◎政府と州政府は感染状況を何とか把握しようとしているが、検査数は圧倒的に足りず、各都市の火葬場に運び込まれる遺体の数と公式の死亡者数が一致しないという報告が複数寄せられている。
2021年4月19日/インド、首都ニューデリーの火葬場、頭を抱える男性(AP通信)

地元メディアによると、コロナウイルスの感染爆発に直面しているインドの火葬場は遺体で埋め尽くされ、火葬待ち渋滞が発生しているという。

シーマ・ガンドトラ氏(51歳)を乗せた救急車は首都ニューデリーで空きベッドを見つけることができず、10時間後、同氏は車内で死亡した。

慢性肺炎を発症したラジェシャワリ・ダヴィ氏(58歳)はコロナ病院の緊急治療室(ICU)に搬送されたが、コロナウイルスに感染していなかったため入院を拒否され、別の病院に搬送された。しかし、ようやく見つけた別の病院は酸素を使い果たしており、家族は自家用車でさらに別の病院を探したが、ダヴィ氏は途中で力尽きた。

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、インドの4月19日の新規陽性者数は259,167件、死亡者は過去最高を更新する1,761人、過去7日間の症例平均は23万件を超えたという。

インドは昨年、厳しいロックダウンで医療システムの崩壊を防いだ。しかし、2月中旬以降の感染急拡大で資金不足の医療機関は半壊し、市民は困難に直面している。

専門家は、「国内の症例数と死亡者数は間違いなく過少報告されている」と警告した。「政府と州政府は感染状況を何とか把握しようとしていますが、検査数は圧倒的に足りず、各都市の火葬場に運び込まれる遺体の数と公式の死亡者数が一致しないという報告が複数寄せられています。政府と州政府は正確な死亡者の数を間違いなく把握できていません」

地元メディアによると、2億人以上が生活するウッタル・プラデーシュ州の州都ラクナウの火葬場の1つで4月14日に火葬されたコロナ感染者の遺体は100体近くに達したが、その日の州全体の公式死亡者数は85人だったという。

ナレンドラ・モディ首相は4月20日の演説で、「コロナウイルスの嵐を止めるために、感染予防対策を徹底してください」と国民に呼びかけた「私たちは経験したことのない大きな戦いに挑まなければなりません」

インドでは感染力の強いイギリスやブラジルの変異種などが複数確認されており、感染拡大に拍車をかけている。

インド政府は先月、COVAXイニシアチブにアストラゼネカワクチンを供給しているセラム・インスティチュート・オブ・インディアにワクチンの輸出禁止を命じ、国内の接種を優先するよう当局に指示した。

インドのパンデミックを追跡しているミシガン大学の医療統計学者、ブラマー・ムケルジー博士は、「インド政府は他国の感染の傾向、予防対策、制限の緩和がもたらす影響などをもっと学ぶべきだった」と指摘した。「政府は時間を浪費し、学ばず、予防措置を講じることに失敗しました」

インドの新規陽性者数は昨年9月頃から減少し始め、今年2月初めには10,000件を下回り、ハーシュ・ヴァルダン保健相は3月初めの声明で、「国内の感染状況は終息に向かっている」と宣言し、市民を喜ばせた。

保健当局のまとめによると、インド経済の中心地マハーラーシュトラ州の週平均症例数は3月の3倍に増加したという。

2021年4月19日/インド、首都ニューデリー、火葬場の職員(AP通信)

現在、インド最大の都市は厳格なロックダウンに移行しており、人口の圧倒的大多数を占める低中所得者層はコロナと深刻な食糧危機に苦しめられている。一部の市民は都市をすでに離れ、数百万人の移民労働者はロックダウンで仕事を失い、徒歩で故郷の町や村に戻ろうとしている。

モディ首相は演説の中で、州全体をロックダウンするのではなく、感染状況の深刻なエリアを部分的に封鎖し、感染を抑え込んでほしいと州首相に呼びかけた。

首都ニューデリーの野戦病院の収容率は90%を超えており、州政府は学校を仮設の病院として利用する準備を進め、工業用酸素を医療に転用し始めている。州政府が運営するニューデリーのサンジャイ・ガンジー病院はAP通信の取材に対し、「コロナ病床を46から160に増やしたが、酸素が足りない」と嘆いた。

ニューデリーのブラリにある国営の病院の当局者も酸素不足に直面していると述べた。「屋内と屋外(野戦ベッド)で入院している何百もの患者は酸素を求めています」

インド政府は先週、世界保健機関(WHO)、アメリカ、EU、イギリス、そして日本の厳しい規制当局が承認した全てのコロナワクチンの緊急使用を承認し、国内の成人、推定9億人を対象として接種キャンペーンを開始すると発表した。しかし、ワクチンは世界的に不足しており、インドのセラム・インスティチュート・オブ・インディアやその他のワクチンメーカーが需要に対応できるかどうかは明らかではない。

医療用酸素メーカーで働いているシャヒード・マリク氏はAP通信の取材に対し、「需要は例年の10倍に増加した」と述べた。「会社の電話は24時間鳴り続けています。4月19日に準備したガスシリンダーは数分で売り切れました」

マリク氏は顧客に対し、ガスシリンダーを持参するよう呼びかけているという。「自分のシリンダーを持っている人には酸素を販売できます。なければ、助けることはできません...」

<インドの新規陽性者>
2月1日:8,635件
2月8日:9,110件
2月15日:9,121件
2月22日:10,584件
3月1日:12,286件
3月8日:15,388件
3月15日:24,492件
3月22日:40,715件
3月29日:56,211件
4月1日:81,466件
4月8日:131,968件
4月15日:217,353件
4月18日:273,802件

2021年4月19日/インド、首都ニューデリーの火葬場、故人の火葬を待つ女性(ロイター通信/スミト・クマール)
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