◎ファイザー社とテキサス大学医学部の研究によると、ファイザーワクチンはイギリスと南アフリカで発見された2つのコロナウイルス変異種から接種者を保護する可能性が高いという。
◎ただし、コロナウイルス変異種の突然変異は複数確認されており、一部の専門家は変異の種類によってはワクチンが機能しない可能性もあると指摘している。
ファイザー社とテキサス大学医学部の研究によると、世界に展開され始めたファイザーワクチンはイギリスと南アフリカで発見された2つのコロナウイルス変異種から接種者を保護する可能性が高いという。
2つの変異種の出現以来、科学者たちは現在許可されているワクチンがそれらに対しても作用する可能性が高いと主張してきた。
テキサス大学の研究は、変異種に対する効果を確認するために行われた研究のひとつである。
同大学とファイザー社の研究者は、2つの変異種に共通する「N501Yと呼ばれる突然変異したウイルスの一部」に焦点を合わせている。
N501Yは人間の身体の細胞と最初に接触するウイルスの一部で、突然変異することで体内に侵入し感染を引き起こしやすくなる可能性があると指摘されている。
研究者たちは2つのコロナウイルス(1つはN501Yを含む、もうひとつは含まない)を作り、臨床試験でファイザーワクチンを接種した20人の血液サンプルにそれぞれ接触させた。
結果、ワクチン接種を受けた患者の免疫系は、N501Yを取り除くことができたという。
ただし、コロナウイルス変異種の突然変異は複数確認されており、一部の専門家は変異の種類によってはワクチンが機能しない可能性もあると指摘している。
現在、世界中で突然変異に対するワクチン(オックスフォード、モデルナ、その他のワクチン)の効果を確認する研究が進められている。
米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ博士はカリフォルニア州で開催された会議の中で、「ウイルスの一部が突然変異を起こしたとしても、ワクチンによって誘発される体内の反応が接種者を保護する可能性は非常に高い」と述べた。
アンソニー・ファウチ博士:
「ただし、コロナウイルスの制御不能な広がりが新たな突然変異の発生につながり、イギリスと南アフリカで発見されたタイプとは異なる変異種を生み出す可能性もある。ワクチンが突然変異の1つに機能すると分かっても安心してはいけない」
ケンブリッジ大学のラヴィ・グプタ教授は、「調査された突然変異は、イギリスで発見された8つのタイプの1つに過ぎない」と述べた。
ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のスティーブン・エバンス教授は、「良いニュースだが、ワクチンが確実に作用するという確証はまだ持てない」と述べた。
ファイザー社のワクチンについて
・95%の確率で接種者を保護する。また、65歳以上の患者の保護率も94%を示した。
・2020年に最大5,000万回分、2021年に最大13億回分の投与を目指している。
・2回接種する必要がある。
・輸送時の温度管理(ー75℃前後)が懸案事項。
・16歳の以上の人々に十分な安全を保証できる。
・1回の投与で強力な保護を得られると米食品医薬品局(FDA)は判断した。ただし、最高の保護を得るためには2回接種すべきと推奨。
・男女、異なる人種や民族に等しく効果を発揮する。
種類 | 保護率 接種回数 | 試験数 (公表数) | 保管条件 期間 | 費用 |
ファイザー | 95% 2回 | 43,538人 | -75℃ 5日 | 20ドル |
モデルナ | 94.5% 2回 | 30,000人 | -20℃ 6カ月 | 33ドル |
オックスフォード | 62-90% 2回 | 24,000人 | 冷蔵庫 ー | 4ドル |
スプトーニクV | 92% 2回 | 20,000人 | 冷蔵庫 ー | 10ドル |
コロナウイルスワクチン:分かっていないこと
・妊娠中の女性や免疫力が低下している人に対しての使用可否および効果。
・18歳以下への効果。(子供を対象とする臨床試験はまだ行われていない)
・HIV/AIDS患者やコロナウイルスから一度回復した人への効果。
・アレルギー反応を引き起こす可能性あり。
・接種者はコロナウイルスから保護されるが、「ウイルスの拡散を防ぐ効果があるかどうか」はまだ分かっていない。
・接種者はコロナウイルスから完全に保護される?症状から保護される?
・コロナウイルス変異種に対する効果。
・免疫を保持できる期間は?