東京パラリンピックで活躍が期待される日本人選手（その２）

　東京パラリンピックでの活躍が期待される日本人選手を紹介する。なお、個人的な主観で選んでいることをご理解いただきたい。2020年東京オリンピック・パラリンピックの開幕まであと半年を切った。日本代表選手は続々決まりつつあり、今なお激しい代表権争いが繰り広げられている。今回はボート他１１競技の注目選手を紹介しよう。
※２０２０年３月２５日、東京オリンピックおよびパラリンピックの１年延期が決定！

目次

　１．ボート
　　　　男子：駒崎　茂
　　　　女子：市川　友美
　２．射撃
　　　　男子：山内　裕貴
　　　　女子：水田　光夏
　３．シッティングバレーボール
　　　　男子日本代表
　　　　煌めきジャパン
　４．水泳
　　　　男子：木村　敬一
　　　　女子：辻内　彩野
　５．卓球
　　　　男子：岩渕　幸洋
　　　　女子：別所　キミヱ
　６．テコンドー
　　　　男子：工藤　俊介
　　　　女子：太田　渉子
　７．トライアスロン
　　　　女子：土田　和歌子
　　　　女子：秦　由加子
　８．車いすバスケットボール
　　　　男子日本代表
　　　　女子日本代表
　９．車いすフェンシング
　　　　男子：藤田　道宣
　　　　女子：櫻井　杏理
１０．車いすラグビー
　　　　日本代表（混合）
１１．車いすテニス
　　　　男子：国枝　慎吾
　　　　女子：上地　結衣

まとめ

ボート（目次に戻る

パラ『ボート』の戦績（抜粋）は以下の通りである。

　パラボート（パラローイング）がパラリンピックの競技に採用されたのは2008年北京大会からである。2002年に世界選手権が初めて開催され、以降、競技者人口は年々増加。障がいの種類によってクラスが分けられており、東京大会では3種目でメダルが争われる。なお、大会（世界選手権、W杯など）は障害者、健常者とも同一会場／同一距離（2,000m）で開催されることがほとんどだ。

　日本代表は東京大会での上位進出、そしてパラリンピック初のメダル獲得を目指している。国内競技人口は約100人、世界の競技人口（推定）は約50,000人。かつてはヨーロッパ勢が上位を独占していたが、最近は中国勢の活躍が際立っている。

【種目】
・PR1　ｼﾝｸﾞﾙｽｶﾙ（男子／女子）
・PR2　ﾀﾞﾌﾞﾙｽｶﾙ（混合）
・PR3　舵手ありﾌｫｱ（混合）

駒崎　茂

　『駒崎　茂』はパラボート日本代表として東京大会への出場を目指しているパラアスリートだ。40代の時に交通事故で両足を失うも、スポーツに活路を見いだし、一時は水泳でパラリンピック出場を目指していた。その後、様々な紆余曲折を経て、同選手が最終的にたどり着いたのはパラボートだった。当時52歳の駒崎は同競技の日本代表に選出、念願だったパラリンピックに初めて出場した。

　義足の駒崎がエントリーできる種目は、「PR2ﾀﾞﾌﾞﾙｽｶﾙ（男子）」のみである。2016年ﾘｵ大会は12位に終わったが、闘争心は全く衰えず、国際大会への出場、そして厳しいトレーニングを継続している。なお、東京パラリンピックの出場権を得るには、要件を満たす大会で結果を残す以外手はない。

　PR2ﾀﾞﾌﾞﾙｽｶﾙの国内競技者は現在駒崎一人しかおらず、相棒がいなければ東京パラリンピックには出場できない。日々の練習は健常者の奥さんが一緒に行っており、新しい相棒と共に国際大会への出場が叶うことを願うばかりだ。56歳の鉄人は、持ち前の負けん気と闘争心で東京大会を目指し一歩ずつ前進している。

＜まとめ＞
◎駒崎のエントリーできる種目はPR2ﾀﾞﾌﾞﾙｽｶﾙ。日々の練習は健常者の奥さんと一緒に行っている。
◎2016年ﾘｵ大会は不本意な結果に終わった。目指すは東京大会出場と上位入賞。

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＜パラリンピックサポートセンター　公式ホームページ＞

市川　友美

　日本はパラボートとボート（オリンピック）でメダルを獲得したことがない。国内の競技レベルは年々向上しているものの、世界の壁は厚く、そして高いのだろう。ここで紹介する『市川　友美』は、最も障がいの重い「PR1ｼﾝｸﾞﾙｽｶﾙ（女子）」で活躍するパラアスリートである。

　2019年8月、東京パラリンピックの出場権をかけた世界選手権がｵｰｽﾄﾘｱで開催。市川はPR1ｼﾝｸﾞﾙｽｶﾙ（女子）に出場するも14位に終わり、出場権を獲得することはできなかった。しかし、これで東京大会への道が閉ざされた訳ではない。同選手は2020年2月以降の大会に標準を絞っている。

　市川は現在38歳、パラボートを始めたのは2016年からで、競技歴は僅か3年と非常に浅い。しかし、2018年に出場した世界選手権では日本記録を2分以上更新、国際大会でも一定の成績を残している。今後の練習／鍛錬でさらにテクニックを磨き体力をつければ、記録はさらに伸びるかもしれない。

　同選手は30代の時に脊椎を損傷し、下肢が動かなくなった。しかし、苦しく思い悩む時期を乗り越え、パラボートに出会い、そして日本代表に選ばれた。まずは東京大会の出場権確保、その先に第一の通過点が見えてくるはずだ。

＜まとめ＞
◎市川の競技歴は3年。テクニックと体力をつければ、記録はもっと伸びる。
◎まずは東京大会の出場権を確保したい。今はただ練習あるのみ。

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＜日本ボート協会　公式ホームページ＞

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パラ『射撃』の戦績（抜粋）は以下の通りである。

　パラ射撃は手足に障がいを持つ選手を対象とし、「手で銃を持てる」ことが参加の最低条件となる。また実弾を使用する競技のため、トリガーは必ず指で引かねばならない。同競技がパラリンピックに採用されたのは1976年ﾄﾛﾝﾄ大会から、日本代表は1996年ｱﾄﾗﾝﾀ大会から参加している。

　パラ射撃では、体力や狙いを定める技術以上に「集中力」と「精神力」が必要とされる。出場選手が一斉に競技を開始し、さらに観客の視線を浴びながらトリガーを引くため、平静さを失わない強靭なメンタルを求められるのだ。国内の競技人口は約100人、世界の競技人口（推定）は約30,000人。

