東京オリンピックに登場する、もしくは登場する予定の超一流アスリート(その2)を紹介する。なお、個人的な主観で選んでいることをご理解いただきたい。日本代表の前に立ちはだかるであろう強豪国/選手たちは、国の威信をかけて競技に臨む。常人離れした実力は、真夏の東京を熱く盛り上げるだろう。
※2020年3月25日、東京オリンピックおよびパラリンピックの1年延期が決定!

目次

 1.競泳
   男子:孫 楊(中国)
   女子:ケイティ・レデッキー(アメリカ)
 2.陸上競技
   男子:モハメド・ファラー(イギリス)
   女子:エレイン・トンプソン(ジャマイカ)
 3.野球
   ドミニカ代表
 4.ソフトボール
   アメリカ代表
 5.バスケットボール
   女子:アメリカ代表
 6.自転車競技
   男子:新田 祐大(日本)
   女子:ローラ・トロット(イギリス)
 7.サッカー
   男子:フランス代表
   女子:アメリカ代表
 8.ゴルフ
   男子:タイガー・ウッズ(アメリカ)
   女子:鈴木 愛(日本)
 9.柔道
   男子:テディ・リネール(フランス)
   女子:マイリンダ・ケルメンディ(コソボ)
10.近代五種
   女子:アナスタシア・プロコペンコ(ベラルーシ)
11.ラグビー
   男子:南アフリカ代表セブンズ
12.卓球
   男子:馬 龍(中国)
   女子:伊藤 美誠(日本)
13.テニス
   男子:ノバク・ジョコビッチ(セルビア)
   女子:セリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)
14.バレーボール

   男子:ブラジル代表
   女子:中国代表
15.レスリング
   男子:ミハイン・ロペス(キューバ)
   女子:向田 真優(日本)

まとめ

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競泳目次に戻る

オリンピック『競泳』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。

順位国/地域
1アメリカ246172135553
2オーストラリア606464188
3東ドイツ38322292
4日本22263274
5イギリス16283074
6ハンガリー28252073

 競泳は記念すべき第1回オリンピック(1896年アテ大会ネ)から採用され、1度も休止されることなく行われている数少ない競技のひとつ、種目の再編、見直し等を経て現在のスタイルが確立された。メダルの獲得数はアメリカ代表が抜きんでており、他国の追随を許さない圧倒的な強さを誇る。

 競泳は身体能力がものをいう競技だ。背が高くパワーのある選手ほど上位に進出しやすい傾向にあり、たぐいまれなる努力と圧倒的な身体能力を武器に戦った「マイケル・フェルプス」は、オリンピック史上最多の金メダル23個を獲得した。なお、日本代表は歴代4位のメダル獲得数を誇り、2020年東京大会でもメダルラッシュが期待されている。

【種目】
・50m自由形(男子/女子)
・100m自由形(男子/女子)
・200m自由形(男子/女子)
・400m自由形(男子/女子)
・800m自由形(男子/女子)
・1,500m自由形(男子/女子)
・100m背泳ぎ(男子/女子)
・200m背泳ぎ(男子/女子)
・100mバタフライ(男子/女子)
・200mバタフライ(男子/女子)
・200m個人メドレー(男子/女子)
・400m個人メドレー(男子/女子)
・4×100mリレー(男子/女子)
・4×200mリレー(男子/女子)
・4×100mメドレーリレー(男子/女子/混合)

孫 楊(中国

 『孫 楊(Sun Yang)』アジア競泳界を代表する選手である。2012年ロンドン大会では男子自由形で2冠、2016年リオ大会でも金メダルを獲得、国際大会の通算メダル獲得数36個(うち金23個)はアジア最多記録。中国を代表するスター選手と言っても過言ではないだろう。

 2019年、同選手は韓国で開催された世界水泳選手権男子200m、400m自由形で2冠を達成し、東京大会への出場権を獲得、中国代表に内定した。しかし、孫 楊にはドーピングの使用疑惑がかけられており、この問題の結果次第では東京大会に出場できないかもしれない。

 「世界アンチ・ドーピング機関(WADA)」は、同選手から血液検査を拒否/妨害されたことで「スポーツ仲裁裁判所」に異議申し立てを行っている。ドーピングの使用が万一認められれば、長期間の資格停止処分は免れず、中国代表として東京オリンピックに出場することは難しいだろう

 孫 楊の実績と実力を考えれば、東京大会でも男子自由形のメダル最有力候補に挙げられることは間違いない。ドーピングの使用有無および先に述べた異議申し立ての結果については、続報を待ちたい。アジアの競泳選手は、日本人を始め、世界と互角に戦える実力を有しており、東京大会でのメダルラッシュも期待されている。孫 楊は己の潔白を証明し、ただ黙って競泳競技に取り組むほかないだろう。

まとめ
同選手は2012年ロンドン大会で2冠、2016年リオ大会でもメダルを獲得した中国のスター選手
ドーピングの使用有無については、スポーツ仲裁裁判での審議結果を待つのみ

選手名孫 楊
(Sun Yang)
出場競技/種目400m自由形(男子)他
オリンピック出場実績2012年ロンドン/2冠
2016年リオ/金メダル
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/23個
銀メダル/9個
同メダル/4個

外部サイトへのリンク
孫 楊 公式webサイト

画像はイメージです。クリックすると動画が再生されます
【孫楊】【sunyang】【孙杨】2019年光州國際泳聯游泳世錦賽 男子200米自由泳決賽

ケイティ・レデッキー(アメリカ)

 競泳大国アメリカでは、数えきれないほどのスター選手が誕生し、オリンピックや世界水泳選手権のメダルを独占したきた。ここで紹介する『ケイティ・レディキー(Katie Ledecky)』もそのひとり、子水泳界の歴史を塗り替える新時代の女王として圧倒的な泳ぎを披露し続けている。

 2012年ロンドン大会、当時15歳のティーンエイジャーは自身初の金メダル獲得、翌年以降に開催された世界水泳選手権では圧倒的な強さで金メダルを獲得し続けた。そして2016年リオ大会、出場した5種目中4種目で金メダルを獲得し、さらに女子400mおよび800m自由形で世界記録を更新、女子競泳界の頂点に立った

 ケイティ・レディキー最大の武器は、他の選手を寄せ付けぬ向上心にある。現在22歳の同選手は、アメリカの超名門校スタンフォード大学に通う学生でもある。毎朝数キロもの泳ぎ込みを行い、皆と同じように講義を受け、終了後さらに泳ぎ込みとトレーニングを自分に課し、学力もトップクラスというから驚きだ。文武両道を地で行く超人アスリートは、2018年にプロ契約を締結、さらなる高みを目指し歩を進めている。

 2020年東京大会、ケイティ・レディキーの出場するレースは世界の注目を集めるだろう。他の追随を許さぬ圧倒的な泳ぎで東京の夏を盛り上げてほしい。なお、同選手が国際大会で獲得したメダルは計34個。世界競泳選手権の金メダル15個は、同競技における女子歴代最多記録である

まとめ
ケイティ・レディキーの武器は向上心。スタンフォードに通うプロ水泳選手は、努力の鬼である
東京大会女子自由形では、リオ大会に続く3冠(リレーも勝てば5冠)を狙う

選手名ケイティ・レディキー
(Katie Ledecky)
出場競技/種目200m自由形(女子)他
オリンピック出場実績2012年ロンドン/金メダル
2016年リオ/4冠
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/28個
銀メダル/5個
銀メダル/1個

外部サイトへのリンク
SWIM SWAN 公式ホームページ

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オリンピック『陸上競技』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。

順位国/地域
1アメリカ335258206799
2イギリス558066201
3ソビエト645574193
4フィンランド483531114
5東ドイツ383635109
25日本79925

 陸上競技も先に述べた競泳と同じく、第1回大会(1896年アテネ)から採用、種目の見直し等を経て現在に至る。種目は「トラック」「フィールド」「ロード」に分類、肉体を極限まで鍛えたアスリートたちが身体一つで争う様はまさに圧巻である。特にトラックで行われる短距離走(100m、200m、400m、リレー)は人気が高く、東京大会のチケットは1枚130,000円(一番良いエリア/単日)で販売された

 同競技はアメリカ代表のためにあると言っても過言ではない。メダル獲得数は2位のイギリスに4倍近い差をつけており、スポーツ超大国の力をまざまざと見せつけている。なお、近年は欧州やアフリカ、オセアニア地域からも素晴らしい選手が毎年現れるため、1か国が金メダルを独占することは少なくなった

【種目】
トラック
・100m(男子/女子)
・200m(男子/女子)
・400m(男子/女子)
・800m(男子/女子)
・1,500m(男子/女子)
・5,000m(男子/女子)
・10,000m(男子/女子)
・110mハードル(男子)
・100mハードル(女子)
・400mハードル(男子/女子)
・3,000m障害(男子/女子)
・4×100mリレー(男子/女子)
・4×400mリレー(男子/女子/混合)
・10種競技(男子)
・7種競技(女子)

モハメド・ファラー(イギリス)

 『モハメド・ファラー(Mohammed Farah)』は欧州を代表する中距離ランナーである。2012年ロンドンの男子5,000m、10,000mの2冠を達成、イギリス代表選手が同種目を制したのは初めてだった。さらに、2016年リオ大会でも圧倒的な強さで同種目を連覇、中距離界の新王者に君臨した。

 近年の5,000mや10,000mは、エチオピアやケニア、モロッコの選手がメダルを独占してきたが、モハメド・ファラーは他の強豪を寄せ付けぬ走りを披露し続けた。しかし2018年春、同選手はトラック競技からの引退を発表、2020年東京大会は「マラソン」で金メダルを狙うと明言した。

