◎5月7日の新規陽性者数は401,078件、死亡者数は同国の過去最高を更新する4,187人、累計感染者数は2,150万件、累計死亡者は23.4万人を超えた。新規陽性者が40万件を超えるのは3日連続。
5月7日、インドのナレンドラ・モディ首相は全国規模の封鎖措置を課すという関係者からの圧力に直面した。政府のコロナウイルスアドバイバー、専門家、野党指導者、最高裁判所の判事、そして医療従事者たちは、現在の危機的な感染状況を緩和させるためには厳格な全国規模の封鎖が欠かせないと主張している。
地元メディアによると、首都ニューデリーの病院では医療用酸素が全く足りず、入院を待っているコロナ患者が病院の外で列を作り、一部の重症者は冷たい地面の上で横になっているという。記者は、「数千人の重症者がその場しのぎの屋外クリニックで治療を受けている」と述べた。
死者の急増に伴い、火葬場と墓地は遺体で埋め尽くされた。遺族は簡単な葬式を上げるために半日以上立ち往生させられ、ひどく疲弊している。
インドの感染状況は極めて深刻で、昨年のロックダウンで大変な目に合った多くのビジネスマンも完全封鎖以外打つ手はないと主張している。
南部の都市バンガロールの花屋で働くアルナ・ラムジー氏はAP通信の取材に対し、「感染を抑えることを最優先してほしい」と述べた。「封鎖は命を助けます。収入はゼロになりますが、命より大切なものはありません。死んだらおしまいです」
一部の西側諸国は順調にワクチンを接種しているが、インドの接種は思うように進んでおらず、世界は感染予防対策不足とワクチン接種の遅れがもたらす混乱をまざまざと見せつけられている。インドを拠点とする世界最大のワクチンメーカー、セラム・インスティチュート・オブ・インディアはアストラゼネカワクチンの輸出を停止しており、開発途上国などにワクチンを提供する世界保健機関（WHO）主導のCOVAXイニシアティブに大きな影響を与えている。
インドの新規陽性者数は2月初めに8,000件台まで減少したが、ヒンドゥー教の宗教祭や州議会選挙の大規模集会などのイベントを強行した結果、感染力の強い変異種が急拡大し、4月中頃に爆発した。
保健当局のまとめによると、5月7日の新規陽性者数は401,078件、死亡者数は同国の過去最高を更新する4,187人、累計感染者数は2,150万件、累計死亡者は23.4万人を超えた。新規陽性者が40万件を超えるのは3日連続。
多くの専門家は公式の感染者数と死亡者数は過少報告されていると主張している。地元メディアによると、火葬場に運び込まれるコロナ患者の遺体の数と公式発表数はほぼ一致しないという。
＜ワクチン接種数／少なくとも1回接種した人の割合／5月8日時点＞
アメリカ：2億5,200万回／45％
中国：2億9,800万回／12％
インド：1億6,300万回／10％
イギリス：5,100万回／51％
ブラジル：4,700万回／14％
ドイツ：3,400万回／31％
トルコ：2,400万回／17％
ロシア：2,100万回／9％
イスラエル：1,000万回／63％
日本：420万回／2％
政府は昨年、最も貧しい人々に小麦、米、レンズ豆、少額の現金を提供した。その後、モディ首相は3,000億ドル（約30兆円）規模の救済予算を確保すると誓ったが、約束は果たせていない。
インドの2020年の第2四半期GDPは、前年比マイナス23％という驚異的な落ち込みを見せたが、その後は感染者の減少に比例してGDPも回復した。
昨年の厳格なロックダウンに苦労させられた一部の労働者は、完全封鎖に反対している。
元建設労働者のシャム・ミシュラ氏は昨年のロックダウンで職を失い、現在は野菜の販売で生計を立てている。ミシュラ氏はAP通信の取材に対し、「コロナで死ぬか飢餓で死ぬかを選ばなければならないとしたら、私はコロナを選びます」と述べた。「完全封鎖は失業を意味します。餓死するぐらいならコロナで死んだ方がマシです」
モディ首相は現在のコロナとの戦いを州政府に任せており、広範な非難に直面している。しかし、政府高官は、「連邦政府はできる限りのことをしている」と力強く反論した。
最高裁判所の判事は今週、連邦政府に集会の禁止を含む封鎖を課すよう要求した。
政府のコロナウイルスアドバイザー、ランディープ・グレリア博士は、検査の陽性率が10％を超えている地域では、昨年と同じ規模の封鎖が必要と主張した。
野党党首のラーフル・ガンディー議員はモディ首相に宛てた書簡の中で、貧しい人々を養うための全面的な支援と厳格な封鎖を要求し、「人件費の節約は悲劇的な結果をもたらす」と警告した。
米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ博士はインドのCNNニュース8のインタビューの中で、「2～4週間の完全封鎖が必要だと思う」と述べた。「人の動きを抑えつつワクチン接種を加速させることが重要です...」
インド公衆衛生財団のスリナート・レディ会長も、「感染状況は州ごとに大きく異なるが、調整された全国規模の戦略は必要不可欠」と強調した。
＜インドの新規陽性者と死亡者＞
2月1日：8,635件／94人
2月8日：9,110件／78人
2月15日：9,121件／81人
2月22日：10,584件／78人
3月1日：12,286件／91人
3月8日：15,388件／77人
3月15日：24,492件／131人
3月22日：40,715件／199人
3月29日：56,211件／271人
4月1日：81,466件／469人
4月8日：131,968件／780人
4月15日：217,353件／1,185人
4月18日：273,802件／1,619人
4月20日：295,158件／2,023人
4月21日：314,644件／2,104人
4月22日：332,921件／2,263人
4月23日：346,786件／2,624人
4月24日：349,691件／2,767人
4月25日：352,991件／2,812人
4月26日：323,023件／2,771人
4月27日：362,757件／3,293人
4月28日：379,257件／3,645人
4月29日：386,555件／3,498人
4月30日：401,993件／3,523人
5月1日：392,488件／3,689人
5月2日：368,060件／3,417人
5月3日：357,229件／3,449人
5月4日：382,146件／3,780人
5月5日：412,262件／3,980人
5月6日：414,188件／3,915人
5月7日：401,078件／4,187人