【種目】
ライフル（Ｒ）
・R1　10mｴｱﾗｲﾌﾙ立射　SH1（男子）
・R7　50mﾗｲﾌﾙ三姿勢　SH1（男子）
・R2　10mｴｱﾗｲﾌﾙ立射　SH1（女子）
・R8　50mﾗｲﾌﾙ三姿勢　SH1（女子）
・R3　10mｴｱﾗｲﾌﾙ伏射　SH1（混合）
・R4　10mｴｱﾗｲﾌﾙ立射　SH2（混合）
・R5　10mｴｱﾗｲﾌﾙ伏射　SH2（混合）
・R6　50mﾗｲﾌﾙ伏射　SH1（混合）
・R9　50mﾗｲﾌﾙ伏射　SH2（混合）
ピストル（Ｐ）
・P1　10mｴｱﾋﾟｽﾄﾙ　SH1（男子）
・P2　10mｴｱﾋﾟｽﾄﾙ　SH1（女子）
・P3　25mﾋﾟｽﾄﾙ　SH1（混合）
・P4　50mﾋﾟｽﾄﾙ　SH1（混合）

山内　裕貴

　『山内　祐貴』は、東京パラリンピック出場を目指す日本パラ射撃界のエースである。同競技を初めてから僅か3年で日本のトップ選手となり、様々な国際大会を経験した。山内は交通事故の影響で右肩から先の機能を失った。高校卒業後はダーツのプロ選手を目指していたが、テレビでパラ射撃の存在を知り現在に至る。

　射撃は障がい者が健常者と互角に戦える競技である。理由は、体力や技術／スキル以上に「集中力」と「精神力」を必要とするためだ。山内の武器は人並み外れた集中力、そして横に並んで的を狙うライバルたちの存在や観客の声援などにも動じない精神力にある。なお、体力に劣る高齢者でも、技術とメンタルで戦績を残すことは十分可能であり、オリンピックの歴代最年長メダリストは射撃から誕生している。

　同種目で東京大会の出場権を得るには、「国際競技連盟（ＩＦ）」の定める基準点をクリアし、かつ、要件を満たす大会で結果を残さなければならない。パラ射撃に開催国枠はなく、山内たち日本代表候補は自力で出場権を獲得すべく調整を続けている。2020年5月に開催されるパラ射撃のW杯が大一番になるだろう。日本の「ビリー・ザ・キッド」は、東京オリンピックにしっかり照準を合わせている。

＜まとめ＞
◎パラ射撃はメンタルのスポーツ。集中力と精神力が欠ければ、的を撃ち抜くことはできない。
◎2020年5月に開催されるパラ射撃W杯が東京大会出場をかけた大一番になる。

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＜パラリンピックサポートセンター　公式ホームページ＞

水田　光夏

　先に述べた通り、射撃は障がい者が健常者と互角に渡り合える競技であり、さらに、男女の点数に大きな差もない。「集中力」と「精神力」に優れた女性選手がいれば、男子以上の結果を残すことは言うまでもないだろう。ここで紹介する『水田　光夏』は、日本パラ射撃界の中で、最もメダルに近い存在と言われている。

　水田は中学時代に病を患い、上肢の一部および下肢（両足）の機能を失った。しかし、同選手が得意とするエアライフルは、大きなハンデを持っていても本人の努力次第で素晴らしい成績を残すことができる。ライフルは銃本体と両手をしっかり安定／固定させ、引き金を引く。10m先にある的の中心（0.5m）を打ち抜くのに必要なものは集中力、そして物怖じしない精神力である。水田は2019年の世界選手権で東京大会代表に内定、同年11月に開催された全日本選手権も圧倒的な成績で優勝した。

　2020年東京パラリンピック、同種目は男女混合で争われる。水田は、上肢の一部及び下肢が動かないことはチャンスと前向きにとらえている。ライフルを構える際に無駄な力が入らず、競技に集中しやすいためだ。東京大会でメダルを獲得すれば、日本パラ射撃界初の快挙である。日本の「ゴルゴ１３」に期待。

＜まとめ＞
◎水田の武器は集中力と大舞台でも物怖じしない精神力。
◎東京大会代表に内定済み。メダルを獲得すれば、日本パラ射撃界初の快挙である。

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＜パラリンピックサポートセンター　公式ホームページ＞

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『シッティングバレーボール』の戦績（抜粋）は以下の通りである。

　シッティングバレーは下肢の不自由な選手向けに考案され、パラリンピックでは男子が1980年ｱｰﾍﾝ大会、女子は2004年ｱﾃﾈ大会から実施されている。基本的なルールはバレーボールと同じだが、プレー中に臀部（おしり）が床から離れると反則を取られてしまう。

　日本国内では、障がい者、健常者が一緒に楽しめるスポーツとして知られている（パラリンピックは障がい者のみ出場可能）。なお、ネットの高さは男子が1.15m、女子が1.05m、身長が高いほど攻守（アタック／ブロック）の威力が増す。国内の競技人口は約1,000人、世界の競技人口（推定）は約10,000人。

【種目】
・ｼｯﾃｨﾝｸﾞﾊﾞﾚｰﾎﾞｰﾙ（男子／女子）

男子日本代表

　シッティングバレーボール『男子日本代表』は、開催国枠での東京大会出場が既に決まっている。代表選手は国内で活動するチームの精鋭が選ばれることになるだろう。なお、同競技の国内競技人口は増加傾向にあり、最近では健常者の参加も目立つという。男子日本代表は、2000年ｼﾄﾞﾆｰ大会で初出場を果たし、2004年ｱﾃﾈ大会では7位に入賞した実績を持つ。

　シッティングバレーボールの強豪国は、ｲﾗﾝとﾎﾞｽﾆｱ･ﾍﾙﾁｪｺﾋﾞﾅである。両国はパラリンピックの上位を独占しており、その後ろにﾌﾞﾗｼﾞﾙやｴｼﾞﾌﾟﾄが続く。バレーボールの強豪国ｱﾒﾘｶやｷｭｰﾊﾞは思ったような戦績を残せていない状態だ。

　シッティングバレーボールでは、従来のバレーボール以上に身長が大きな武器となる。強豪国には2mを超える選手が多く、攻守で圧倒的な存在感を放つのだ。予選の組み合わせにもよるが、まずは確実に勝てる相手との1戦を取りこぼさないことが重要だろう。強豪国との試合で体力を消耗し過ぎず、勝ち点をしっかり確保してほしい。決勝トーナメントに進めば、あとは持てる力を全て出し切るのみだ。

　代表候補選手たちは東京大会での上位入賞を目指し、懸命にトレーニングを続けている。まだまだ競技人口が少なく、大会や練習ではボランティアの力も借りているそうだ。努力は必ず実を結ぶと信じ、男子日本代表を全力で応援しよう。

＜まとめ＞
◎東京大会の出場は開催国枠で決定済み。代表選手の選出は2020年2月以降。
◎まずは目の前の1戦に集中。勝てる相手との試合を取りこぼさず、勝ち点を積み重ねてほしい。

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＜一般社団法人　日本パラバレーボール協会　公式ホームページ＞

