アフリカ系アメリカ人の貧困層がコロナウイルスに苦しめられている

 7日、アメリカ国内のコロナウイルス感染者は37万人近くまで増加、死者は間もなく11,000人を突破する。そんな中、シカゴ保健当局は、アフリカ系アメリカ人の感染者が増加し、一刻の猶予も許されない事態になりつつあると警告した。

 イリノイ州シカゴにおける黒人の居住割合は約30%。シカゴ内でコロナウイルスに感染した4,680人(5日時点)のうち、黒人感染者は1,824人。また死亡した98人うち、70%が黒人だった。

 黒人感染者数だけが激増している訳ではなく、ヒスパニック系、アジア系の感染も目立つ。しかし、死亡者における黒人の割合があまりに高く、当局は危機感を募らせている。

 デトロイト、ミルウォーキー、ニューオーリンズ、ニューヨークなど、黒人人口の多いエリアがコロナウイルスのホットスポットになっている、という指摘は以前からあったが、シカゴと同じく黒人感染者が激増している訳ではない。しかし、死亡者における黒人の割合が多くなっていることは事実である。

 イリノイ州における黒人の居住者割合は約14%。しかし、州内でコロナウイルスにより死亡した人の約40%は黒人だった。シカゴのロリ・ライトフット市長は、「黒人コミュニティが壊滅的な被害を受けている。誰もが社会的距離のガイドラインを遵守し命を守っているが、事態は日に日に悪化している」と述べた。

 ミシガン州デトロイトにおける黒人の居住者割合は約80%。デトロイトとその周辺近郊で確認されたコロナウイルス患者の80%が黒人である。さらに、ウィスコンシン州ミルウォーキーでも同じような感染状況になっている。

 黒人居住者の大半は、厳しい経済状況にある貧困層である。保健当局は以前から、黒人居住者の「肥満」「糖尿病」「心臓病」の割合が高いと指摘していた。アフリカ系アメリカ人の多くが、身体に何らかの疾患を抱えており、それがコロナウイルスの死亡率増加に拍車をかけているという。

 厳しい経済状況にある貧困層が疾患を抱えやすい理由は以下の通り。ただし、全ての人に当てはまるわけではない。
①所得が低く、低価格、高カロリーのジャンクフードに頼らざるを得ない
高額な健康保険制度に加入できず、病気を悪化させてしまう

 生活が苦しくとも、食べねば生きていけない。貧困層は低価格、高カロリーのジャンクフードに頼らざるを得ず、結果、健康を害しやすくなる。さらに、健康保険制度にも加入できず、身体の異変に気付いた時は手遅れ、という事態も珍しくない。

 疾患を持つ人がコロナウイルスにかかると重症化しやすい、と言われている。健康な若者や子供の死亡例も報告されているが、世界中で命を落とした者の大半が高齢者、そして、何らかの疾患を抱えていた人たちだ。

 バージニア州議会に立候補しているアフリカ系アメリカ人医師のキャメロン・ウェッブ博士はBBCに対し、「パンデミックによって、アメリカ国内の経済格差が浮き彫りになった」と述べた。

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