 2018年、モハメド・ファラーはロンドンマラソンに初出場、2時間5分11秒」で優勝し、ヨーロッパ記録をあっさり更新した。なお、2016年リオ大会のマラソン優勝タイムは「2時間8分44秒」、2012年ロンドンは「2時間8分1秒」である。同選手は初マラソンで世界記録「2時間1分39秒」に迫る走りを見せ、世界の度肝を抜いた

 モハメド・ファラーは東京大会マラソンのイギリス代表に内定、金メダルの最有力候補に躍り出た。なお、同選手の武器は、中距離走で鍛え上げた身体/心肺能力にある。36歳を迎えてなお成長し続ける鉄人の目標は、マラソンの世界記録更新、そして前人未到の「マラソン2時間切り」だという。男子マラソンは2020年東京大会の最終競技、モハメド・ファラーは札幌の街を疾走し、新たな歴史の扉を開く。

まとめ
モハメド・ファラーは中距離の元王者。2012年ロンドン、2016年リオ大会で2冠(5,000m、10,000m)を達成
同選手の目標はマラソンの世界記録更新と、前人未到の2時間切り。東京大会での活躍に期待

選手名モハメド・ファラー
(Mohammed Farah)
出場競技/種目5,000m(男子)他
オリンピック出場実績2008年北京
2012年ロンドン/2冠
2016年リオ/2冠
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/15個
銀メダル/3個

外部サイトへのリンク
モハメド・ファラー 公式webサイト

エレイン・トンプソン(ジャマイカ)

 女子100mの世界記録は「10秒49」、同200mは「21秒34」、短距離界の女王「フローレンス・ジョイナー」が打ち立てたふたつの世界記録は、32年経った今も破られていない。この世界記録に最も近いと言われている選手が、ジャマイカ代表の『エレイン・トンプソン(Elaine Thompson)』である。

 同選手は、2016年リオ大会、女子100mと200mで2冠を達成。4×100mリレーでも銀メダルを獲得し、女子短距離界の頂点に立った。なお、100mの自己ベスト「10秒70」は歴代4位、200mの「21秒66」は同3位の好記録である。フローレンス・ジョイナーの持つふたつの世界記録は未来永劫破られないと言われてきたが、エレイン・トンプソンの成長/快進撃を考えると、記録の更新はもはや夢物語ではない

 同選手が国際大会に出場し始めたのは2015年から。ジャマイカの短距離界は選手層が厚く、代表に選ばれるためには国内のライバルに打ち勝たねばならなかった。エレイン・トンプソンは素晴らしいチームメートと一緒にトレーニングを行い、能力が一気に開花。2015年4月には100mで自身初の10秒台を記録し、さらに200mでも自己記録を大幅に更新、同年の世界選手権代表に選ばれた。

 2019年9月、エレイン・トンプソンは同年開催の世界選手権を回避、シーズンの競技を早々に終えた。理由は、ふくらはぎに抱えていた怪我からの回復と、東京大会での金メダル獲得、そして短距離界の新女王になるためである。2020年、同選手はジャマイカ代表を決める世界最高レベルの選考レースに臨み、2大会連続の2冠、そして短距離界の女王が堅持するふたつの世界記録に挑戦する

まとめ
2016年リオ大会では、女子100m、200mで金メダルを獲得
エレイン・トンプソンの目標は、未来永劫破られないと言われた不滅の世界記録更新

選手名エレイン・トンプソン
(Elaine Thompson)
出場競技/種目100m(女子)他
オリンピック出場実績2016年リオ/2冠
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/3個
銀メダル/2個
銅メダル/1個

外部サイトへのリンク
国際オリンピック委員会 公式ホームページ

野球(目次に戻る

 オリンピック『野球』の国別メダル獲得数および、MLB選手の年収ランキング(抜粋)は以下の通りである。

順位国/地域
1キューバ3205
2アメリカ2125
3日本1225
4韓国1012
5台湾0112
6オーストラリア0101
MLB年収ランキング(2019年)
順位選手名年収球団名国/地域
1マックス・シャーザー
(Maxwell Scherzer)
3,740万$
(約41億円)
ナショナルズアメリカ
2スティーブン・ストラスバーグ
(Stephen Strasburg)
3,642万$
(約40億円)
ナショナルズアメリカ
3マイク・トラウト
(Michael Trout)
3,408万$
(約37億円)
エンゼルスアメリカ
4ザック・グリンキー
(Zackary reinke)
3,242万$
(約35億円)
ダイヤモンドバックスアメリカ
5クレイトン・カ-ショウ
(Clayton Kershaw)
3,200万$
(約35億円)
ドジャースアメリカ

 野球(ベースボール)は北米、南米、オセアニア、アジアで盛んに行われているが、欧州ではマイナースポーツに分類、人気は決して高くない。そのため、1904年セントルイス大会から「公開競技」として行われていたものの、正式競技に採用されたのは1992年バルセロナ大会から、オリンピックでは歴史の浅い競技と言えるだろう

 正式競技に採用された当初は、100億ドル(約1兆円)超の予算規模を誇る「MLB(メジャーリーグ)」、すなわちアメリカの独壇場になると予想されていたが、キューバや日本、韓国なども素晴らしい活躍を見せており、東京大会でも激しいメダル争い/手に汗握る試合に期待したい。なお、MLBの超一流プレーヤーたちがオリンピックに参加できるかは不透明な情勢である。

【種目】
・野球(男子)

ドミニカ代表

 2020年東京大会、野球の出場枠は「6」と非常に少ない。日本は開催国枠での出場が確定しているため、世界の強豪国が残りの枠を争うことになるのだ。ここで紹介する『ドミニカ共和国/代表』は、MLBに超一流プレーヤーを送り出し続けている強豪チームである。

 同代表は2020年3月開催される「アメリカ大陸予選」に出場することが決まっている。アメリカやカナダ、ベネズエラ、プエルトリコなどの強豪国が参戦し、優勝国が東京大会への切符を、2位と3位は世界最終予選にまわり、最後の1枠を争うことになる

 ドミニカ共和国/代表がMLBに送り出した選手の数は1,000人を優に超える。世界的に有名な選手としては、「サミー・ソーサ」「アルバート・プホルス」「ペドロ・マルティネス」「ブラディミール・ゲレーロ」など。その他にも有能な現役プレーヤーが数えきれないほどおり、同代表の潜在能力は世界トップレベルと言ってもカゴではないだろう。

 先に述べた通り、8月開催の東京大会にMLBの超一流プレーヤーが参加できるかは不透明な情勢だ。理由はMLBのレギュラーシーズンが佳境を迎える時期であり、10億円単位の年俸を貰っている選手が長期間チームを離脱すると、優勝争いに大きな影響を与えるためである。また、MLBの選手にとって「ワールドシリーズ」制覇はオリンピック以上の価値があること、ケガのリスクなどを考慮し、代表入りを辞退する選手も多い。

 野球で生計を立てているMLB選手にとって、オリンピックはそこまで重要な大会ではないのかもしれない。しかし、国の威信/金メダルをかけた戦いには、言葉では表せない価値がある(と信じたい)。また、ドミニカ代表他のチームにMLBの超一流プレーヤーが加われば、東京大会/野球競技の注目度は上昇し、野球界も大きく盛り上がるだろう。同代表はアメリカ大陸予選に出場する選手をまだ発表していないため、続報を待ちたい。

まとめ
ドミニカ共和国/代表は超一流プレーヤーを輩出し続けている
MLB選手が東京大会に出場すれば、世界の野球界は大きく盛り上がるだろう

チーム名ドミニカ代表
出場競技/種目野球
オリンピック出場実績2回
主な戦績2013年WBC優勝

外部サイトへのリンク
Dominican Baseball 公式webサイト

画像はイメージです。クリックすると動画が再生されます
【ハイライト】オランダ vs. ドミニカ共和国|2019WBSC世界野球 プレミア12

ソフトボール目次に戻る

オリンピック『ソフトボール』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。

順位国/地域
1アメリカ3104
2日本1113
3オーストラリア0134
4中国0101

 ソフトボールがオリンピックの正式競技に採用されたのは1996年アトランタ大会から。野球から派生したスポーツとして北米、南米などで人気を集め、日本も金メダルの有力候補に挙げられる。なお、2024年パリ大会では実施競技から除外されることが決まっており、以降の扱いについても不明

 ソフトボールは女子のみでメダルを争う。アメリカ代表が1996年アトランタ大会から3連覇を達成したものの、2008年北京大会では日本が4連覇を阻止、初の金メダルを獲得した。また、近年ではオーストラリアや中国、カナダなどの強豪国も安定した成績を残しており、東京大会での上位進出を狙う。日本代表は前回王者(2012年ロンドン、2016年リオ大会では実施競技から除外)として、各国を迎え撃つ

【種目】
・ソフトボール(女子)

アメリカ代表

 アメリカには世界で唯一のソフトボールプロリーグ「ナショナル・プロ・ファストピッチ(NPF)」があり、一流プレーヤーたちがリーグ戦を戦い優勝を争っている。ソフトボール女子『アメリカ代表』の選手たちも皆NPFで切磋琢磨しており、他国を寄せ付けない圧倒的な強さに磨きをかけているのだ。

 NPFには世界各国の有能なソフトボール選手が集まりチームとの契約を目指す。しかし、チームとの契約はあくまでスタートラインに過ぎず、生計を立てるために激しいレギュラーを勝ち抜かねばならない。チームメートは皆ライバル、誰もが自発的にトレーニングを行い、厳しい環境下で切磋琢磨すれば、技術や精神力が向上することは想像に難くないはずだ

 ソフトボールのアメリカ代表選手を見ると、アマチュアとプロの違いを痛感させられる。選手たちは生きるためにソフトボールを行っており、皆目の色が違うのだ。NPFの世界では、バッターは打たなければ、ピッチャーは抑えなければ解雇されてしまう。また、NPFの規模はそこまで大きくないため、オリンピックは自分をアピールする絶好の機会であり、結果を残せば契約更新にも良い影響を与える、すなわち、同代表の選手たちにとってオリンピックは、国の威信だけでなく「生存」をかけた戦いなのだ。