煌めきジャパン

　女子日本代表「煌めきジャパン」も男子と同じく東京大会への出場が決まっている。パラリンピックの出場実績は2回、2012年ﾛﾝﾄﾞﾝ大会では7位入賞を果たした。さらに2019年の国際大会では3位に入り、世界と互角に戦えることを証明した。

　女子シッティングバレーボールの強豪国は、2016年ﾘｵ大会を制したｱﾒﾘｶ、そして2012年ﾛﾝﾄﾞﾝ大会までパラリンピック3連覇中だった中国、さらにﾛｼｱやﾌﾞﾗｼﾞﾙ、ｳｸﾗｲﾅもメダル候補に挙げられている。今述べた5か国は東京大会への出場も確実視されており、予選から強豪国と戦う可能性は非常に高いだろう。

　2019年11月、国内で女子シッティングバレーボールの国際大会が開幕。世界ランキング1位のｱﾒﾘｶ、4位のｳｸﾗｲﾅ、2018年の世界選手権を制したﾛｼｱが参戦し、煌めきジャパンにとっては大きな収穫を得るチャンスの大会となった。

　煌めきジャパンは、3位決定戦でｳｸﾗｲﾅに競り勝った。世界ランキング11位の日本が強豪国に勝った意味は大きい。体格では相手に劣るものの、時間をかけて行ってきた身体づくりと練習が実を結んだと監督もコメントしている。前述の通り、東京大会では予選から強豪国と戦う可能性が高い。しかし、今の調子で実力をさらにつけることができれば、強豪国とも互角以上に渡り合えるだろう。男子と同じく、まずは目の前の1戦に集中し、勝ち星／勝ち点を積み重ねてほしい。

＜まとめ＞
◎女子シッティングバレーボールの強豪国はｱﾒﾘｶ、中国、ﾛｼｱ、ｳｸﾗｲﾅ、ﾌﾞﾗｼﾞﾙ。
◎煌めきジャパンは世界ランキング4位のｳｸﾗｲﾅに競り勝ち、強豪国と互角に戦えることを証明した。

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＜パラリンピックサポートセンター　公式ホームページ＞

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パラリンピック『水泳』の歴代メダリスト（抜粋）は以下の通りである。

　パラ水泳は障がい者スポーツの中でも特に認知度、そして人気が高い。パラリンピックの競技に採用されたのは記念すべき第1回大会（1960年ﾛｰﾏ）から、日本代表は複数個のメダルを獲得しており、1996年ｱﾄﾗﾝﾀ大会の12個、2000年ｼﾄﾞﾆｰ大会は15個、2004年ｱﾃﾈ大会では23個と、素晴らしい成績を残している。

　種目は障がいの種類によって細かく分けられており、2020年東京大会では80種目以上でメダルが争われる予定だ。基本的なルールはオリンピックの水泳競技と同じである。なお、視覚に障がいを持つ選手に関しては、ターン時の負傷（壁への衝突）を防ぐため、監督やコーチによる合図が義務づけられている。また、義手、義足の使用も可能だ。国内の競技人口は約1,400人、世界の競技人口（推定）は約500,000人。

【種目※障がいの種類によるクラス分けあり】
・50m自由形（男子／女子）
・100m自由形（男子／女子）
・200m自由形（男子／女子）
・400m自由形（男子／女子）
・50m背泳ぎ（男子／女子）
・100m背泳ぎ（男子／女子）
・50m平泳ぎ（男子／女子）
・100m平泳ぎ（男子／女子）
・50mﾊﾞﾗﾌﾗｲ（男子／女子）
・100mﾊﾞﾗﾌﾗｲ（男子／女子）
・150m個人ﾒﾄﾞﾚｰ（男子／女子）
・200m個人ﾒﾄﾞﾚｰ（男子／女子）
・4×100m　34ﾎﾟｲﾝﾄﾘﾚｰ（男子／女子）
・4×100m　34ﾎﾟｲﾝﾄﾒﾄﾞﾚｰﾘﾚｰ（男子／女子）
・4×50m　20ﾎﾟｲﾝﾄﾘﾚｰ（混合）
・4×100m　S14ﾘﾚｰ（混合）
・4×100m　49ﾎﾟｲﾝﾄﾘﾚｰ（混合）

木村　敬一

　『木村　敬一』は日本パラ水泳界のエースである。先天性疾患の影響で2歳のときに失明、小学校から水泳を始め、視覚障がい者支援学校の水泳部でメキメキ実力をつけた。2008年北京大会でパラリンピック初出場を果たし、2012年ﾛﾝﾄﾞﾝ大会で銀メダルと銅メダルを獲得。2016年ﾘｵ大会では計4個のメダルを獲得した。そして2019年の世界選手権、木村は男子100mﾊﾞﾀﾌﾗｲで優勝し東京大会の出場権を獲得、日本代表に内定した。

　先に述べた通り、日本パラ水泳界はパラリンピックで50個以上のメダルを獲得しており、東京大会でも大活躍が期待されている。また、木村にとっても特別／非常に重要な大会になるだろう。世界選手権では複数個の金メダルを獲得しているが、パラリンピックで表彰台の真ん中に立ったことはまだない。東京大会では自身初の金メダル、さらに複数種目制覇を狙う。

　パラ水泳では一人の選手がメダルを複数個獲得することは珍しくない。2016年ﾘｵ大会ではﾌﾞﾗｼﾞﾙ代表の「ダニエル・ディアス」が計9個のメダルを獲得。3大会（パラリンピック）でのメダル獲得数は24個と、驚異的な活躍を見せた。木村の出場する男子100mﾊﾞﾀﾌﾗｲにも強豪選手が複数名おり、熾烈な金メダル争いが繰り広げられるだろう。全盲のスイマーの大活躍に期待。

＜まとめ＞
◎木村は日本パラ水泳界のエースである。東京大会の出場権も獲得済み。
◎東京大会では初の金メダルを狙う。全盲のスイマーの大活躍に期待。

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＜東京ガス　公式ホームページ＞

辻内　彩野

　女子パラ水泳界は、男子以上に驚異的な活躍を見せてきた。「水の女王」の異名を持つ「成田　真由美」は、パラリンピックで合計20個ものメダルを獲得、うち15個は金という圧倒的な強さを誇った。ここで紹介する『辻内　彩野』は、水の女王の系譜を受け継ぐ日本代表選手のひとりだ。

　辻内は高校まで水泳部に所属していたが、卒業と同時に競技から引退。高校卒業後に目の病を患い、視力が著しく低下した。紆余曲折を経てパラ水泳への挑戦を決意し、初めて出場した大会では、複数種目で日本記録を更新する大活躍を見せた。

