コロナウイルス／アメリカの死者数が200,000人を超える

グレート・アメリカの旅

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、グレート・アメリカの累計死者数が200,000人の大台を突破したという。なお、累計感染者数は約680万人以上、他の追随を許さぬ圧倒的な勢いで世界1位を堅持している。

3月、ドナルド・トランプ大統領は、アメリカ国内の死者数が10万人から20万人以内であれば、「我々は素晴らしい仕事をしたと言えるだろう」と語っていた。

コロナウイルスの感染爆発は夏の間アメリカを攻撃し続け、死者数は8カ月で200,000人を突破した。これは、9/11同時多発テロとイラク戦争関連の死者数とほぼ同じである。

驚異の記録は、ノースダコタ州やユタ州を含む多くの州の新規感染者数が増加している中で達成された。

2月、国内で15件の症例が確認されたとき、トランプ大統領は数日以内に「制圧できるだろう」と予測していた。

9月22日、世界のコロナウイルス情報を集計しているジョンズ・ホプキンズ大学は、アメリカの死者数が200,005人になったと報告した。

昨年、中国でパンデミックが始まって以来、同大学はウイルスの最新情報を発信し続けている。なお、アメリカで最初の感染者が確認されたのは1月だった。

トランプ大統領および政権は、コロナウイルスの取り扱いを繰り返し非難されてきた。

21日、民主党大統領候補のジョー・バイデン氏は、「ドナルド・トランプの嘘、そして過去6カ月の無能すぎる仕事がアメリカ国民の人生を破壊し、世界恐慌以上の壊滅的な損害を与えた」と断罪した。

ジョー・バイデン氏：
「コロナウイルスの危機をトランプは全く理解しておらず、ホワイトハウスでダラダラ過ごしていた。しかし、彼は現実に直面し凍りついた。彼は致命的な失敗を犯した。結果、アメリカと国民は史上最悪の代価を支払うことになった」

同じ頃、トランプ大統領は記者団に対し、力強いメッセージを発信した。

ドナルド・トランプ大統領：
「私と政権幹部は驚異的な仕事をした。パンデミックへの対処はA＋、これ以上に素晴らしい成果はない」

「私はワクチンに頼らずコロナウイルスを追い詰めた。パンデミックは間もなくアメリカから消え去るだろう。もう一度言おう。我々は素晴らしい仕事をした」

アメリカの新規感染者数はここ数週間減少傾向にある。しかし保健当局は、秋から冬にかけて大流行する季節性インフルエンザに備え、感染予防対策のさらなる徹底を強く呼びかけている。

「アメリカコロナ危機」問題を複雑にしたのは、トランプ大統領と彼のトップアドザイバーによる無秩序なメッセージと不当な楽観主義がもたらした。

トランプ大統領のコロナウイルスに関連するコメントは信用を失い、信じる者は熱狂的な共和党有権者だけになった。

ランガ―リサーチアソシエイツによる最新の世論調査によると、「安全性を保証できないワクチンの流通」に国民の62％が危機感を抱いているという。

アメリカの累計死者数、200,000人を突破

アメリカの現状

ノースダコタ州では、ここ数週間で感染者が急増している。州当局者によると、21日時点で3,200名以上が感染し、87人が入院しているという。

また、ユタ州、ウィスコンシン州、テキサス州、サウスダコタ州などでも感染者が増加傾向にある。

夏の暑さは多少収まった。しかし、コロナウイルスは他の地域にジワジワと蔓延し続けており、季節性インフルエンザの流行時期に動きを活発化させる恐れがある。

今月初め、ホワイトハウスコロナウイルス対策チームの最高顧問を務めるアンソニー・ファウチ博士は記者団に対し、「我々は秋までにコロナウイルスを収束させておく必要がある」と警告した。

一方、疾病予防管理センター（CDC）は、9月18日に更新された「コロナウイルスの空中伝搬に関するガイダンス」を大急ぎで削除した。

CDCが大急ぎで削除したガイダンスには、「ウイルスは空中に留まり、6フィート（1.8m）以上移動、他者に感染する可能性がある」「室内では空気清浄機を使用した方が良い」と記載されていた。