 アメリカ代表は2018年の世界選手権(隔年開催)で11回目の優勝を飾り、東京大会の出場権を獲得した。2008年北京大会、同代表は決勝でライバル日本に敗れ4連覇を逃した。東京オリンピックはリベンジをかけた戦いになるだろう。

まとめ
アメリカ代表は東京大会女子ソフトボールの優勝候補筆頭
アマとプロの壁は厚く、そして高い。同代表の選手たちは生きるためにソフトボールを行っている

チーム名アメリカ代表
出場競技/種目ソフトボール
オリンピック出場実績4回
主な戦績1996年アトランタ/金メダル
2000年シドニー/金メダル
2004年アテネ/金メダル
2008年北京/銀メダル

外部サイトへのリンク
TEAM USA 公式ホームページ

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【ハイライト】世界女子ソフトボール選手権2018 決勝 日本×アメリカ

バスケットボール目次に戻る

 オリンピック『バスケットボール』の国別メダル獲得数および、NBA選手の歴代通算得点数ランキング(抜粋)は以下の通りである。

順位国/地域
1アメリカ232328
2ソビエト44412
3ユーゴスラビア1528
4スペイン041
5オーストラリア0325
日本0000
NBA歴代通算得点数ランキング(2019年)
順位選手名通算得点国/地域
1カリーム・アブドゥル=ジャバー
(Kareem Abdul-Jabbar)
38,387アメリカ
2カール・マローン
(Karl Malone)
36,928アメリカ
3コービー・ブライアント
(Kobe Bryant)
33,643アメリカ
4レブロン・ジェームズ
(LeBron James)
32,543アメリカ
5マイケル・ジョーダン
(Michael Jordan)
32,292アメリカ

 バスケットボールはアメリカ発祥の超人気スポーツで、世界の競技人口は4億人を超える。地球最大のスポーツ市場「北米4大プロスポーツリーグ」のひとつに数えられる「NBA」は、MLBと並ぶ100億ドル(1兆円)超の市場規模を誇る

 バスケットボールがオリンピックに採用されたのは、男子が1936年ベルリン大会、女子は1976年モントリオール大会から。同競技ではアメリカ代表が圧倒的の強さを誇る。男子は15回、女子も8回優勝しており、1992年バルセロナ大会で結成された伝説の「ドリームチーム」は、全8試合で平均40点以上の得点差をつける異次元の勝ちっぷりで金メダルを獲得した。なお、ドリームチームと対戦した選手たちは、試合開始前にNBAのスタープレーヤーたちと記念撮影、サインなどを貰っており、最初から勝てるとは微塵も思っていなかったようだ

【種目】
・バスケットボール(男子/女子)
・3×3(男子/女子)

アメリカ代表

 オリンピック女子バスケットボールは『アメリカ代表』の独壇場である。2016年リオ大会で優勝を果たし6連覇を達成、異次元の強さで他国を圧倒し続けている。なお、強さの秘訣は、先に述べた女子ソフトボールアメリカ代表と全く同じだ。

 世界の優秀な女子バスケットボール選手は、アメリカで活動する女子プロバスケットボールリーグ「WNBA」のチームに加わるべく、実力を磨く。リーグの平均給与は約7万ドル(800万円)、結果を残せば次年度の年俸は間違いなく上がるだろう。アメリカンドリームを目指し、厳しい環境でトレーニングを行っている選手たちは、アマチュアとは比べ物にならない実力を身につける

 WNBAの市場/予算規模は「NBA」よりはるかに小さく、選手たちはオリンピックの場でチームと世界に自分をアピールすべく、選手生命をかけてプレーする。オリンピックで活躍した選手は、次年度の契約を優位に進めることができる(WNBAで活躍することが前提)ためだ。

 今のアメリカ代表と渡り合える国は、WNBAの選手を有するスペイン、セルビア、オーストラリアなどだろう。プロ選手と勝負するためには、プロ選手をぶつける以外手はない。なお、2020年東京大会でも同代表が圧倒的な優勝候補に挙げられており、男子では現NBA最強プレーヤー「レブロン・ジェームズ」の参戦も期待されている

まとめ
女子アメリカ代表はオリンピック6連覇中。WNBAの選手で構成されており、他の追随を許さぬ圧倒的な強さを誇る
プロ選手と勝負するためには、プロ選手をぶつける以外手はない

チーム名アメリカ代表
出場競技/種目バスケットボール(女子)
オリンピック出場実績優勝8回
主な戦績オリンピック優勝8回
ワールドカップ優勝10回

外部サイトへのリンク
バスケットボール女子アメリカ代表 公式ホームぺージ

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【NHKリオ】強すぎる!米国6連覇・バスケット女子

自転車競技目次に戻る

オリンピック『自転車競技』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。

順位国/地域
1フランス41272391
2イギリス32302587
3イタリア33161059
4アメリカ16212158
5オーストラリア14191849
27日本0134

 自転車競技は第1回アテネ大会から正式競技に採用されており、競泳や陸上競技と同じく、1度も休止/除外されることなく行われてきた。種目はすり鉢状のコースを疾走する「トラック」、公道を走る「ロード」、特殊コースで順位/勝敗を競う「マウンテンバイク」と「BMX」の4つに分類される。

 マウンテンバイクとBMXは比較的歴史の浅い競技といえよう。しかし、近年若者を中心に人気を集めており、競技人口は右肩上がりで上昇している。なお、同競技は欧州勢が特に強く、アメリカとオーストラリアがそれに続く。東京大会では、「ケイリン(競輪)」を中心に若手選手が育っている日本代表のメダルラッシュに期待。

【種目】
トラック
・チームスプリント(男子/女子)
・スプリント(男子/女子)
・ケイリン(男子/女子)
・チームパシュート(男子/女子)
・オムニアム(男子/女子)
・マディソン(男子/女子)
ロード
・ロードレース(男子/女子)
・個人タイムトライアル(男子/女子)
マウンテンバイク※特殊コース
・クロスカントリー(男子/女子)
BMXレーシング※特殊コース
・レース(男子/女子)
BMXフリースタイル※特殊コース
・パーク(男子/女子)

新田 祐大(日本)

 日本代表にとって、日本発祥の自転車競技/種目「ケイリン」での金メダル獲得は悲願である。同種目がオリンピックに採用されたのは2000年シドニー大会から、2008年北京大会で銅メダルを獲得したものの、世界の頂点にはまだ立てていない。ここで紹介する『新田 祐大(にった ゆうだい)』はケイリン男子日本代表のエースである。

 日本の公営ギャンブル「競輪」の市場規模は約6,000億円、全盛期の1/3以下にまで縮小したとはいえ、そこで活躍する選手たちは世界のトップレーサーと肩を並べる実力者ばかりだ。しかし、オリンピックとの相性はあまり良くなく、思うような結果を出すことができていない。新田も2012年リオ大会でオリンピック初出場を果たしたが結果は8位、メダルには届かかなかった。

 それから4年後、2016年リオ大会でのリベンジを誓うも、日本代表入りは叶わなかった。新田は2020年東京大会、そしてリベンジに向けて動きだす。オリンピックの出場権を得られるポイントで上位を目指すべく、公営競輪/レース以外への参戦を表明した

 2018年、同選手は世界選手権で銀メダルを獲得。同年、「国際自転車競技連合(UCI)」から発表される世界ランキング(個人)でも1位に躍り出た。なお、日本代表の選考は、2019-2020年の世界選手権、ワールドカップの結果で決まる。新田の代表入りはほぼ当確、あとは金メダルを獲得すべくペダルを全力で踏み込むだけである。

まとめ
ケイリンは日本発祥の自転車競技。日本代表は悲願の金メダルを狙う
新田は2018年世界選手権で銀メダルを獲得。世界ランキングでも1位に躍り出た

選手名新田 祐大
(にった ゆうだい)
出場競技/種目ケイリン(男子)他
オリンピック出場実績2012年ロンドン/8位
主な戦績2018年世界選手権/銀メダル

外部サイトへのリンク
KEIRIN 公式ホームページ

画像はイメージです。クリックすると動画が再生されます
栄冠への挑戦者~KEIRINグランプリ2019~新田祐大

ローラ・トロット(イギリス)

 自転車競技のイギリス代表は、フランス代表と世界一を争う強豪選手揃いだ。ここで紹介する『ローラ・トロット(Laura Trott)』は女子代表のエースとして知られ、2012年ロンドン大会の団体追い抜き、オムニアムで2冠を達成、2016年リオ大会でも同種目を制した

 国際大会での通算メダル獲得数は33個(うち金23個)。なお、圧倒的な強さを誇る同選手の夫「ジェイソン・ケニー」も自転車競技のメダリストであり、計6個の金メダルを獲得している。ローラ・トロットは2017年に男児を出産、一時的に競技から離れていたが、翌年には復帰を果たした。

 同選手の武器は、常人離れした脚力/加速力にある。トラック競技で結果を残すためには、世界のスプリンターたちをしのぐ加速力が必要不可欠である。鍛え上げられた足腰でペダルを踏みこみ、先頭に立つ者がレースを制すのだ。さらに、ローラ・トロットは持久力にも優れており、誰よりも長く、そして強くペダルを踏み続けることができる

 ローラ・トロットは2019年の欧州選手権、世界選手権を制し、東京大会への出場を確定させた。なお、2012年ロンドン、2016年リオ大会に続く2冠を達成すれば、同競技では男女を通じて初の快挙となる。自転車の女王は誰もたどり着いたことのない領域に向け、ペダルをこぐ。

まとめ
2012年ロンドン、2016年リオ大会で2冠を達成。国際大会のメダル獲得数は33個
ローラ・トロットは、2019年の欧州選手権、世界選手権を制し、東京大会への出場を確定させた