　2019年9月、辻内は世界選手権に出場、女子100m平泳ぎで銅メダルを獲得するも、得意種目の自由形では表彰台に上がれなかった。しかし、東京パラリンピックへの課題を見つけることができた、と本人は明るく語っている。辻内の言う通り、大切なことは失敗／敗北を受け入れ、次につなげることである。東京大会の代表選手が確定するのは2020年2月以降だ。自身初のパラリンピック出場、そして世界選手権での敗北を活かし、辻内は世界の頂点を目指す。

＜まとめ＞
◎辻内は複数種目で日本記録を保持する女子パラ水泳界の新エース。
◎2019年世界選手権での敗北を活かし、世界の頂点を目指す。

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＜江戸川区　公式ホームページ＞

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パラリンピック『卓球』の歴代メダリスト（抜粋）は以下の通りである。

　パラリンピックに卓球が初めて採用されたのは、1960年ﾛｰﾏ大会から。1964年東京大会、日本パラ卓球代表は男子ダブルスで金メダルを獲得。これは日本がパラリンピックで初めて獲得した記念すべき金メダルだった。なお、出場する選手たちは障がいの種類によって細かくクラス分けされ、2020年東京大会では計20種目でメダルが争われる。

　同競技も障がいの種類によってルールが異なり、サーブの打ち方、補助器具の使い方や性能（車椅子の高さなど）などが細かく規定されている。両手のない選手がラケットを口にくわえて高速ラリーを行う様は、圧巻の一言に尽きる。東京大会への出場を目指す日本代表候補は、2000年ｼﾄﾞﾆｰ大会以来のメダル獲得を目指す。国内の競技人口は5,000人超、世界の競技人口（推定）は約550,000人。

【種目※障がいの種類によるクラス分けあり】
・ｼﾝｸﾞﾙｽ（男子／女子）
・団体（男子／女子）

岩渕　幸洋

　『岩渕　幸洋』は、男子パラ卓球界の若きエース。現在は実業団に所属し、健常者の中に混ざって厳しいトレーニングを行っている。岩渕は先天性の疾患の影響で足に障がいを抱えており、クラス9（立位）での東京大会出場とメダルを狙っている。なお、2016年ﾘｵ大会でパラリンピック初出場を果たし、2019年ｱｼﾞｱ選手権はシングルスで銅、ダブルス（クラス９、１０混合）では銀メダルを獲得した。

　パラ卓球で金メダルを獲得するためには、アジアのライバル中国勢を撃破しなければならない。同国はパラリンピック、オリンピック、世界選手権の卓球競技で上位を独占、圧倒的な強さを誇る。障がいの軽い選手は、健常者の大会に参加できるほど強く、容易に勝てる相手ではないだろう。岩淵の出場するクラス９も、中国勢を中心に猛者が揃っており、東京パラリンピックでは激しいメダル争いが予想される。

　先に述べた通り、岩淵は実業団選手の中で厳しいトレーニングを行っている。2019年11月に開催された日本選手権では男子シングルスクラス９で連覇を達成し、東京大会出場はほぼ間違いない。あとは世界最強の中国勢を如何にして打ち破るかである。

　日本代表がパラ卓球で金メダルを獲得したのは、1992年ﾊﾞﾙｾﾛﾅ大会が最後である。岩渕はクラス９立位で現在世界ランク2位、世界の頂点は射程圏内に入った。中国勢を撃破し、パラ卓球日本代表に28年振りの金メダルをもたらしてほしい。

＜まとめ＞
◎パラ卓球の上位は中国勢が独占している。
◎岩渕は現在世界ランク2位、金メダルは射程圏内である。

外部サイトへのリンク
＜岩渕　幸弘　公式ｗｅｂサイト＞

別所　キミヱ

　2016年ﾘｵ大会、『別所　キミヱ』は日本選手団最年長の68歳でパラ卓球女子シングルスクラス５（車いすの部）に臨み、5位入賞を果たした。4回目のパラリンピックで自己最高位を記録した「マダム・バタフライ」の目標は、東京大会への出場と初のメダル獲得である。

　別所は40代の時に骨盤に癌を発症、車いすが必要な身体になった。40代後半からパラ卓球を始め、2004年ｱﾃﾈ大会でパラリンピック初出場、老練なラケットさばきで結果を残し続けてきた。しかし、ﾘｵ大会から2年後の2018年、別所は交通事故に2回巻き込まれ大ケガを負う。さらに、復帰を目指すべく行っていたリハビリの最中に骨折し、選手生命の危機に立たされた。

　2019年12月、別所は大阪府で開催された国際大会に出場、女子シングルス・クラス５で見事優勝を果たした。不死鳥のように復活した71歳は、現在世界ランク8位。東京大会の出場権を得るには、さらに上位を目指さねばならないが、復帰以降の戦績は素晴らしく、チャンスは十二分にある。

　度重なる不運に見舞われても、別所は明るく前を向く。70代でパラリンピックに出場すれば日本史上初、オリンピックでも3回しか達成されていない大記録だ。己の限界を決めないマダム・バタフライは、東京大会とその先に待つ頂を見据えている。

＜まとめ＞
◎別所はマダム・バタフライの異名を持つパラ卓球界のレジェンドである。
◎度重なる不運にも負けず、2019年12月の国際大会で復活。伝説はまだまだ終わらない。

外部サイトへのリンク
＜障害者スポーツネットひょうご　公式ホームページ＞

テコンドー（目次に戻る

パラ『テコンドー』の戦績（抜粋）は以下の通りである。

　上肢等に障がいを持つ選手が行うパラテコンドーは、2020年東京パラリンピックから採用される新競技である。１対１の真剣勝負は、胴体に装着したプロテクターに打撃を与えるとポイントが加算される。なお、頭部への蹴りおよび胴体への拳（パンチ）は禁止されている。

　パラテコンドーの魅力は、回転を加えた美しく激しい蹴り技にある。対戦相手との間合いを図り、ひねり／回転を加えた蹴りが炸裂すると、会場は大きく盛り上がるだろう。なお同競技は、回し蹴りの度数（180度、360度）によってポイントが加算される独自ルールを設けており、決着間際に大技が決まれば一発逆転もあり得る。国内の競技人口は約20人、世界の競技人口（推定）は約500人。

【種目】
・K44-61kg級（男子）
・K44-75kg級（男子）
・K44+75kg級（男子）
・K44-49kg級（女子）
・K44-58kg級（女子）
・K44+58kg級（女子）

工藤　俊介

　テコンドーの世界競技人口は約7,000万人。競技人口は年々増加し、近年は欧米勢が台頭している韓国発祥の武道である。しかし、日本での知名度／認知度は決して高くない。ここで紹介する『工藤　俊介』は、パラテコンドー男子の若きエースである。

　工藤がパラテコンドーを始めたのは2017年から。不慮の事故で左腕を失い、その後さまざまなパラスポーツに挑戦し、たどり着いたのがパラテコンドーだった。前述の通り、テコンドーの知名度／認知度は決して高くない。その中でも障がい者向けの同競技は選手自体が少なく、当初は練習もまともにできない状態だったという。

