◎抗議者たちはポピュリストのオルバーン・ヴィクトル首相と、6月に議会で可決された物議を醸す法律を非難し、性的マイノリティを差別してはならないと訴えた。
2021年7月24日/ハンガリー、首都ブダペストで開催されたゲイプライドパレード(Anna Szilagyi/AP通信)

7月24日、ハンガリーの首都ブダペストで政府の差別的な法律に反対するゲイプライド(LGBTプライド)パレードが開催され、LGBTQ支持者数千人が参加した。

抗議者たちはポピュリストのオルバーン・ヴィクトル首相と、6月に議会で可決された物議を醸す法律を非難し、性的マイノリティを差別してはならないと訴えた。

集会を主催した団体は声明で、「今年の行進はLGBTQ運動を祝うと同時に、ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダーを含む全ての性的マイノリティに対する差別的な法律と政府に抗議するために開催されました」と述べた。

ハンガリー議会が6月に可決した法案により、学校の性教育プログラム、映画および広告の中で、同性愛または性別適合に関するコンテンツを18歳未満に共有することは禁止された

また、学校で性教育を行うことができる組織は政府の承認を得た市民団体に限定され、性的指向について記したメディアコンテンツおよび文献の利用と、教育中の議論も一部制限されることになった。

政府は、「法律は子供の保護を目的としており、同性愛者を攻撃するつもりはない」と主張した。しかし専門家たちは、「政府は同性愛と小児性愛を混同している」と指摘したうえで、「法律は若者の情報にアクセスする権利と自分の性的指向を検証する権利」を妨げると非難した。

EUの指導者たちも法律を厳しく非難しており、欧州委員会は先週、LGBTの権利を侵害したとしてハンガリー政府に対する訴えを2件起こした。

抗議者たちはドナウ川にかかわる自由橋を渡り、市街地を練り歩いた。LGBTQコミュニティに参加している女性はAP通信の取材に対し、「今年の行進はこれまでとは異なります」と述べた。「政府は差別を推進し、性的マイノリティを端に追いやりました。私は事態がさら​​に悪化した場合、ハンガリーを離れるつもりです」

2021年7月24日/ハンガリー、首都ブダペストで開催されたゲイプライドパレード、参加者の男性(Anna Szilagyi/AP通信)

オルバーン首相は21日、性的指向関連の教育の是非を問う国民投票を実施すると発表した。有権者は「学校教育の中で性的指向に関するトピック(授業など)を取り入れる必要があるかどうか」および、「学校教育の中で性別適合手術に関するトピックを取り入れる必要があるかどうか」を判断する。

集会を主催した団体は、「国民投票はLGBTQに対する憎しみと差別を扇動する政府のパフォーマンスであり、実施すること自体間違い」と非難した。「多くの参加者が国を離れるかもしれないと言っています。一部は来年の議会選挙前にハンガリーを離れる予定です。国民投票の結果によっては、さらに多くの人が国を離れることになるでしょう」

現地メディアによると、野党の関係者も集会に参加したという。その中には、来年の選挙でオルバーン首相に挑戦するブダペストのゲルゲイ・カラクソニー市長も含まれていた。

ドイツの政治家で欧州議会議員を務めるテリー・ライントケ氏は行進開始前のスピーチで、「ヨーロッパの目はブダペストに向けられています」と述べた。

2021年7月24日/ハンガリー、首都ブダペストで開催されたゲイプライドパレード(Anna Szilagyi/AP通信)
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