選手名ローラ・トロット
(Laura Trott)
出場競技/種目オムニアム(女子)他
オリンピック出場実績2012年ロンドン/2冠
2016年リオ/2冠
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/23個
銀メダル/6個
銅メダル/4個

外部サイトへのリンク
サイクリングアーカイブ 公式ホームページ

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 オリンピック『サッカー』の国別メダル獲得数および、世界で活躍する選手の年収ランキング(抜粋)は以下の通りである。

男子
順位国/地域
1ブラジル1326
2ハンガリー3115
3ソビエト2035
女子
順位国/地域
1アメリカ4105
2ドイツ1034
3ノルウェー1012
海外サッカー選手年収ランキング(2019年)
順位選手名年収チーム名国/地域
1リオネル・メッシ
(Lionel Messi)
13,000万€
(約162億円)
バルセロナアルゼンチン
2クリスティアーノ・ロナウド
(Cristiano Ronaldo)
11,300万€
(約114億円)
ユベントスポルトガル
3ネイマール
(Neymar)
9,150万€
(約114億円)
パリSGブラジル
4アントワーヌ・グリエーズマン
(Antoine Griezmann)
4,400万€
(約54億円)
バルセロナフランス
5ガレス・ベイル
(Gareth Bale)
4,020万$
(約50億円)
レアル・マドリードウェールズ

 オリンピックを上回る規模を誇るサッカーの祭典「FIFAワールドカップ」は、世界一のスポーツ大会と言っても過言ではない。オリンピック1大会当たりの視聴者数は「約40億人」と言われているが、同W杯決勝戦1試合の視聴者数はなんと「10億人」超、期間中の市場規模は5兆円を超える。

 サッカーの強豪国は欧州と南米勢、女子はアメリカが突出して強い。しかし、男子に関しては強豪国の実力が拮抗しており、金メダルの行方は最後の最後まで分からない。1発勝負の決勝トーナメントでは番狂わせが起こることも多く、日本代表などのアジア勢も上位争いに加わるチャンスは十分あるだろう。なお、男子の出場要件は23歳以下、それ以上の選手を代表入りさせる「オーバーエイジ枠」は各国3人までである。

【種目】
・サッカー(男子/女子)

フランス代表

 2018年、FIFAワールドカップロシア大会を制したのは、「レ・ブルー」の相性を持つ『フランス代表』だった。サッカー界の頂点を決める激戦は全世界が注目し、先に述べた通り決勝戦の視聴者数は10億人を超える。まさに世紀のビッグイベント、究極の一戦と呼ぶにふさわしいだろう。

 フランス代表は、1984年ロサンゼルス大会で金メダル、1900年パリ大会では銀メダルを獲得しており、東京大会でも優勝候補の一角に名を連ねる。なお、オリンピックの代表選手は23歳以下(オーバーエイジ枠は3人)で構成する必要があり、2018年W杯とは全く違う戦略/選手で戦う必要がある。

 フランス代表U-23には、ロシアW杯の優勝に大きく貢献した21歳の若き天才ストライカー「キリアン・エムバペ」がおり、東京大会でも別次元の動きを見せてくれるはずだ。さらに、世界最強のクラブチーム「FCバルセロナ」の主力「ウスマン・デンベレ(22歳)」も同代表に名を連ねる。23歳以下限定の世界ランキングは集計されていないが、フル代表の2位に匹敵する強さを有していることは間違いない

 サッカーは11人で戦う団体競技であり、数名の天才がいても優勝できる保障はない。しかし、フランス代表U-23が他国より頭一つ抜きんでていることは間違いないだろう。世界トップレベルの選手がチーム内にいれば、試合に勝つ可能性は高くなる。2020年東京大会、レ・ブルーの活躍から目が離せない。

とめ
フランス代表U-23には、世界トップレベルの選手がふたりいる
レ・ブル―は2020年東京大会の優勝候補。キリアン・エムバペとウスマン・デンベレに注目

チーム名フランス代表
出場競技/種目サッカー(男子)
オリンピック出場実績12回
1984年ロサンゼルス/金メダル
1900年パリ/銀メダル
主な戦績FIFAワールドカップ杯
優勝2回

外部サイトへのリンク
France Football 公式ホームページ

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フランス対ベルギーの対決!!

アメリカ代表

 女子サッカー初のプロリーグは1995年にアメリカで誕生した。しかし、それから14年後の2009年、新団体「アメリカ女子プロサッカー(WPS)」は資金難によりわずか3年で休止、それを受け継ぐ形で「ナショナル・ウーマンズ・サッカーリーグ(NWSL)」が誕生、現在に至る。

 女子サッカー『アメリカ代表』は、困難な状況にぶつかりつつも結果を残し続けた。オリンピック女子サッカー競技では、開催された6大会中4度優勝、女子ワールドカップも4度制し、最強王者としての地位を堅持している。プロリーグでの苦難を吹き飛ばす活躍の源、それは、女子サッカーを世界に広め、プロを夢見る次の世代に希望を与えるためだ

 欧州でも女子サッカーの人気は右肩上がりで、プロリーグが次々に発足。「FCバルセロナ」や「ユベントス」などの超一流クラブが女子単独のチームを発足させ、競技レベルも年々向上している。欧州勢はアメリカの一強体制を崩すべく、女子サッカーへの投資を始めたのだろう。

 2019年、フランスで開催された女子ワールドカップは、アメリカ代表が7戦全勝で4度目の優勝を飾った。7試合で26得点、失点はわずか3点という圧倒的な強さを披露し、欧州勢は完膚なきまでに叩きのめされた。同代表の武器は、世界の先頭を切って女子サッカーの未来を切り開いた「経験値」にある。そして、彼女たちの活躍を見た次の世代は、プロを夢見て練習を始める。アメリカ代表の一強時代はしばらく終わりそうにない。

まとめ
アメリカの女子サッカー選手は、困難な状況にぶつかりつつも、次の世代のために結果を残し続けた
2019年の女子ワールドカップでは7戦全勝。欧州勢を粉砕し4度目の優勝を飾った

チーム名アメリカ代表
出場競技/種目サッカー(女子)
オリンピック出場実績1996年アトランタ/金メダル
2004年アテネ/金メダル
2008年北京/金メダル
2012年ロンドン/金メダル
主な戦績女子ワールドカップ
優勝4回

外部サイトへのリンク
サッカーアメリカ女子代表 公式ホームぺージ

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【ハイライト】イングランドvsアメリカ FIFA 女子 ワールドカップ フランス 2019準決勝

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 オリンピック『ゴルフ』の国別メダル獲得数および、オリンピックランキング(抜粋)は以下の通りである。

順位国/地域
1アメリカ33511
2イギリス1113
4カナダ1001
4韓国1001
5ニュージーランド0101
日本0000
オリンピックランキング(男子)
2020年1月時点
オリンピックランキング(女子)
2020年1月時点
順位選手名順位選手名
1ブルックス・ケプカ(アメリカ)
Brooks Koepka
1コ・ジンヨン(韓国)
고 진영
2ロリー・マキロイ(アイルランド)
Rory McIlroy
2パク・ソンヒョン(韓国)
박 성현
3ジョン・ラーム(アメリカ)
Jon Rahm
3ネリー・コルダ(アメリカ)
Nelly Korda
4ジャスティン・トーマス(アメリカ)
Justin Thomas
4ダニエル・カン(アメリカ)
Danielle Kang
5ダスティン・ジョンソン(アメリカ)
Dustin Johnson
5キム・セヨン(韓国)
김 세영

 幅広い年代から支持されるゴルフは「メンタルのスポーツ」と呼ばれる。直径42.67mmの小さなボールを打つ時間は競技時間の数パーセント、その他は移動と次に狙うコースや作戦を考えることに充てられるのだ。2020年東京大会、世界各国のプロゴルフプレーヤーは「集中力なくして勝利なし」の厳しい戦いに臨む。

 ゴルフは1900年パリ大会でオリンピック初採用、1904年セントルイス大会まで行われたのち実施競技から除外、2016年リオ大会で復活し現在に至る。男子はアメリカ、女子は韓国代表が優勝の筆頭に挙げられている。なお、東京大会に出場できる選手は、国際ゴルフ連盟の発表する「オリンピックランキング」の上位60名(男女)、1各国最大4名まで。

【種目】
・ゴルフ 個人戦(男子/女子)

タイガー・ウッズ(アメリカ)

 『タイガー・ウッズ(Tiger Woods』は、世界で最も偉大なゴルフ選手である。その戦績はまさに異次元、「PGA(男子プロゴルフトーナメント)ツアー」での82勝は歴代最多、四大大会(メジャー)15勝は歴代2位、キャリア獲得賞金1億ドル超(約120億円)、キャリア通算年収はスポーツ界で史上二人目となる2,000億円を突破した

 同選手は世界で最も偉大なアスリートのひとりに名を連ねた。しかし、全てを手に入れた男も、オリンピックの舞台に立ったことはない。ケガなどによる影響で2009年以降は苦しい時期を過ごし、一時は世界ランキングも600位台まで降下、2016年リオ大会期間中はどん底におり、クラブを振ることもままならない状態だった

 2018年、タイガー・ウッズは正式にPGAツアーに復帰、同年9月に5年振りのツアー優勝を果たす。さらに2019年、四大大会のひとつ「マスターズ」を制し完全復活を遂げた。しかし、復活した最強ゴルファーでも、2020年東京大会に出場することは簡単ではない。

 先に述べた通り、東京大会への出場権を得るには、オリンピックランキングのTOP60以内をキープし、かつ同国の選手の中で4位以内に入らなければならない。タイガー・ウッズは現在6位、アメリカの選手としては4番手に位置しており、ギリギリ出場権を保っている状態、後ろには同国の若手選手が上位を伺っており、PGAツアーの結果次第でランキングはあっさり変動する。それほどアメリカの代表争いは激しいのだ。世界で最も偉大なゴルフ選手は、初のオリンピック出場をかけ、現在もPGAツアーで激闘を繰り広げている。