　2018年の世界選手権、工藤は海外の強豪選手に挑み、見事銅メダルを獲得した。さらに競技関係者の努力も少しずつ実を結び始め、日本国内の競技人口は増加傾向にあるという。テコンドーのポテンシャル（世界の競技人口約7,000万人）を考えると、パラテコンドーの競技人口は今後さらに増えることが予想される。

　工藤は2020年1月に開催された日本代表選考会で優勝し、東京パラリンピックの日本代表に内定した。パラテコンドーを始めて僅か2年、世界の強豪と渡り合える実力を証明し、自力で出場権を勝ち取ったのだ。若きエースはテコンドー協会初の金メダルを狙う。

＜まとめ＞
◎工藤はパラテコンドー男子の若きエース。2018年世界選手権で、同競技初のメダルを日本にもたらした。
◎東京大会で金メダルを獲得すれば、テコンドー協会初の快挙。

外部サイトへのリンク
＜一般社団法人　全日本テコンドー協会　公式ホームページ＞

太田　渉子

　『太田　渉子』は、冬季パラリンピックへの出場およびメダル獲得実績を持つパラアスリートである。2006年ﾄﾘﾉ大会はバイアスロンで銅メダル、2010年ﾊﾞﾝｸｰﾊﾞｰ大会ではクロスカントリーで銀メダル、2014年ｿﾁ大会を最後に競技から引退したが、知人の紹介でパラテコンドーを始めた。

　太田は生まれた時から左手の指がない。しかし、障がいを全く感じさせない実力で、パラスポーツ界を盛り上げてきた。さらに、始めたばかりのパラテコンドーでも結果を出しつつある。全ては努力の賜物であり、新しいことにチャレンジする気力、精神力、そして胆力には恐れ入る。2020年1月、東京大会の代表を決める選考会が行われ、太田は女子58kg超級の日本代表に内定した。

　夏季と冬季のパラリンピックに出場した選手は決して多くない。両方でメダルを獲得した選手は稀有である。太田は2019年に開催された世界選手権で銅メダルを獲得し、世界の強豪とも互角に渡り合えることを証明した。前述の工藤と同じく、東京大会の目標はテコンドー協会初の金メダル。そしてそれを達成した時、冬季と夏季両方のメダルを持つパラテコンドー界のニューヒロインが誕生する。なお、太田は2014年ｿﾁ大会で旗手を務めている。東京大会でも旗手を務めることになれば、冬季と夏季パラリンピックの両方で旗手を務めた史上初の選手になる。

＜まとめ＞
◎太田は冬季パラリンピックのメダリスト。現役引退後、パラテコンドーを始めた。
◎2019年の世界選手権では銅メダルを獲得。東京大会内定済み。

外部サイトへのリンク
＜東京２０２０パラリンピック　公式ホームぺージ＞

トライアスロン（目次に戻る

パラ『トライアスロン』の戦績（抜粋）は以下の通りである。

　トライアスロンがパラリンピックに採用されたのは2016年ﾘｵ大会から。競技自体は世界中で盛んに行われてきたが、かなりの体力、そして気力を求められる難度の高い障がい者スポーツと言えるだろう。その分、完走した時の達成感もハンパなく、競技人口は徐々に増えつつある。特に競泳からの転向者が目立ち、近年の健康ブームも競技人口の増加に貢献しているという。

　パラトライアスロンは障がいの種類によって種目が分けられている。義手義足の選手も多く、自分の力で立てない場合も、座位クラスに出場できる。健常者と全く変わらぬ勢いで泳ぎ、自転車をこぎ、走る選手たちは、超人と言っても過言ではない。国内の競技人口は約30人、世界の競技人口（推定）は約1,000人。

【種目】
・座位ｸﾗｽ／PTWC（男子／女子）
・立位ｸﾗｽ／PTS2（女子）
・立位ｸﾗｽ／PTS4（男子）
・立位ｸﾗｽ／PTS5（男子／女子）
・視覚障がいｸﾗｽ／PTVI（男子／女子）

土田　和歌子

　日本はオリンピックおよびパラリンピックのトライアスロン競技でメダルを獲得したことがない。同競技は欧州勢が特に強く、選手層も厚い。しかし、パラトライアスロンに関しては、日本勢にも勝機は十分ある。ここで紹介する『土田　和歌子』は、夏季と冬季のパラリンピック両方で金メダルを獲得した鉄人パラアスリートだ。

　土田は1998年長野大会のｽﾋﾟｰﾄﾞｽｹｰﾄで金メダルと銀メダルをそれぞれ2個ずつの計4個、2000年ｱﾃﾈ大会の女子車いすマラソンでは銅メダル、2004年ｱﾃﾈ大会の女子5000ｍで金メダル、女子車いすマラソンで銀メダルを獲得した実績を持つ。パラリンピックの出場回数は夏季と冬季を合わせて計7回、パラトライアスロン（座位クラス）も得意種目のひとつであり、8回目の日本代表入りが期待されている。

　障がい者スポーツを牽引してきたヒーローは、パラトライアスロンでも持ち前の体力とガッツで結果を残している。2019年に開催された世界選手権では4位入賞を果たし、2020年に開催される国際大会で代表入りを狙う。さらに、女子車いすマラソンでも5度目の代表入りを目指しており、圧倒的なバイタリティには心底驚かされる。狙うは日本トライアスロン界初のメダル獲得、45歳の鉄人は歩みを止めず、どこまでも走り続ける。

＜まとめ＞
◎パラリンピック出場7回（夏季冬季）は日本史上最多。
◎2020年東京大会では、パラトライアスロンと車いすマラソンでの同時出場を狙う。

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＜八千代工業株式会社　公式ホームページ＞

秦　由加子

　『秦　由加子』も先に述べた土田と同じく、東京大会への出場を狙うパラアスリートだ。秦は中学生の時に骨肉腫を患い右足を失った。幼少期から行っていた水泳も右足を失ったことでやめてしまったが、10数年の歳月を経てパラ水泳選手として競技に復帰。パラリンピックを目指したものの、2012年ﾛﾝﾄﾞﾝ大会への出場は叶わなかった。しかし、2012年以降もパラ水泳は継続、コーチ等の紹介でパラトライアスロンに転向し現在に至る。

　パラトライアスロンに転向すると、秦の能力は一気に開花、2016年ﾘｵ大会の日本代表に選出され、下肢に障がいを持つ選手が出場できる女子PTS2の部において6位入賞を果たした。同選手の強みは、幼少期から培ってきた水泳能力の高さにある。表彰台を狙うには、苦手としている長距離走（ラン）でどれだけ記録を伸ばせるかにかかっているだろう。

