▽トランプ氏はメキシコが麻薬カルテルの解体に失敗した場合、軍事行動を取ると公言している。
.jpg)
メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は3日、トランプ(Donald Trump)米大統領が麻薬カルテルを取り締まるためにメキシコに米軍を派遣してはどうかと提案したと明らかにした。
シェインバウム氏は中部テスココのフォーラムで講演した際、一部メディアが報じた内容に言及。「トランプ大統領はメキシコに米軍を派遣してはどうかと提案したが、私はそれを拒否した」と明らかにした。
米経済紙ウォールストリート・ジャーナルは2日、国境を越えた人身売買に対抗するため、麻薬カルテルに対する米軍の関与を認めるようトランプ氏がメキシコに圧力をかけているという記事を掲載した。
トランプ氏はシェインバウム氏との電話会談の中で、「麻薬密売との戦いでどう協力できるか」と聞き、「私は米軍をメキシコに派遣して、カルテルとの戦いを支援する用意がある」と提案したとされる。
シェインバウム氏は講演の中で、「私はトランプ大統領に主権は神聖なものであり、売り物ではなく、守るべきものだと言った」と述べた。
またシェインバウム氏は「麻薬カルテルとの戦いで米国と協力することはあっても、米軍がメキシコに駐留することはない」と強調した。
ホワイトハウスはシェインバウム氏の発言に関するコメントを出していない。
トランプ氏はメキシコとカナダのフェンタニルと不法移入対策に不満を示し、両国が必要な措置を取るまで関税を課し続けると警告している。
フェンタニルは2ミリグラム服用しただけで死に至る可能性があり、その効果はモルヒネの100倍、ヘロインの50倍といわれている。
米国では過去10年間で45万人以上が合成オピオイドの過剰摂取で死亡、数百万人が中毒になっている。その最大の要因がフェンタニルである。
米国に流入するフェンタニルの99.99%がメキシコ産である。メキシコの麻薬カルテルは中国やインドから合成オピオイドの前駆体化学物質を輸入。国内で加工し、米国などに密輸してきた。
トランプ氏はメキシコが麻薬カルテルの解体に失敗した場合、軍事行動を取ると公言している。両首脳はここ数カ月、安全保障問題、貿易、移民について話し合うため、何度か電話会談を行っている。
米国務省は2月、メキシコのシナロア・カルテルなど、中南米の8つの麻薬組織を外国テロ組織に指定した。