まとめ
タイガー・ウッズは世界でもっとも偉大なゴルフ選手
ゴルフのアメリカ代表候補は強豪揃い。オリンピックランキング上位でも、同国内の選手の中で4位以内に入らなければ、東京大会への出場権は得られない

選手名タイガー・ウッズ
Tiger Woods
出場競技/種目ゴルフ 個人戦(男子)
オリンピック出場実績なし
主な戦績PGAツアー82勝
メジャー15勝
キャリア通算年収2,000億円超

外部サイトへのリンク
タイガー・ウッズ 公式webサイト

鈴木 愛(日本)

 日本の女子プロゴルフ界には世界と互角以上に戦える強豪選手が多く、選手層も非常に厚い。ここで紹介『鈴木 愛(すずき あい)』もそのひとりで、2020年東京大会への出場、同競技日本人初のメダルを虎視眈々と狙っている。

 鈴木は「日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)」主催のツアーを主戦場としており、2019年シーズンは自身二度目の国内賞金女王に輝いた。なお、同年に達成したツアー年間7勝は歴代最多タイ記録、史上二人目となる3週連続優勝を果たすなど、充実した1年を過ごした。

 同選手がJLPGAツアーに参戦したのは2013年から。翌年には、同ツアーの中で最高ランクに位置する「日本女子プロゴルフ選手権大会」でツアー初優勝を果たした。以降、毎年コンスタントに成績を残し、2017年には初の国内賞金女王、日本を代表する女子ゴルフ選手に成長した

 鈴木のオリンピックランキングは現在13位(2020年2月時点)、日本勢としては「畑岡 奈紗(同4位)」「渋野 日向子(同11位)」に次ぐ3番手につけており、2020年6月時点でランキングに変動がなければ、東京大会への出場が決まる。同年のJLPGAツアー開始は3月から、ランキング上位を目指せば、自ずと東京大会への道は開けるだろう。その先に、日本初のメダルと2年連続賞金女王が見えてくる。

まとめ
鈴木は2019年度のJLPGAツアー賞金女王。年間7勝は史上最多タイ記録
目指すは同競技日本人初のメダルと2年連続賞金女王

選手名鈴木 愛
(すずき あい)
出場競技/種目ゴルフ 個人戦(女子)
オリンピック出場実績なし
主な戦績日本女子プロゴルフ賞金女王
2回

外部サイトへのリンク
日本女子プロゴルフ協会 公式ホームページ

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【鈴木愛のスイング分析】女子プロスイング徹底解説 by 堀尾研仁 鈴木愛編

柔道目次に戻る

オリンピック『柔道』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。

順位国/地域
1日本39192684
2フランス14102549
3韓国11161643
4キューバ6141636
5ソビエト551323
6オランダ421723

 柔道は「柔よく剛を制す」を原理/原則として編み出された日本発祥の武道。競技は日本固有の敷物「」の上で実施、男女共通の「道着」を着用し、1対1で争われる。なお、過去の戦績は日本代表が突出しているものの、近年はフランスなどの欧州勢、韓国やキューバなどの選手も非常に強く、1か国がメダルを独占することはほぼない状態だ

 柔道は1964年東京オリンピックで男子のみ実施、女子は1992年バルセロナ大会から正式採用された。階級の見直しも定期的に行われており、2020年東京大会では新種目として「男女混成(それぞれ3名ずつ)の団体戦」が行われる。柔道大国日本は、2016年リオ大会で計12個のメダル(うち金3個)を獲得、東京大会ではそれ以上の活躍を期待したい

【種目】
男子
・60kg級
・66kg級
・73kg級
・81kg級
・90kg級
・100kg級
・100kg超級
女子
・48kg級
・52kg級
・57kg級
・63kg級
・70kg級
・78kg級
・78kg超級
・団体(混合)

テディ・リネール(フランス

 『テディ・リネール(Teddy Riner)』は、現役柔道家の中で最も強い男である。2007年、当時18歳だった同選手は世界選手権男子100kg超級で初優勝、史上最年少の世界王者になった。以降、世界選手権の同階級を8連覇(通算10勝)、2008年北京大会は銅メダルに終わったが、2012ロンドン、2016年リオの男子100kg超級を連覇した。なお、同選手の相性は「テディベア」である。

 テディ・リネールの武器は、圧倒的な体躯(身長204cm、体重140kg)と常人離れした腕力、そして、それを活かした豪快な投げ技にある。可愛いテディベアとは対照的/かけ離れた剛腕に一度捕まれば、同じ階級の選手でも身動きはとれず、得意の「内股」や「大外刈り」で畳に叩きつけられてしまうのだ。

 2017年、同選手は世界選手権8連覇後に長期休暇を取ると発表。そして翌年、東京オリンピック出場と男子100kg超級3連覇を目標に掲げ、2018年と2019年の世界選手権には出場しないと明言し。以降は国際大会で順調に連勝を重ねフランス代表に内定、現在に至る。

 テディベアことテディ・リネールは、2020年東京大会男子100kg超級の大本命、もし敗れるようなことになれば世界中大騒ぎになるだろう。同選手は2010年9月以降一度も試合で負けておらず、連勝記録は152(2020年2月時点)にまで伸びている。また、連勝期間中、技ポイント(有効、技ありなど)を取られたことは1度もなく、相手選手に何もさせない、すなわち完勝が続いている状態なのだ。最強のテディベアは東京大会でも豪快な投げ技を披露してくれるだろう。

まとめ
テディ・リネールはテディベアとは程遠い体躯と剛腕で対戦相手を圧倒する
世界選手権8連覇および通算10勝は、男女を通じて歴代最多

選手名テディ・リネール
(Teddy Riner)
出場競技/種目男子100kg超級
オリンピック出場実績2012年ロンドン/金メダル
2016年リオ/金メダル
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/15個
銀メダル/1個
銅メダル/1個

外部サイトへのリンク
テディ・リネール 公式webサイト

マイリンダ・ケルメンディ(コソボ)

 2008年、コソボはセルビアからの独立を宣言。「コソボ共和国」が誕生し、アメリカを中心とする国々は独立を承認、外交関係が構築されることになった。しかし、国連の安全保障理事会では、拒否権を持つ中国とロシアが独立を認めておらず、同理事会での承認は難しい情勢である

 2008年以前、コソボ共和国のアスリートたちは、ユーゴスラビア代表としてオリンピックに出場していた。しかし、2016年リオ大会からはコソボ共和国の選手として初めて参加、スポーツの祭典は同共和国の独立を支持/出場を承認した。ここで紹介する『マイリンダ・ケルメンディ(Majlinda Kelmendi)』は、コソボ共和国初の旗手を務めた柔道家である。

 2012年ロンドン大会、コソボ共和国独立問題の諸事情を考慮し、IOCは同国の選手たちを「アルバニア代表」として召集すると発表。マイリンダ・ケルメンディはアルバニア代表として女子52kg級に臨み、9位に終わった。翌年、同選手は世界選手権で初の金メダルを獲得。翌々年の世界選手権も制し連覇を達成し。なお、二つの金メダルはアルバニア代表として獲得したと記録されている。

 2016年リオ大会、マイリンダ・ケルメンディはコソボ共和国代表として女子52kg級に臨み同共和国初の金メダルを獲得コソボ共和国の国旗が掲げられ、国家が流れた歴史的瞬間であった

 2019年、同選手は世界選手権女子52kg級で金メダルを獲得、東京大会への出場権を獲得し、コソボ共和国の代表に内定した。独立運動に翻弄されながらも結果を残し続け、歴史に名を刻んだ不屈の柔道家は、東京オリンピックで同階級連覇に挑戦する

まとめ
独立問題に翻弄された同選手は、コソボ共和国初のオリンピック金メダリストになった
2019年世界選手権で金メダルを獲得し、東京大会内定済み。女子52kg級連覇に挑戦する

選手名マイリンダ・ケルメンディ
(Majlinda Kelmendi)
出場競技/種目女子52kg級
オリンピック出場実績2016年リオ/金メダル
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/4個
銅メダル/1個

外部サイトへのリンク
国際柔道連盟 公式ホームページ

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Judoka Kelmendi becomes Kosovo's first Olympic Champion

近代五種目次に戻る

オリンピック『近代五種』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。

順位国/地域
1ハンガリー98522
2スウェーデン97521
3ソビエト55515
4アメリカ0639
5イギリス2237
日本0000

 近代五種は、複数の異なる種目(フェンシング、競泳、馬術、レーザーラン)を連続で行い順位を争う。なお、「レーザーラン」とはレーザーピストルによる射撃と800m走を交互に行うもので、最終種目として実施され、ゴールした順番が競技全体の最終順位になる

 同競技は非常に難易度が高く、特に馬術とフェンシングのハードルが高いと言われている。日本国内では訓練施設を探すことも難しく、競技人口は極めて少ないのが実情だ。強豪国はハンガリーとスウェーデン、両国は選手の育成に力を入れており、安定した素晴らしい戦績を残している。なお、東京大会では1日で全ての種目を実施、会場は「武蔵野の森総合スポーツプラザ」と「東京スタジアム」の予定だ。

【種目】
・近代五種 個人(男子/女子)

アナスタシア・プロコペンコ(ベラルーシ)

 「キング・オブ・スポーツ」の異名を持つ近代五種は、若手より中堅選手の方が良い結果を残す傾向にある。理由は、体力以上に「経験」そして「技術」を要するためだろう。特に最終種目のレーザーラン(レーザーピストルによる射撃と800m走を交互に4回行う)では、的を正確に打ち抜くまで射撃を延々と行わねばならない。経験から培われる「冷静さ」と「集中力」が大きな武器になることは想像に難くないだろう。

