◎欧州委員会はすでにワクチンメーカー6社と26億回分の契約を結んでいる。ファイザー社とは6億回の初期契約を結んでいた。
2021年4月23日/ベルギー、プールスのファイザー社、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長(John Thys/AP通信/プール)

5月8日、EUはファイザー・BioNTech社の新しいコロナワクチン技術への支援を強化し、2023年までに同社のワクチン18億回分を追加購入するという大規模な契約に合意した。

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長の事務所は8日、「現時点で将来の接種を保証する9億回分の契約を承認した」と述べた。

今回の契約はワクチンの生産だけでなく、全ての必須成分をEUから供給することを保証しており、加盟27カ国は全会一致で承認した。

欧州委員会はすでにワクチンメーカー6社と26億回分の契約を結んでいる。ファイザー社とは6億回の初期契約を結んでいた。

フォン・デア・ライエン委員長は、EU圏内でワクチンを生産しているファイザー社の技術(必須成分)に自信を持っていると強調した。アストラゼネカワクチンはEU圏外で生産されている。

フォン・デア・ライエン委員長はポルトガルで開催されたEUサミットの中で、「EUはタンパク質ベースの技術で生産されたワクチンだけでなく、他の契約も検討しています」と述べた。

ファイザーワクチンはコロナウイルスのスパイクタンパク質をベースとしたmRNAワクチンである。mRNAワクチンは病原体タンパクの遺伝子を接種者の体内に送り込み、細胞内で同タンパクを作らせ、送り込んだmRNAと同タンパクによって免疫を活性化させる。

2021年4月23日/ベルギー、プールスにあるファイザー社のロゴ(John Thys/AP通信/プール)

フォン・デア・ライエン委員長の事務所によると、今回の契約合意はより多くの選択肢を提供することに役立つという。「今回の契約は、確保したワクチンを諸外国に寄付もしくは再販することを考慮しています...」

欧州委員会はEU加盟国の居住者約4億5,000万人に必要なワクチン9億回分をすでに確保している。

ファイザー社とBioNTech社はアストラゼネカワクチンの供給不足を補うために、2021年第2四半期(4月~6月)にEUに5,000万回分のワクチンを提供すると約束していた。

フォン・デア・ライエン委員長は以前の声明で、「契約無視や血栓の問題でしばしば批判されているアストラゼネカ社とは違い、ファイザー・BioNTech社は契約と自社のコミットメントを順守する信頼できるパートナー」と述べ、アストラゼネカ社を非難した。

EUは先日、契約条件を順守しなかったとして、アストラゼネカ社に対する訴訟を起こした。

アストラゼネカワクチンはヨーロッパの予防接種キャンペーンの中心であり、開発途上国にワクチンを届けたい国連や世界保健機関(WHO)の戦略の要でもあった。しかし、同社の供給のペースは想定よりはるかに遅く、ヨーロッパ人をイライラさせていた。欧州委員会はワクチンの展開の遅れが感染再拡大につながったとアストラゼネカ社を非難している。

インドに本拠を置く世界最大のワクチンメーカー、セラム・インスティチュート・オブ・インディアは現在、国内の工場で生産しているアストラゼネカワクチンの輸出を停止しており、世界的なワクチン不足に拍車をかけている。

世界のコロナワクチン接種回数は4月末に10億回を超えたが、アストラゼネカワクチンの不足に悩まされているアフリカ大陸の接種数は約2,000万回にとどまっている。

<ワクチン接種数/少なくとも1回接種した人の割合/5月9日時点
アメリカ:2億5,500万回/45%
中国:3億800万回/13%
インド:1億6,500万回/10%
イギリス:5,200万回/52%
ブラジル:4,700万回/15%
ドイツ:3,400万回/32%
トルコ:2,500万回/17%
イスラエル:1,000万回/63%
日本:420万回/2%

世界:12億6,000万回/8%
アジア:6億700万回/5%
北米:2億9,700万回/31%
ヨーロッパ:2億5,300万回/24%
EU:1億6,900万回/27%
南米:8,300万回/13%
アフリカ大陸:2,000万回/1%

2021年4月23日/ベルギー、プールスのファイザー社、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長(John Thys/AP通信/プール)
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