　パラトライアスロンは強靭な体力と精神力を必要とする競技だ。強豪選手たちは、皆厳しいトレーニングを積み、レースに臨む。実力が拮抗しているため、苦手な種目があると、そこで一気に差が開いてしまうのだ。2019年8月、東京大会のパラトライアスロン会場「お台場海浜公園」でW杯が開催され、秦は完走した選手の中で最下位の5位、悔しい結果に終わった。

　東京パラリンピックも前述のW杯同様、猛烈な暑さの中でレースを行うことになるはずだ。秦は5位という結果を真摯に受け止め、次に活かすべく練習／調整を開始した。苦手を克服すれば上位入賞はもちろん、その先が見えてくる。義足のパラアスリートは、限界を決めず、日本選手がたどり着いたことのない頂を目指す。

＜まとめ＞
◎2016年ﾘｵ大会では日本人最高の6位入賞。競技歴数年で世界のトップレベルと渡り合った。
◎苦手としている長距離走（ラン）で記録を伸ばしたい。東京大会での活躍に期待。

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＜公益社団法人　日本トライアスロン連合　公式ホームページ＞

車いすバスケットボール（目次に戻る

『車いすバスケットボール』の戦績（抜粋）は以下の通りである。

　車いすバスケットボールは、バスケットボールの本場／発祥の地ｱﾒﾘｶで誕生したスポーツである。同競技には、地面にボールを打ち付けて動く／進むドリブルという概念がない。選手たちは片手でボールを持ち、もう片方の手で車いすを操作しなければならず、上半身の筋肉やバランス感覚を駆使しつつ、シュートやパスを行わなければならない。さらに、従来のバスケットボールにはない様々なルールも設けられている。

　車いすバスケットボールがパラリンピックに採用されたのは1960年ﾛｰﾏ大会、女子は1968年ﾃﾙｱﾋﾞﾌﾞ大会から実施されてきた。強豪国はバスケットボールの本場ｱﾒﾘｶやｶﾅﾀﾞ、ｵｰｽﾄﾗﾘｱなどで、東京大会でも激しい戦いが繰り広げられるだろう。男子日本代表は初の上位進出を、そして女子は2000年ｼﾄﾞﾆｰ大会以来のメダル獲得を目指す。国内の競技人口は1,000人、世界の競技人口（推定）は100,000人超。

【種目】
・車いすﾊﾞｽｹｯﾄﾎﾞｰﾙ（男子／女子）

男子日本代表

　車いすバスケットボールは、夏季パラリンピックの花形競技のひとつ。第1回大会（1960年ﾛｰﾏ）から正式競技に採用されている人気パラスポーツだ。ここで紹介する『男子日本代表』は、1964年東京大会でパラリンピック初出場を果たした。2008年北京大会では7位入賞、2016年ﾘｵ大会は9位に終わったものの、国内の競技レベルは年々向上しており、2020年東京大会で初のメダルを狙う。

　同競技は、障がいの重さによって選手一人ひとりがクラス／ポイント分けされる。最も障がいの重い選手は1.0点、軽い選手は4.5点、0.5刻みで計8クラスに分類され、コート内に入る5名の合計点を「14点」以内に収めなければならない。このクラス／ポイント分けのルールで、車いすバスケットボール界は大きな問題点を抱えている。

　「国際パラリンピック委員会（ＩＰＣ）」は、障がいの重さによるクラス分けが正しく行われていないと指摘、改善されなければ2020年東京大会の競技から除外すると警告を出した。なお、日本代表がルールを違反していると指摘された訳ではない。国際車いすバスケットボール連盟は苦しい立場に置かれてしまった。

　男子日本代表としては、開催を前提に調整を進めてほしい。今は競技ルールをしっかり守り、いつでも戦えるように準備を進めるのみだ。ＩＰＣと国際車いすバスケットボール連盟、東京大会組織委員会のやり取りに惑わされず、最高の状態／コンディションを整え、ホスト国として胸を張ってパラリンピックに臨んでほしい。

＜まとめ＞
◎男子日本代表は2020年東京大会が13回目のパラリンピック、初のメダルを狙う。
◎競技ルールをしっかり守り、いつでも戦えるように調整／準備を進めてほしい。

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＜一般社団法人　日本車いすバスケットボール連盟　公式ホームページ＞

女子日本代表

　先に述べた通り、車いすバスケットボールは2020年東京大会の競技から除外される恐れがある。大会出場を狙う国／選手たちは、競技ルールを順守し、今できる最善を尽くすしてほしい。同競技で計2個の銅メダルを獲得している『女子日本代表』も同じだ。

　女子日本代表は、1984年ﾆｭｰﾖｰｸ大会、2000年ｼﾄﾞﾆｰ大会でそれぞれ銅メダルを獲得し、日本車いすバスケットボール界の成長に大きく貢献してきた。競技人口が増加傾向にあるのも、彼女たちが素晴らしい成績を残したことが大きな要因のひとつだ。しかし、2012年ﾛﾝﾄﾞﾝ大会、そして2016年ﾘｵ大会では出場権争いに敗れるという屈辱を味わった。

　東京大会では、過去に3連覇を達成しているｶﾅﾀﾞ、2016年ﾘｵ大会で金メダルを獲得したｱﾒﾘｶ、さらにﾄﾞｲﾂやｵﾗﾝﾀﾞなどの欧州勢が上位争いに加わると予想されている。女子日本代表もメダル獲得実績はあるが、パラリンピック出場は3大会ぶり、東京大会では「挑戦者」として頂点を狙うことになるだろう。まずは予選リーグでの1勝、目の前の1戦に全力を注いでほしい。

　同競技のレベルは年々向上している。特に強豪国の「攻守の切り替え／ギアチェンジ」は素晴らしく速い。女子日本代表は、攻守の切り替えを早める「トランジションバスケ」を実践し、世界の頂点を目指している。2000年ｼﾄﾞﾆｰ大会以来のメダル獲得に期待しよう。

＜まとめ＞
◎1980年ﾆｭｰﾖｰｸ大会、2000年ｼﾄﾞﾆｰ大会では銅メダルを獲得。東京大会は開催国枠での出場が決定済み。
◎3大会ぶりのパラリンピック、女子日本代表は「トランジションバスケ」で世界の頂点を狙う。

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＜一般社団法人　日本車いすバスケットボール連盟　公式ホームページ＞

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『車いすフェンシング』の戦績（抜粋）は以下の通りである。

　ヨーロッパ発祥のフェンシングで重要とされるのは、ステップと剣さばき、そして相手の攻撃を見切る集中力である。しかし、下肢に障がいを持つ選手を対象とする車椅子フェンシングでは、剣さばきと集中力に特化して練習を積まねばならない。競技中、車椅子は「ピスト」という専用装置に固定されるため、両者の距離は常に一定、つまり前後左右の動きは完全に制限されてしまうのだ。