 『アナスタシア・プロコペンコ(Anastasiya Prokopenko)』はベラルーシの近代五種選手である。2008年北京大会、当時23歳だった同選手はオリンピック初出場ながら銅メダルを獲得、近代五種競技の時代を担う選手として注目された。しかし、翌年以降国際大会で大きな結果を残すことはできず、2012年ロンドン大会は6位。2016年リオ大会では、上位争いに加わることすらできなかった

 先に述べた通り、近代五種では経験と技術が大きな武器になる。アナスタシア・プロコペンコは二人の子供を授かって以降も競技を継続、世界の頂点を目指し弛まぬ努力を惜しまなかった。オリンピックで銅メダルを獲得してから10年後の2018年、33歳になった同選手は自身初となる世界選手権での金メダルを獲得、最終種目レーザーランで別格の成績を残し、ライバルたちを振り切った

 同競技はフェンシング(ランキングラウンドとボーナスラウンド)、馬術、競泳の4種目のポイントを時間に換算し、最終種目レーザーランで時間差を設け、上位の選手からスタート、ゴール順でメダルが確定する。アナスタシア・プロコペンコは冷静さと集中力をフルに使い、レーザーランで他の追随を許さぬ走り/射撃を見せ、同種目の世界記録まで更新した。2020年東京大会、34歳のママさんアスリートは、初のオリンピック金メダルを狙う。

まとめ
同選手は2008年北京大会近代五種の銅メダリスト
メダル獲得以降大きな結果を残せずにいたが、2018年の世界選手権で初の金メダルを獲得した

選手名アナスタシア・プロコペンコ
(Anastasiya Prokopenko)
出場競技/種目近代五種 個人(女子)
オリンピック出場実績2008年北京/銅メダル
2012年ロンドン/6位
2016年リオ
主な戦績2018年世界選手権/2冠

外部サイトへのリンク
国際近代五種連合 公式ホームページ

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Анастасия Прокопенко. НАШИ

ラグビー目次に戻る

オリンピック『ラグビー』の国別メダル獲得数および、世界ランキング(抜粋)は以下の通りである。

順位国/地域
1フランス1203
2イギリス0303
4アメリカ2002
4オーストラリア2002
5フィジー1001
日本0000
世界ランキング(15人制)/2020年1月時点
順位国/地域ポイント
1南アフリカ94.19
2ニュージーランド92.11
3イングランド87.32
4ウェールズ85.02
5アイルランド84.62

 「ラグビーユニオン(15人制)」は、1900年パリ、1908年ロンドン、1920年アントワープ、1924年パリ大会で実施、以降は実施競技から除外されていたが、2016年リオ大会から「セブンズ(7人制)」が新たに採用され現在に至る。過去のメダル獲得実績はほとんど戦前の記録であり、近代ラグビーでは全く参考にならないだろう。

 ラグビーの強豪国は南アフリカ、ニュージーランド、イングラント、以下欧州勢と日本代表が続く。2019年に日本で開催されたワールドカップ(15人制)では南アフリカが優勝しており、東京大会でも同国を中心に激しい優勝争いが繰り広げられるだろう。なお、ユニオンとセブンズは競技感覚が全く異なる。ユニオンのスター選手でも、セブンスを行う際にはかなりの訓練期間を要するため、各国の選抜メンバーにも注目したい

【種目】
・7人制ラグビー(男子/女子)

南アフリカ代表セブンズ

 7人制ラグビー『南アフリカ代表セブンズ』は、既に東京大会への出場権を獲得している。2019年W杯を制した最強チームなので当然と思うかもしれないが、実はラグビーユニオン(15人制)とセブンズ(7人制)の戦績、世界ランキングは全く別物として考えられており、同代表は東京大会の優勝候補、最強チームとは言えない現状にある

 W杯を制した南アフリカ代表ユニオンは世界ランキング1位(2020年2月時点)、「オール・ブラックス」ことニュージーランド代表と激しい首位争いを繰り広げている。しかし、セブンズ限定の世界ランキングでは4位、メダルは射程圏内だが、フィジー(同1位)、アメリカ(同2位)、ニュージーランド(同3位)に大きく水をあけられている状態だ。

 ユニオンで最も重要される要素は「フィジカル」、一方、セブンズでは「スピード」が重要視される傾向にある。理由はフィールド内に入る選手が少なく、走り抜ける空間/スペースが大きくなるためだ。ただし、南アフリカ代表セブンズの足が遅いわけではない。上位勢の差はほんの僅かである。しかし、同代表は2019年の世界大会でも苦しい戦いを強いられた。

 2020年東京大会のラグビー競技、優勝候補は圧倒的な強さを誇るフィジー代表、それを追うアメリカ代表の構図になっている。南アフリカ代表セブンズは、挑戦者として初の金メダルを狙う。2016年リオ大会は銅メダル、日本開催のW杯では優勝、真夏の東京を再び熱く盛り上げてほしい。

まとめ
南アフリカ代表セブンズは現在世界ランキング4位。メダルは射程圏内である
2019年、ラグビーは世界を熱く盛り上げた。2020年の東京でも同代表の活躍に期待

チーム名南アフリカ代表セブンズ
出場競技/種目7人制ラグビー(男子)
オリンピック出場実績2016年リオ/銅メダル
主な戦績ラグビーワールドカップ
優勝3回

外部サイトへのリンク
SA Rugby 公式ホームページ

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【ハイライト】イングランド vs. 南アフリカ ラグビーワールドカップ2019 決勝

卓球目次に戻る

オリンピック『卓球』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。

順位国/地域
1中国2817853
2韓国331218
3ドイツ0347
4日本0224
5スウェーデン1113
6北朝鮮0123

 卓球は1988年ソウル大会から男女共に採用/実施され、2020年東京大会では混合ダブルスが新種目に加わる予定だ。同競技は中国1強状態が長年続いており、世界ランキングの上位も同国の代表選手が占める。2008年北京大会では、中国勢が男女シングルスで金銀銅メダルを独占、団体戦も全て制し、完全優勝を成し遂げた

 2020年東京大会では、中国選手の牙城を崩す戦いに期待したい。欧州ではドイツとスウェーデン、アジアでは韓国と日本にメダルの期待がかかる。日本代表は自国開催というアドバンテージを活かし、初の金メダルを狙う。なお、卓球(テーブルテニス)は世界中で老若男女を問わず盛んに行われており、愛好者も含めた競技人口は3億人を超える。

【種目】
・シングルス(男子/女子)
・団体(男子/女子)
・ダブルス(混合)

馬 龍(中国

 中国卓球界のレジェンド『馬 龍(Mǎ Lóng)』は、数々の金字塔を打ち立ててきた卓球選手である。国際大会デビューを果たしたのは16歳の頃、アジア、世界ジュニア選手権で複数個のタイトルを獲得し、脚光を浴びた

 中国の代表権争いは、オリンピックで金メダルを取る以上に難しいと言われている。選手層の厚さはもちろん、優秀な若手選手の育成も盛んに行われており、世界ランキング上位独占は当たり前。卓球も他の競技と同じく、国ごとに最大出場枠が設けられており、シングルスの場合だと国内の上位2名までしか出場できない馬 龍は現在世界ランキング3位、1位と2位チームメートであり、今のままだと男子シングルスの出場権を得ることはできない状態だ。

 同選手は2012年ロンドン大会男子団体で金メダル、2016年リオ大会ではシングルスと団体の2冠を達成した。国際大会でのメダル獲得数は30個(うち金22個)、世界選手権男子シングルスは現在3連覇中である。しかし、これほどの超強豪選手でも東京大会への出場は未確定の状態、中国代表候補の層の厚さには驚かされる。

 先述の通り、馬 龍は世界ランキング3位、団体での代表入りは当確だろうが、連覇のかかる男子シングルスの切符を手に入れるためには、チームメートを超えなければならない。2013年に「世界卓球殿堂入り」を果たしたレジェンドは現在32歳、まだまだ若く、世代交代を認める年齢ではない。

まとめ
馬 龍が国際大会で獲得したメダルは計30個。東京大会では男子シングルス連覇を狙う
中国の代表権争いは世界一過酷。チームメートはライバル、世界を代表する強者ばかりだ

選手名馬 龍
(Mǎ Lóng)
出場競技/種目シングルス(男子)他
オリンピック出場実績2012ロンドン/金メダル
2016年リオ/2冠
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/22個
銀メダル/2個
銅メダル/6個

外部サイトへのリンク
国際卓球連盟 公式ホームぺージ

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男子ワールドカップ2019|準決勝 張本智和vs馬龍

伊藤 美誠(日本)

 2020年東京大会、日本卓球界は悲願の金メダルを狙い、最強の布陣で世界王者中国に臨もうとしている。ここで紹介する『伊藤 美誠(いとう みま)』は10代前半から国際大会で活躍する女子日本代表の若き天才選手である。

 伊藤が国際大会で大きな実績を残したのは9歳の頃、東アジア選手権で銀メダル獲得した。さらに翌々年の2011年には同大会で初の金メダルを獲得。その後も順調に結果を残し続け、幼い頃からの友人兼ライバルの「平野 美宇」とともに日本代表を争い切磋琢磨した

 2016年リオ大会、伊藤は女子団体において卓球界歴代最年少となる15歳で銅メダルを獲得、準決勝でドイツに敗れたものの、3位決定戦でシンガポールとの激闘を制した。2017年以降のシーズンも国際大会等で経験を積み、通算メダル獲得数は36個(うち金7個)、誰もが認める女子日本代表のエースに成長した。

