◎世界保健機関(WHO)が緊急使用を承認したワクチンはファイザーとアストラゼネカに続いて3件目。
3月1日、世界保健機関(WHO)はジョンソン・エンド・ジョンソンが開発した1回投与タイプのコロナウイルスワクチンの緊急使用を承認した。WHOが緊急使用を承認したワクチンはファイザーとアストラゼネカに続いて3件目。
これにより、WHOやユニセフなどが主導する貧しい国々にワクチンを配布するCOVAXで、輸送しやすく標準タイプの冷蔵庫で保管できる1回投与タイプのコロナワクチンが使用できるようになった。なお、EUの欧州医薬品庁も11日にJ&Jワクチンの緊急使用を承認している。
WHOのテドロス・アダノム事務局長は12日の記者会見で、「J&Jワクチンの大規模な臨床試験のデータを確認した結果、成人に有効であることを確認しました」と述べた。
「新しいワクチンの緊急使用を承認しました。私たちは承認したワクチンがパンデミックの解決策のひとつになることを保証し、一部の貧しい国々の市民が取り残されないようにワクチンを公平に配布します」
3大陸で実施された大規模な臨床試験の結果、J&Jワクチンの重症化を防ぐ確率は85%、中等症は66%、懸念されているブラジル、南アフリカ、イギリスの変異種に対しても効果を期待できることが分かった。
COVAXは先日、5億回分のJ&Jワクチンを購入する契約に合意したと発表したが、当局者によると、「いつまでに何回分のワクチンを提供する」といった細かな契約は締結されていないという。
テドロス事務局長の上級顧問、ブルース・アイルワード博士は、「今後数カ月の間でJ&J社と契約に達した数量の一部が提供されることを望んでいます」と述べた。
「私たちはJ&Jワクチンにとても期待しています。それは1回の投与で済み、標準タイプの冷蔵庫で保管できます。設備の整っていない貧しい国々にも輸送しやすく、容易に保管できるでしょう」
J&J社のアメリカとヨーロップの工場はワクチン生産の遅れに直面していたが、先日、ライバルのメルク・アンド・カンパニー社と歴史的なタッグを組むと発表し、生産を加速させることが決まった。同社は年末までに約10億回分の供給を目指している。
<J&J臨床試験結果の要点>
・接種者の重症化を防ぐ確率は85%。
・接種者の中等症を防ぐ確率は66%。
・接種可能年齢は18歳以上。
・接種者は接種後約14日後に保護された。
・プラセボ接種群で入院した人は16人。7人が死亡。
・J&J接種群の入院および死亡はゼロ。
J&Jのワクチンについて
・1回投与。
・冷蔵庫で保存できる。
・超低温保存を必要としないため、輸送しやすい。
・18歳の以上の人々に十分な安全を保証できる。
種類 | 保護率 接種回数 | 試験数 (公表数) | 保管条件 期間 | 費用 |
ファイザー | 95% 2回 | 43,538人 | -75℃ 解凍後5日 | 20ドル |
モデルナ | 94.5% 2回 | 30,000人 | -20℃ 6カ月 | 33ドル |
オックスフォード | 62-90% 2回 | 24,000人 | 冷蔵庫 ー | 4ドル |
スプトーニクV | 91.6% 2回 | 19,866人 | 冷蔵庫 ー | 10ドル |
ノババックス | 89.3% 2回 | 15,000人 | 冷蔵庫 ー | ー |
J&J | 重85% 中66% 1回 | 44,000人 | 冷蔵庫 3か月 | ー |
コロナウイルスワクチン:分かっていないこと
・妊娠中の女性や免疫力が低下している人に対しての使用可否および効果。
・18歳以下への効果。(子供を対象とする臨床試験はまだ行われていない)
・HIV/AIDS患者やコロナウイルスから一度回復した人への効果。
・アレルギー反応を引き起こす可能性あり。
・接種者はコロナウイルスから保護されるが、「ウイルスの拡散を防ぐ効果があるかどうか」はまだ分かっていない。
・接種者はコロナウイルスから完全に保護される?症状から保護される?
・コロナウイルス変異種に対する効果。
・免疫を保持できる期間は?