警戒レベル、3→4へ

9月21日、イギリスのコロナウイルス警戒レベルが3から4にアップグレードされた。

政府の科学顧問は記者団に対し、「これは、現在の感染者数が”指数関数的に増加している”ことを意味している」と述べた。

当局の発表によると、対策をとらずに現在の感染状況を放置すれば、「10月中旬までに24時間あたりの新規陽性件数は50,000件に達する」可能性があるという。

警戒レベルのアップグレードに伴い、ボリス・ジョンソン首相は22日に声明を発表する予定である。

BBCの政治編集者として活躍するローラ・キューンスバーグ氏は、警戒レベルのアップグレードに伴い、現在の感染予防措置プラス、パブや飲食店、その他会場の営業時間制限が設けられるだろうと語った。

イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの医療責任者たちは、レベル4への移行に関する勧告声明の中で、「4か国の感染者数は多くの地域で増加傾向にあり、放置すれば指数関数的に増え続けるだろう」と警告した。

また、秋から冬にかけて予想されるインフルエンザとのダブルアタックについても言及、「国民保健サービス(NHS)への負担増が予想される。パンデミックは国民の命を奪うだけでなく、国家を疲弊させる」と述べ、政府のガイドラインに従うよう求めた。

保健省のマット・ハンコック大臣は、現在の感染状況を「第二波によって引き起こされた新たな脅威」と警告し、全国民に注意を呼び掛けた。

マット・ハンコック大臣:
「現在、イギリスは転換点に直面している。ウイルスの蔓延を阻止し、生命を保護するためには、誰もが役割を果たす、つまり、感染予防対策を徹底しなければならない

合同バイオセキュリティ・センター(Joint Biosecurity Centre)によって推奨されている警戒レベルは、6月19日にレベル4から3へ引き下げられた。

今回の再アップグレードは、コロナウイルスが「大流行」していることを示している。ただし、課される制限が緩和される可能性もあるという。

アップグレードの最終承認は、ジョンソン首相が議長を務める22日AMの4か国緊急会議で正式に決定。その後、声明を発表する予定である。

これに先立ち、ダウニング街で記者団からの質問を受けた政府医療顧問のクリス・ウィッティ教授とパトリック・ヴァランス卿は、以下のように述べた。

クリス・ウィッティ教授、パトリック・ヴァランス卿:
「24時間あたりの新規感染者数は、1週間で倍増するペースを維持している」

「現在の状況が衰えずに続くと、10月中旬には50,000件に達する可能性がある。これは十二分に起こり得ることだと認識しなければならない」

「感染のピークは10月中旬頃と予想されている。なお、予想が現実になれば、1日あたりの死者数は200人を超えるだろう」

「大切なことは、増加のペースを落とすことである。そして、それを達成するためには行動しなければならない。徹底的な感染予防対策、外出制限措置などが必要になる

科学ブリーフィング/10月中旬までに1日49,000件のCOVIDケースに直面

第二波を封じ込める

政府医療顧問の警告を考えると、警戒レベルのアップグレードは当然の措置と思われる。

ただし、一部の専門家はウィッティ教授とヴァランス卿の提案を「過剰反応」と疑問視しているという。

呼吸器系のウイルスが秋から冬にかけて増加することは、ある程度予想されていた。

スペインやフランスの感染状況もイギリスと同じような勢いで悪化しており、政府は対応に追われている。なお、スペインの首都マドリードは、深刻な状況にある一部地域が再ロックダウンされた

イギリス政府は同じ失敗を繰り返したくないと考えている。

ジョンソン首相は、3月のロックダウン発出の遅れが死者数増加につながったと厳しく非難されており、同じ轍は踏めない。

レベル4への移行に伴う追加の予防対策は、22日中に発表される予定である。なお、当局は経済活動と予防対策の両立を目指すと主張しており、完全なロックダウンは実施されず、学校も対面授業を維持するものと思われる。

【当局がこれまでに発表した内容(抜粋)】

●PCR検査の陽性率が増加している。よって、PCR検査体制の拡充が感染者数の増加につながっていると決めつけることはできない

●先週1週間で約70,000件の新規陽性が確認された。現在のペースは24時間あたり6,000件前後。

●コロナウイルスに感染した国民は全体の8%未満。今後、ロンドンでは17%に達する可能性がある

●英国内の様々な地域で感染が拡大している。また、高齢者層が影響を受けやすいことは3月と同様である。ただし、状況は変化しており、「10代や20代の無症状患者」も事態の悪化に備えなければならない。

●他国と同じく、イギリスの感染状況も若年層だけでなく、様々な年齢層に広がっている

●感染者に比べると、死者数の増加は明らかに緩やかである。ただし、3月や4月より緩やかと決めつけるのは間違い、陽性数が指数関数的に増加すれば、それに合わせて死者数も必ず増加する。

●一部のワクチンが年内に販売されると噂されている。しかし、今すべきことは感染予防対策、ワクチンを待つことではない。なお、我々は「2021年の上半期」までそれが流通することはないと考えている。

20日、ジョンソン首相はダウニング街でリシ・スナック首相、ハンコック大臣、そしてウィッティ教授と会談、22日に発表する警戒レベルのアップグレードと、その先を見据えた話し合いを行った。

シャドウヘルスアンドソーシャルケアのジョン・アシュワース長官は、「労働者が再びロックダウンされるところは見たくない。しかし、ウイルスの指数関数的増加は無視できず、新しい措置の遵守がそれを抑える最善の手段になるだろう」と述べた。

【現在判明している追加措置の概要】
●ジョンソン政権は全土のロックダウンを検討していない。
●外出禁止令は適用されない。
●学校は閉鎖されない。
●企業への閉鎖命令は出ない。ただし、再度在宅勤務を強く推奨するものと思われる。

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