 伊藤は世界ランキング3位を堅持しており、東京大会日本代表内定済みである。また、友人兼ライバルの平野も女子団体代表に内定、一緒に金メダルを目指すことになった。女子シングルスでメダルを獲得すれば日本初の快挙、団体での金メダルも同様、そして、二つの目標の前には中国代表という厚く高い壁が立ちふさがっている。日本卓球界の歴史を塗り替えるべく、「美宇美誠コンビ」はラケットを振る。

まとめ
2016年リオ大会、伊藤は卓球界史上最年少のメダリストになった
東京大会では友人兼ライバルの平野と共に、世界王者中国に立ち向かう

選手名伊藤 美誠
(いとう みま)
出場競技/種目シングルス(女子)他
オリンピック出場実績2016年リオ/銅メダル
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/7個
銀メダル/23個
銅メダル/6個

外部サイトへのリンク
伊藤 美誠 公式webサイト

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オリンピック『テニス』の国別メダル獲得数および、世界ランキング(抜粋)は以下の通りである。

順位国/地域
1イギリス17141243
2アメリカ2161239
3フランス56819
4スペイン27312
5ドイツ26210
16日本0213
ATP世界ランキング(男子シングルス)
2020年1月時点
WTA世界ランキング(女子シングルス)
2020年1月時点
順位選手名順位選手名
1ノバク・ジョコビッチ(セルビア)
Novak Đoković
1アシュリー・バーティ(オーストラリア)
Ashleigh Barty
2ラファエル・ナダル(スペイン)
Rafael Nadal
2シモナ・ハレプ(ルーマニア)
Simona Halep
3ロジャー・フェデラー(スイス)
Roger Federer
3カロリナ・プリスコバ(チェコ)
Karolína Plíšková
4ドミニク・ティエム(オーストリア)
Dominic Thiem
4エリナ・スビトリナ(ウクライナ)
Elina Svitolina
5ダニール・メドベージェフ(ロシア)
Daniil Medvedev
5ベリンダ・ベンチッチ(スイス)
Belinda Bencic

 テニスは第1回アテネ大会から採用されていたものの、アマチュアとプロの競技格差を理由に正式競技から除外されていた。しかし、「国際オリンピック委員会(IOC)」がオリンピックへのプロ選手参加を解禁したことで、同競技も1988年ソウル大会から復活、現在に至る。

 テニスの強豪/スター選手は世界各国から誕生しており、2020年東京大会でも激戦が予想されている。また、男子は「ATP」、女子は「WTA」の過酷なツアー期間中に参戦するため、世界ランキングの上位に位置する選手でも、厳しい試合間隔等の影響で敗戦を強いられることも多い。真夏の東京で決勝戦まで勝ち抜くには、技術以上に「タフさ」が要求されるだろう。

【種目】
・シングルス(男子/女子)
・ダブルス(男子/女子/混合)

ノバク・ジョコビッチ(セルビア)

 『ノバク・ジョコビッチNovak Đoković』は世界で最も有名なテニス選手のひとりである。2020年1月、「男子プロテニス協会(ATP)」主催の四大大会「全豪オープン」で8度目の優勝を果たし、世界ランキング1位に返り咲いた。なお、ライバルの「ラファエル・ナダル(同2位)」「ロジャー・フェデラー(同3位)」とは10年以上3強時代を構築しており、テニス界の「BIG3」と呼ばれている。

 ノバク・ジョコビッチの戦績は、歴代ATP選手の中でもトップクラスである。四大大会(通称グランドスラム)17勝は歴代3位、ツアー通算79勝は5位、生涯獲得賞金1.3億ドル(約150億円)は歴代1位、2020年のATPツアーは同選手を中心に激しい優勝/覇権争いが展開されるだろう。

 テニス界最強の男と呼ぶにふさわしい戦績の中で唯一足りないもの、それはオリンピックでの金メダルである。テニス界におけるオリンピックの地位はとても高く、四大大会と同じ扱いを受けている。なお、ノバク・ジョコビッチは、キャリア内で四大大会を全て制す「キャリア・グランドスラム(男子シングルス)」を達成しており、2020年東京大会で金メダルを獲得すれば、「キャリア・ゴールデンスラム(男子シングルス)」に認定される。

 同選手は2008年北京大会で銅メダルを獲得するも、2012年ロンドンは4位、2016年リオ大会では初戦敗退を喫し、人目をはばからず涙を流した。現在32歳とキャリア絶頂期にあり、東京大会では是が非でも金メダルを獲得したいだろう。オリンピックはATPツアーとは違い、祖国のプライドと国民の期待を背負い戦うことになる。テニス界最強の男は、有明のセンターコートで頂点を狙う。

まとめ
2020年の全豪オープンを制し、世界ランキング1位を奪取。東京大会でも金メダルの有力候補である
同選手とオリンピックの相性は決して良くない。2016年リオ大会のリベンジなるか

選手名ノバク・ジョコビッチ
Novak Đoković
出場競技/種目シングルス(男子)
オリンピック出場実績2008年北京/銅メダル
2012年ロンドン/ベスト4
2016年リオ/初戦敗退
主な戦績ATPツアー79勝
グランドスラム優勝17回
世界ランキング1位

外部サイトへのリンク
ノバク・ジョコビッチ 公式webサイト

セリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)

 「女子テニス協会(WTA)」は1970年に設立、男子テニスとの賞金格差や扱いの違いを是正すべく立ち上げられ、今では500名もの女子テニス選手が所属、四大大会優勝を目指し激しい競争が繰り広げられている。ここで紹介する『セリーナ・ウィリアムズ(Serena Williams)』は、同協会の歴史を次々と塗り替え、史上最高の女子テニスプレーヤーと呼ばれるレジェンドだ。

 同選手は2000年シドニー、2008年北京、2012年ロンドンの女子ダブルスで金メダルを獲得2012年ロンドン大会では女子シングルスも制し2冠を達成した。WTA主催の四大大会では、女子シングルス23回、ダブルス14回、混交ダブルスを2回制し、計39回は史上2位の大記録である。さらに、四大大会とオリンピックを制す「キャリア・ゴールデンスラム」をシングルスとダブルス両方で達成、これは男女通じて史上初の快挙だった。

 セリーナ・ウィリアムズは現在38歳、WTAの中ではベテラン選手に分類される。しかし、年を重ねても力強いサーブ、ストローク、強靭な足腰と体力は一向に衰えず、並みの若手選手では手も足も出ない。同選手の世界ランキングは現在9位、2017年には結婚、出産でWTAから離れていたものの、復帰してからも変わらぬ活躍を見せている

 同選手は東京オリンピックへの出場を狙っており、姉の「ビーナス・ウィリアムズ」とダブルスで4度目の金メダルを取ると明言した。世代交代の早い/激しい女子テニス界、二人の活躍は同年代の女性、子を持つ母親たちに勇気と希望を与えるだろう。2020年東京大会、女子テニス界のレジェンドは新たな歴史を刻むべく、有明の地を踏む。

まとめ
金メダル4個はテニス界最多記録。東京大会では姉と共に史上最多記録更新を狙う
女子シングルス、ダブルスの両方でキャリア・ゴールデンスラムを達成。これは男女を通じて史上初の快挙である

選手名セリーナ・ウィリアムズ
(Serena Williams)
出場競技/種目シングルス(女子)他
オリンピック出場実績2000年シドニー/金メダル
2008年北京/金メダル
2012年ロンドン/2冠
主な戦績WTAツアー96勝
グランドスラム優勝39回
生涯獲得賞金8,000万ドル
※全ての女子プロ選手史上1位

外部サイトへのリンク
セリーナ・ウィリアムズ 公式webサイト

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オリンピック『バレーボール』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。

順位国/地域
1ロシア88319
2ブラジル53210
3アメリカ33410
4日本3339
5イタリア0336
6キューバ3025

 バレーボールは1964年東京大会から、屋外(砂浜)で行われる「ビーチバレーボール」は1996年アトランタ大会からオリンピックに採用された。なお、上記のメダル獲得実績はバレーボールのみ、ビーチバレーボールではアメリカとブラジルが突出して強く、ドイツやイタリアなどの欧州勢が後ろに続く。

 日本代表は男女とも金メダルの獲得実績がある。しかし、近年は欧米の強豪国に押され、男子は1976年モントリオール大会以来メダルを獲得できていない。なお、女子は2012年ロンドン大会で24年振りのメダルを獲得、東京大会では自国開催のプライドをかけて戦わねばならない。男子日本代表「龍神NIPPON」の奮起に期待。

【種目】
・バレーボール(男子/女子)
・ビーチバレーボール(男子/女子)

ブラジル代表

 男子バレーボール『ブラジル代表』、通称カナリア軍団は、東京大会の金メダル最有力に挙げられている。オリンピックでは1992年バルセロナ、2004年アテネ、2016年リオ大会で金メダルを獲得し、世界選手権、ワールドカップをそれぞれ3度制すなど、今最も勢いのあるチームである

 男子バレーボールの強豪国/世界ランキング上位国の実力は拮抗しており、近年は特にその傾向が顕著に表れている。オリンピックを連覇したのは1984年ロサンゼルス、1988年ソウル大会のアメリカ代表が最後。以降はロシア、アメリカ、ポーランドなどの欧州勢が優勝を分け合っており、ブラジル代表も連覇を阻まれ続けてきた。

 ブラジル代表は、2018年の世界選手権で銀メダルを獲得して以降、連勝街道を突き進んでいる。2019年、日本で開催されたワールドカップでは11戦全勝という圧倒的な強さで優勝。世界ランキング2位のアメリカを3対0で下すなど、格の違いを見せつける試合運びはまさに圧巻、同ランキングでも1位を独走(2020年2月時点)している

 同代表の武器は他を寄せ付けぬ強烈なスパイクと、選手の若さにある。20歳代の選手が他国に比べて多く、皆エネルギーに満ち溢れており、国際大会での経験も豊富。身長200cm越えの選手が半数近くを占め、スパイクとブロックの高さ、強さも尋常ではない。さらに、数名のベテラン選手がチームをしっかりまとめ上げており、弱点らしい弱点が見当たらない状態である。カナリア軍団は東京大会で32年振りのオリンピック連覇を狙う

