◎アメリカはEUの「セーフリスト」から除外されたが、ワクチン接種を終えた米国民の入国許可は維持される。
8月30日、EUは加盟27カ国にコロナウイルスの感染が再拡大しているアメリカの訪問者に対する制限を再開するよう促した。
これにより、アメリカはEUの「セーフリスト」から除外されたが、ワクチン接種を終えた米国民の入国許可は維持される。
EUは6月、観光シーズンの開始に先立ち、全ての米国民の入国を許可したが、アメリカの一部の州で感染が再拡大していることを受け、セーフリストを見直した。ただし、このガイダンスに拘束力はなく、米国民の入国を許可するか否かは加盟国に委ねられる。
一方、アメリカは2020年3月以来、欧州に対する渡航禁止令(必須でない訪問者の入国禁止)を維持している。
EUとアメリカはインドで初めて検出されたデルタ株の感染拡大に悩まされている。ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、アメリカの8月29日の新規陽性者は42,158件、直近7日間の症例は1日あたり約15万件、直近7日間の死亡者は1日あたり約1,300人まで増加した。
米国内で最も感染が深刻な地域は主に共和党主導の州であり、フロリダ州の新規症例は20,000~30,000件、ジョージア州も20,000件を超え、医療機関は強烈な圧力に直面している。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は今週、感染状況が悪化している国の入国を許可し続けることは許されないと述べた。
EUはイスラエル、コソボ、レバノン、モンテネグロ、北マケドニアもセーフリストから除外した。
アメリカの感染状況は今年1月のピーク時に匹敵するレベルまで上昇し、全米の入院患者数は8月29日時点で142,000人を超えた。
米保健社会福祉省によると、フロリダ州の医療機関に入院しているコロナ患者は16,000人を超えたという。南部テキサス州とカリフォルニア州でも感染者が急増している。
デルタ株の感染拡大に拍車をかけた「学校のマスクルールに対する州政府の罰則」は全米で物議を醸し、その中心になったフロリダ州の学校では児童の感染が相次いで報告され、広範な怒りを引き起こした。
疾病予防管理センター(CDC)によると、全米の医療機関の約20%の集中治療室(ICU)占有率が95%を超えたという。また、症例の急増に伴い死亡率もじわじわと上昇しており、医療従事者にかなりの負担をかけている。
一方、食品医薬品局(FDA)は先週、ファイザーワクチンの緊急使用承認を認可に引き上げた。ジョー・バイデン大統領はFDAの認可を称賛し、ワクチン未接種者に今すぐワクチンを手に入れるよう促した。
CDCが先週公表した研究データによると、ワクチンを接種していない人は、接種を終えた人に比べてコロナで入院する確率が約29倍高いことが示されたという。
アメリカのワクチン接種はゆっくりと進んでおり、少なくとも1回接種した人は成人人口の約74%、接種を終えた人は約63%。EUで少なくとも1回接種人人は成人人口の約76%、接種を終えた人は約67%。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は30日、EUの渡航制限はワクチン未接種者に適用されることを強調し、「制限を解除する最速の道は、ワクチン接種を加速させ、コロナウイルスの感染拡大を抑えること」と述べた。
またサキ報道官は、「アメリカは入国に関する独自の規則を策定し、検査体制を強化し、ワクチン接種を終えた外国人訪問者だけを受けいれる可能性がある」と明らかにしたが、規則の最終承認はまだ下りていないと補足した。
米主要メディアによると、オレゴン州の死体安置所は満杯になり、先週だけで2,000人近くが死亡したフロリダ州は追加の冷蔵トラックを探し回っているという。
いくつかの州では病院の職員やスタッフが不足しており、新学期の開始に伴い、まだワクチンを接種できない数百万の児童が教室に戻ることで感染拡大に拍車がかかるという懸念が高まっている。