CDCは更新したガイダンスの削除について、「提案された案のひとつ」を誤ってサイト上にアップロードしたとコメントした。

CDCはアメリカ国民に”適切な”公衆衛生指導を行う最も権威ある機関のひとつである。

他の多くの国がCDCに助言を求め、発表するガイダンスに従い感染予防対策を立案、人々に提供する。

18日にアップロードされたCDCの新ガイダンスを見た関係各国および人々は、空中浮遊するコロナウイルスが感染につながると信じ、衝撃を与えた。

世界保健機関（WHO）は、「ウイルスの空中浮遊に関する証拠を見たことがない」とコメントした。その後、CDCはガイダンスのドラフトバージョンをアップロードしたと発表、謝罪した。

WHOによると、「エアロゾル伝搬」は証明されておらず、咳やくしゃみによる大きな呼吸飛沫を介した感染がほとんどだという。ただし、換気が不十分かつ閉鎖的なスペースでは、エアロゾルによる伝搬が発生する可能性もあると認めている。

CDCのロバート・レッドフィールド所長はABCのインタビューに対し、以下のように述べている。

ロバート・レッドフィールド所長：
「トランプ政権は世界に感染が拡大した段階で、中国との往来を速やかにロックダウンした。しかし、コロナウイルスの脅威を軽視したため、ヨーロッパへの措置は大きく遅れた」

「ヨーロッパとの往来がロックダウンされるまでの2週間から3週間のあいだに、恐らく60,000人ほどがアメリカに入国した」

また、コロナウイルスが広まり始めた当初、CDCおよび連邦の科学顧問は、医療関係者のマスク不足を懸念し、国民に対しマスクの購入を控えるよう要請した。なお、この要請は飛沫による感染拡大の証明とガイダンスの見直しによって却下された。

コロナウイルスの感染速度と官僚的思考の両方がミックスされ、ホワイトハウスのスタッフは大混乱に陥った。

5月下旬までホワイトハウス国内政策審議会の理事長を務めたジョー・グローガン氏は以下のように述べた。

ジョー・グローガン氏：
「ホワイトハウスは官僚的で科学顧問やエキスパートの意見を無視する。私はそれに反対し、気が付くと席が無くなっていた」

「CDCの時代遅れで不格好なシステム、コロナウイルスの危険性を理解していなかった食品医薬品局（FDA）、国立衛生研究所の高価なラボは、いずれも役立たずだった」

今月初め、トランプ大統領は共和党有権者に対し、コロナウイルス初期の政権の行動は非常に素晴らしかったと語った。

トランプ大統領は2月初旬に中国との国境をロックダウンした成果と、翌月にはヨーロッパとの関係も断ち切ったと主張した。

ドナルド・トランプ大統領：
「私が国境を封鎖しなければ、さらに多くの人命が失われていただろう。政権の判断は素晴らしかった」

「欧州は国境の封鎖を拒否したが、彼らの意見を聞き入れるつもりはなかった。一番大切なものは国民の命であり、他国の意見をダラダラと聞いていれば、感染はより深刻になっていただろう」

トランプ大統領はアメリカ国民だけでなく、世界中に矛盾したメッセージを送り続けている。
・アメリカが間違えたこと、成功したこと

2月、ジャーナリストのボブ・ウッドワード氏の電話取材を受けたトランプ大統領は、コロナウイルスを「致命的なウイルス」と述べた。しかし、定例記者会見では正反対のコメントを発信し続け、国民に誤解を与えた。

先日、トランプ大統領はコロナウイルスの危険性を意図的に隠蔽したと指摘され、「私は適切にコメントを発信し続けた。国民に恐怖とパニックを与える大統領などあり得ない。私の判断は素晴らしかった」と反論した。

また、ファウチ博士などのエキスパートがマスクの着用を奨励し続けたにも関わらず、その存在を否定し、「マスクはいらない」と何度もツイート。結果、共和党有権者はマスク重要性を理解できずにいる。
・トランプ大統領がマスクにSay goodbye

現在、コロナウイルスとの戦いに終止符を打つ（と信じられている）ワクチンの開発が進められている。

トランプ大統領は、大統領選挙前までに数千億ドルを投資したワクチンが供給されると確信し、CDCに圧力をかけ続けている。

これに対しレッドフィールド所長は、「2021年半ば頃までに配布できれば素晴らしいが、恐らく難しい」とコメントしている。
・COVID-19ワクチンをめぐる争い

【世界の感染状況／9月23日時点】

2020年6月12日／トランプ語録