まとめ
ブラジル代表は、2019年のワールドカップを11戦全勝で制す圧倒的な強さを見せつけた
同代表の武器は強烈なスパイクと選手の若さ。東京大会では32年振りのオリンピック連覇を狙う

チーム名ブラジル代表
出場競技/種目バレーボール(男子)
オリンピック出場実績14回
1992年バルセロナ/金メダル
2004年アテネ/金メダル
2016年リオ/金メダル
主な戦績世界選手権優勝3回
ワールドカップ優勝3回

外部サイトへのリンク
ブラジルバレーボール連盟 公式ホームページ

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【フジテレビ公式☆ワールドカップバレー2019】10/14(月・祝)[男子]第10戦 <日本vsブラジル>

中国代表

 1億人もの死者を出したと言われる「文化大革命」以降、中国(中華人民共和国)は恐るべきスピードで発展を遂げ、スポーツ面においても驚異的な成長を遂げた将来を期待できる選手/若者に投資する環境はアジアの中でもずば抜けており、近年ではアメリカやロシア以上の結果を残すことも珍しくない。女子バレーボール『中国代表』も急成長を遂げたチームのひとつである。

 中国がバレーボールに力を入れ始めたのは1964年東京大会以降、実績のあるコーチを雇い、選手の育成に力を入れた結果、初出場となった1984年ロサンゼルス大会でいきなり金メダルを獲得する。以降のオリンピック、世界選手権、ワールドカップなどでも複数個のメダルを獲得し、あっという間に強豪国の仲間入りを果たした。

 同代表はオリンピックに9回出場、6個(うち金3個)のメダルを獲得。世界選手権は14度出場でメダル6個(うち金2個)、11回出場したワールドカップでは9個(うち金5個)ものメダルを獲得している。世界ランキングでも常にTOP3を争っており、2019年のワールドカップを11戦全勝で制したことで1位に躍り出た

 中国代表選手は個々の能力が非常に高い。英才教育を受けてきたことはもちろん、体格に恵まれた選手ばかりで構成され、チームの平均身長は190cmを超える。スパイク、ブロック、トスなどのスキルも高いレベルにあり攻撃のバリエーションが豊富、すなわち、コート内にいる選手全員が驚異なのだ。2020年東京大会、中国代表は圧倒的な個人技とスキルでオリンピック連覇を狙う。

まとめ
中国代表は英才教育を受けてきたエリート選手集団。個々の能力は世界トップレベルである
2019年のワールドカップは11戦全勝、前世界ランキング1位のセルビアを3対0で下すなど、格の違いを見せつけた

チーム名中国代表
出場競技/種目バレーボール(女子)
オリンピック出場実績9回
1984年ロサンゼルス/金メダル
2004年アテネ/金メダル
2016年リオ/金メダル
主な戦績世界選手権優勝2回
ワールドカップ優勝5回

外部サイトへのリンク
国際バレーボール連盟 公式ホームページ

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【フジテレビ公式☆ワールドカップバレー2019】9/19(木)[女子]第5戦 <日本vs中国>

レスリング(目次に戻る

オリンピック『レスリング』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。

順位国/地域
1アメリカ544335132
2ソビエト623123116
3スウェーデン28273186
4フィンランド26282983
5日本32201769
6ブルガリア16322169

 レスリングは「フリースタイル」「グレコローマンスタイル」の2種目、前者は全身へのタックル/攻撃が可能。後者は下肢への攻撃が禁止されており、上半身のみを使った激しい技の掛け合い、投げ合いでポイントを争う。1896年アテネ大会では男子のみ(グレコローマンスタイル)が行われ、1904年セントルイス大会で男子フリースタイル、2004年アテネ大会から女子フリースタイルが追加された。

 同競技の強豪国は、男子がアメリカ、ロシア、キューバ、欧州勢、そして日本。女子は日本代表が素晴らしい戦績を残しており、東京大会でも各階級にメダルの有力候補を揃えている。なお、レスリング最強決定戦との呼び声も高いグレコローマン130kg超級伝説の英雄「アレクサンドル・カレリン(霊長類最強の男)」の背筋力は400kg超(全盛期)、東京大会でも筋肉と筋肉がぶつかり合う熱く激しい戦いに期待しよう

【種目】
フリースタイル
・57kg級(男子)
・65kg級(男子)
・74kg級(男子)
・86kg級(男子)
・97kg級(男子)
・125kg級(男子)
・50kg級(女子)
・53kg級(女子)
・57kg級(女子)
・62kg級(女子)
・68kg級(女子)
・76kg級(女子)
グレコローマンスタイル
・60kg級(男子)
・67kg級(男子)
・77kg級(男子)
・87kg級(男子)
・97kg級(男子)
・130kg級(男子)

ミハイン・ロペス(キューバ)

 先に述べた通り、レスリング男子グレコローマンスタイルでは下肢への攻撃が禁止されており、筋骨隆々の男たちは上半身のみ、すなわち腕力と全身の力でつかみ合い技をかけ合う。柔道のように道着をつかむことができないため、正真正銘の肉弾戦、男の汗と汗、力と力が激しく、そして荒々しくぶつかり合うのだ

 『ミハイン・ロペス(Mijaín López)』は、グレコローマンスタイル130kg級の世界チャンピオンである。2008年北京、2012年ロンドン、そして2016年リオ大会で同種目3連覇を達成。これは「霊長類最強の男」と呼ばれた「アレクサンドル・カレイン」以来の快挙であり、2020年東京大会で4連覇を達成すれば歴史を塗り替えることになる。

 男子レスリングは世代交代の早い競技として知られる。若く優秀な選手が次々に現れ、力と体力で中堅、ベテラン選手をねじ伏せてしまうのだ。しかし、世代交代を果たした新世代も、数年後にはさらに若い世代と対峙、敗北を喫してしまう。さらに過酷な競技であるが故、ケガをする可能性も高い。全階級の中で最も過酷、一歩間違えれば命を落とすとまで言われる130kg級の覇権を10年近く堅持しているミハイル・ロペスは、怪物と呼ぶにふさわしい選手だろう。

 同選手は、2020年東京大会での金メダルを花道に引退することを明言した。同種目でのオリンピック4連覇は、全競技を通して数名しか達成できていない偉業中の偉業、男子レスリング界では史上初、不滅の大記録になるだろう。筋肉の鎧を身にまとった怪物は、新世代の選手に引導を渡し、「新・霊長類最強の男」になるべく頂点を狙う。

まとめ
同選手は、レスリング界で最も強靭/屈強/筋骨隆々な男たちが集うグレコローマンスタイルを3連覇中
2020年東京大会で同種目4連覇を達成すれば、伝説の偉人たちに肩を並べる

選手名ミハイン・ロペス
(Mijaín López)
出場競技/種目130kg級(男子)
オリンピック出場実績2008年北京/金メダル
2012ロンドン/金メダル
2016年リオ/金メダル
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/8個
銀メダル/3個

外部サイトへのリンク
国際オリンピック委員会 公式ホームページ

画像はイメージです。クリックすると動画が再生されます
Rio Replay: Greco Roman 130kg Gold

向田 真優(日本)

 『向田 真優(むかいだ まゆ)』は、日本の女子レスリング界を担う新時代のエース候補である。女子55kg級を主戦場としており、オリンピックで同種目3連覇を達成した日本最強女子「吉田 沙保里」の後継者との呼び声も高い。なお、2020年東京大会では55kg級は実施されないため、53kg級で頂点を目指すことになった。

 同選手は幼少期からレスリングを始め、小学生対象の全国大会を軒並み制覇、メキメキと実力を伸ばし、「JOCエリートアカデミー」へ推薦入学することになった。なお、同校は「日本オリンピック委員会(JOC)」が欧米や中国の選手育成を参考に考案、運営するスポーツ選手専用の養成所である。入学した選手たちは、平日の日中は他校(小中高校)で授業を受け、それ以外の時間は競技別に分かれ英才教育/訓練を受ける。

 向田は世界ジュニア選手権、17歳と18歳を対象とした世界カデット選手権などで優勝、2016年には19歳で世界選手権に初出場し、55kg級で金メダルを獲得した。なお、現在はJOCエリートアカデミーを離れ、大学に籍を置く現役の女学生である。

 2019年の世界選手権、向田は女子53kgに出場、決勝で北朝鮮の選手に敗れたものの、東京大会への出場権を獲得、日本代表に内定した。吉田沙保里の系譜を受け継ぐ新たな日本最強女子候補は、東京大会でのリベンジを明言。世界選手権で敗れた北朝鮮のエース「パク・ヨンミ」を超え、JOCエリートスクール選手/卒業生初の金メダルを狙う

まとめ
向田はJOCエリートアカデミーの3期生。同校初のオリンピック金メダルを狙う
2019年の世界選手権では銀メダルに終わった。東京大会でのリベンジに期待

選手名向田 真優
(むかいだ まゆ)
出場競技/種目57kg級(女子)
オリンピック出場実績なし
主な戦績国際大会通算戦績
金メダル/6個
銀メダル/1個

外部サイトへのリンク
日本レスリング協会 公式ホームページ

まとめ

 今回は東京オリンピックに登場する、もしくは登場するであろう超一流アスリートを紹介した。なお、私の個人的な主観で選んでいることをご理解いただきたい。

 スポーツの祭典オリンピックに出場する選手たちは、厳しいトレーニングを乗り越え、国際大会などで結果を残し、出場権を獲得する。そして、世界最高の舞台で力を最大限発揮できた選手がメダル獲得のチャンスを得るのだ。2020年東京大会まであと半年、超人たちの活躍を目に焼き付けよう。最後までお読みいただきありがとうございました。

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