はより厳しく制限され、プロスポーツ以外のイベントは原則禁止されるという。12月24日~26日と元旦に自宅に招くことができる客は4人まで。

<オランダの全国封鎖 12月19日~1月14日(予定)>
・必要不可欠な施設(病院、インフラ関係企業、薬局、ガソリンスタンドなど)は営業を継続。

・スーパーマーケットの営業時間は20時まで。

・レストランやカフェなどの飲食店はデリバリーのみ可能。アルコールを提供する店は閉鎖。

・必要不可欠でない施設および店舗(カジノ、サウナ、美容院、サロンなど)も閉鎖。

・プロスポーツ(無観客)以外のイベントは禁止。

・学校(小中高大学)は1月9日まで冬休み。

・自宅に招くことができる客は1家族1日2人まで。12月24日~26日と元旦は4人まで。

ルッテ首相は「オミクロン株の感染拡大と第5波を抑えるために協力をお願いしたい」と国民に強く呼びかけた。

欧州で制限を強化した国はオランダだけではない。

フランス、キプロス、オーストリアは入国制限を強化した。パリの自治体は大晦日恒例の花火大会を中止すると発表した。おとぎの国デンマークは劇場、コンサートホール、遊園地、美術館などに閉鎖を命じ、アイルランドは夜間外出禁止令で飲食業界を打ち負かした。

ロンドンのサディク・カーン市長は18日の新規陽性が26,000件を超えたことに深刻な懸念を表明し、感染爆発を「大事件」と呼んだ。イギリスの18日のオミクロン症例数は10,000件を超え、ボリス・ジョンソン首相の度肝を抜いた。

欧州の盟主ドイツの保健相は18日、「オミクロン株は第5波を解き放つだろう」と述べ、英国人の入国を原則禁止すると発表した。

ドイツ通信社などによると、首都ベルリンの中心部で数千人規模の反政府集会が開催され、一部の暴徒と警察が衝突したという。ケガ人は報告されていないが、数十人が拘束されたと伝えられている。

ルッテ首相は「国民のため息が聞こえる」と語った。「クリスマスのちょうど1週間前の全国封鎖を残念に思います。今年のクリスマスも私たちが望んでいたものとは全く異なるものになりました」

オランダ公共放送などによると、首都アムステルダムの小売店やデパートはクリスマスプレゼントを購入する人々で混雑したという。AFP通信の取材に応じた男性は、「予約したクリスマスプレゼントを受け取りに来た」と語った。「オランダは封鎖されるようです...」

オランダの保健当局によると、オミクロン株の割合はまだ国内の新規陽性の数パーセントに過ぎないが、来年初めにはデルタ株に置き換わる可能性が高いという。

政府のコロナ対策チームを率いる国立公衆衛生環境研究所のヴァン・ディッセル博士は18日、「全国封鎖はワクチン展開と医療体制を強化するための時間稼ぎ」と語った。「ワクチン接種センターは年中無休です。ブースターを接種してください」

保健当局によると、オランダの成人の85%以上がワクチン接種を終えたものの、ブースターの接種率は10%に届いていないという。フーゴー・デ・ヨンゲ保健相は18日の会見で、1月7日までに対象者にワクチン接種券を送付すると述べた。

2021年12月18日/ドイツ、ベルリンで行われた反政府集会の参加者と警察官(Fabian Sommer/ドイツ通信社)
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