　選手たちは上半身だけを動かし、ポイントが加算される対戦相手の胴体に狙いを定める。剣さばきと集中力、さらに相手の特徴やクセを知る／調べることも重要であり、「技術と知力」の両方を必要とする障がい者スポーツと言えるだろ。日本代表は1964東京大会以来のメダル獲得を狙う。国内の競技人口は約20人、世界の競技人口（推定）は約3,000人。

【種目】
エペ
・個人　ｶﾃｺﾞﾘｰA（男子／女子）
・個人　ｶﾃｺﾞﾘｰB（男子／女子）
・団体（男子／女子）
フルーレ
・個人　ｶﾃｺﾞﾘｰA（男子／女子）
・個人　ｶﾃｺﾞﾘｰB（男子／女子）
・団体（男子／女子）
サーブル
・個人　ｶﾃｺﾞﾘｰA（男子／女子）
・個人　ｶﾃｺﾞﾘｰB（男子／女子）

藤田　道宣

　まず始めに、車いすフェンシングの大まかなルールを説明しよう。相手の剣を先に叩く、もしくは先に攻撃を仕掛ければ、審判に「攻撃権」が認められる。その状態で攻撃を防御されるもしくは交わされると攻守が入れ替わる。すなわち、剣をやみくもに振るい相手の身体を突いても、審判が「攻撃権」を取っていないと判断すれば、ポイントは加算されないのだ。

　『藤田　道宣』は車いすフェンシング、フルーレＢ（男子）で東京大会を目指す日本代表候補のひとりだ。2018年に開催されたW杯団体では7位入賞という結果を残した。高校からフェンシングを始めた藤田は、将来を有望視される選手だった。しかし、大学時代の事故で頸椎を損傷、両足および上肢の一部が麻痺し、車いすが必要な身体になった。

　藤田を車いすフェンシングに導いたのは、2008年北京大会の銀メダリスト「太田　雄貴」だったという。同競技を始めてから数年後、藤田はパラリンピックでのメダル獲得を目指し鍛錬を積むも、2016年ﾘｵ大会への出場は叶わなかった。しかし、壁にぶつかったことが成長速度を大きく上げる要因になった。

　車いすフェンシングは欧州勢と中国が特に強く、男子日本代表は国際大会で良い結果を残せずにいた。しかし、藤田を始め、東京大会を目指す選手たちは、世界との距離を縮めるべく鍛錬を重ね、国際大会で上位を争えるようになってきた。まずは出場種目の世界ランク8位以内を確保し、東京大会の出場権を獲得してほしい。2020年の主要大会で戦績を残せば、東京大会への道は必ず開ける。

＜まとめ＞
◎2016年ﾘｵ大会での代表入りを目指すも叶わず。しかし、壁にぶつかったことで、藤田は大きく成長した。
◎世界ランク8位以内を確保すれば、東京大会の出場権を得られる。あとは国際大会で結果を出すのみ。

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＜チャレンジド　アスリート　プロジェクト＞

櫻井　杏理

　車いすフェンシング日本代表がパラリンピックでメダルを獲得したのは、1964年東京大会の男子団体（銀メダル）が最後である。女子はメダルを獲得したことがない。ここで紹介する『櫻井　杏里』は、女子車いすフェンシング日本代表初のメダルを狙うパラアスリートである。

　櫻井は高校まで陸上の長距離選手として活動、20歳の時に受けた椎間板ヘルニアの手術で下肢に麻痺が残り、車いすが必要な身体になった。その後様々な紆余曲折を経て、車いすフェンシングに出会う。しかし、当時同競技を行っていた女性選手は日本で櫻井ただ一人。練習相手を探すこともままならず、活動資金確保すべく大阪の企業に就職、2足の草鞋を履いて競技を続行した。

　2016年ﾘｵ大会、櫻井は出場権を確保できなかった。さらに、2017年末には脊髄の感染症で入院、競技から半年以上離れざるを得なかった。しかし、常人なら諦めてしまいそうな状況にあっても、同選手は競技を続行。その努力を所属企業も認め、現在ｲｷﾞﾘｽ（ﾛﾝﾄﾞﾝ）の名門クラブで武者修行を行っている。

　フェンシングの本場に身を置いたことで櫻井は大きく成長した。2018年の世界選手権では日本勢唯一となる銅メダルを獲得、世界ランクは4位付近を確保しており、頂上は目の前である。苦しみを乗り越える胆力、絶対に諦めない精神力、努力、そして所属企業の理解、東京大会の出場権は通過点に過ぎない。目指すは女子車いすフェンシング初のメダルのみ、櫻井は世界の頂点を目指し、今日も剣を振るう。

＜まとめ＞
◎桜井は女子車いすフェンシング日本代表のエース。
◎現在はｲｷﾞﾘｽの名門チームで武者修行中。2018年の世界選手権では銅メダルを獲得した。

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＜株式会社　日阪製作所　公式ホームページ＞

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『車いすラグビー』の戦績（抜粋）は以下の通りである。

　車いすラグビーがパラリンピックに採用されたのは2000年ｼﾄﾞﾆｰ大会。2018年の世界選手権、日本代表は金メダルを獲得し、東京大会は世界王者として臨むことになる。同競技はラグビーと同じく、ボールを持った選手へのタックルが認められている。車椅子が激しくぶつかり合い、選手が落車することも珍しくない。

　車いすラグビーに出場する選手たちは、障がいの種類／重さによって点数分けされている。最も重い障がいを持つ選手は0.5点、そこから順に0.5点刻みで7クラス（障害の最も軽い選手は3.5点）に分類、そしてコートに入る4選手の合計点を「8点」以内に必ず収めなければならない。

　また、女性を1名コート内に入れると、ポイントの上限が8.5(+0.5点）に、2人だと9.0（+1.0点）になり、メンバー編成の幅が広がる。男女混成で臨むか、それとも男子のみで勝負するか、各国のメンバー編成にも注目したい。国内の競技人口は約100人、世界の競技人口（推定）は4,000人。

【種目】
・車いすﾗｸﾞﾋﾞｰ（混合）

日本代表（混合）

　2019年、「ラグビー日本代表（ブレイブ・ブロッサムズ）」は日本を熱狂の渦に巻き込んだ。そして2020年東京大会、7人制ラグビー（オリンピック）でメダルを目指す同代表と共に、車いすラグビー『日本代表（混合）』も2016ﾘｵ大会を超える成績を虎視眈々と狙っている。

　車いすラグビーは「車いすバスケットボール」と同じ「ポイント制」を採用している。障がいの重さによって選手がポイント分けされており、コート内に入る4名の点数を「8点」以内に収めなければならないのだ。また、先に述べた通り、男女混成で挑むかはチームの方針次第。日本には「倉橋　香衣」が唯一女性選手として代表入りを果たしており、活躍が期待されている。

　同代表は2016年ﾘｵ大会で初のメダルを獲得。さらに、2018年の世界選手権（隔年開催）では、史上初となる金メダルを獲得した。日本代表は開催国枠での東京大会出場が決まっており、世界選手権王者として強豪国と対峙することになる。なお、日本は現在世界ランキング3位、1位はパラリンピック2連覇中のｵｰｽﾄﾗﾘｱは、2位はｱﾒﾘｶ、4位はｲｷﾞﾘｽと続く。上位陣の対戦成績はほぼ互角で、どこが金メダルを獲ってもおかしくない状況だ。

　2020年東京大会、車いすラグビーの出場国枠は「8」と非常に少なく、メダル争いは熾烈を極めるだろう。日本代表には、自国開催および世界選手権王者として、大きなプレッシャーがかかる。まずは目の前の1戦に集中し、勝ち星／勝ち点をひとつずつ積み重ねてほしい。ワンチームで頂点を目指せ。

＜まとめ＞
◎日本代表は男女混成チーム。2016年ﾘｵ大会で銅メダル、2018年の世界選手権では初優勝を果たした。
◎上位勢の実力は拮抗しており、東京大会は熾烈なメダル争いになる。

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＜一般社団法人　日本車いすラグビー連盟　公式ホームページ＞

車いすテニス（目次に戻る

パラリンピック『車いすテニス』の歴代メダリスト（抜粋）は以下の通りである。

　車いすテニスは、障がいを持つ者へのリハビリ／レジャーとして始められ、1970年代後半から本格的な競技に進化、国際大会等が開催されるようになった。使用するコートはテニスと同じ、ラケットとボールも全く同じである。大きく異なる点／ルールとしては、自陣に入ったボールを「２バウンド」までさせても良いことが挙げられる。

　同競技がパラリンピックに採用されたのは1992年ﾊﾞﾙｾﾛﾅ大会から、日本には非常に優れた「プロ車いすテニスプレーヤー」が複数名おり、東京大会でのメダル獲得が期待されている。なお、競技用車いすは、急加速、急ブレーキ、激しい方向転換に耐えるべく、車輪が「八の字型」に取りつけられている。また、障がいによる種目分けは、四肢の自由が効かない選手（クアード）と、下肢にのみ障がいを持つ選手の2つに分類される。国内で正式に競技を行っている者は約100人、世界のランキングホルダーは約1,000人。

【種目】
・ｼﾝｸﾞﾙｽ（男子／女子）
・ﾀﾞﾌﾞﾙｽ（男子／女子）
・ｸｱｰﾄﾞｼﾝｸﾞﾙｽ（混合）
・ｸｱｰﾄﾞﾀﾞﾌﾞﾙｽ（混合）

国枝　慎吾

　『国枝　慎吾』はパラスポーツ界で最も名の知れたアスリートである。その知名度はまさに世界レベル、他の追随を許さない異次元の戦績を誇る。パラリンピックでは2004年ｱﾃﾈ、2008年北京、2012年ﾛﾝﾄﾞﾝで金メダルを獲得。また、テニス界の頂点を決める「四大大会（グランドスラム）」の車いす部門では、シングルス20回、ダブルスで22回優勝。さらに、同年に開催される四大大会を全て制覇する「年間グランドスラム」をシングルスで通算5回達成した、正真正銘のレジェンドだ。

　2016年から2017年の間はケガに苦しめられたものの、2018年に四大大会を再び制覇し復活を遂げ、同年、東京パラリンピックの日本代表に内定した。国枝は現在36歳、ケガからも復調し、東京大会では2大会ぶりの金メダルを狙う。

　シングルスでは、世界ランキング1位の「グスタボ・フェルナンデス」、ダブルスではフランスの英雄「ステファン・ウデ」などの強豪が優勝争いの筆頭候補と言われている。なお、シングルス、ダブルスともに一発勝負のトーナメント方式で争われるため、一戦も気を緩めることのできない厳しい戦いが繰り広げられるだろう。一度も負けなかった／最も強い選手が世界の頂点に立つのだ。

　2020年2月、国枝は四大大会のひとつ「全豪オープン」シングルスを制し、同大会通算43回目の優勝を果たした。次なる目標は2020年東京大会での金メダルのみ。レジェンドは世界の頂点を見据え、ラケットを振る。

＜まとめ＞
◎国枝はパラスポーツ界のレジェンド。
◎ケガから復調し、東京大会では2大会振りの金メダルを狙う。

外部サイトへのリンク
＜国枝　慎吾　公式ｗｅｂサイト＞

上地　結衣

　最後に、プロ車いすテニスプレイヤーとして世界で戦う『上地　結衣』を紹介しよう。同選手も先に述べた国枝と同じく、2018年に東京大会の出場権を獲得、日本代表に内定した。主な戦績は、2016年ﾘｵ大会の女子シングルスで銅メダル、テニス界の最高峰「四大大会（グランドスラム）」車いす部門の女子シングルス6回、ダブルスは13回制すなど、実績／実力ともに文句のつけようがない。

　上地は先天性の病が原因で、幼い頃に下肢の機能を失った。車いすテニスを始めたのは11歳の時、メキメキと実力をつけ、史上最年少（14歳）で日本ランキング1位に上り詰める。18歳でパラリンピック初出場（2012年ﾛﾝﾄﾞﾝ大会）を果たし、その後は主戦場を海外に移した。そして2年後の2014年、上地は四大大会ダブルスを完全制覇（年間グランドスラム）、シングルスでは全豪、全米オープンを制し、その名は世界に轟いた。

　女子の有力選手／上位勢の実力は拮抗している。シングルス、ダブルス共に、東京大会では激しい優勝争いが繰り広げられるだろう。2016年ﾘｵ大会、上地は優勝候補として臨んだが、圧倒的な実力を誇るダブルスでも金メダルを獲得することはできなかった。

　2020年東京パラリンピック、上地には自国開催、さらに四大大会覇者／優勝候補という大きなプレッシャーがかかる。熱く激しい戦いが予想されるが、四大大会を22度制した実力で女子車いすテニスの歴史にその名を刻んでほしい。なお、同競技で金メダルを獲得すれば、日本史上初の快挙である。

＜まとめ＞
◎東京大会の出場権は獲得済み、実績／実力ともに文句なしの選出である。
◎上地には自国開催と四大大会覇者という大きなプレッシャーがかかる。

外部サイトへのリンク
＜上地　結衣　公式ｗｅｂサイト＞

まとめ

　今回は東京パラリンピックで活躍が期待される日本人選手たちを紹介した。なお、私の個人的な主観で選んでいることをご理解いただきたい。

　2016年ﾘｵ大会、日本代表は金メダルを1個も獲得できなかった。しかし、代表候補選手たちは4年前の悔しさをバネに実力を磨き、東京大会出場、そして金メダルを狙っている。56年振りの東京パラリンピック開幕まで残すところあと半年。新たなヒーローの誕生に期待したい。最後までお読みいただきありがとうございました。