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▽シリア内戦の犠牲者は50万~60万人と推定されている。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。
シリア、首都ダマスカス、陸軍の兵士(Getty Images)

シリア北西部ラタキア県で暫定政権を支持する民兵とアサド派の武装勢力が衝突し、200人以上が死亡した。地元当局が7日、明らかにした。

アサド(Bashar Assad)前大統領を支持する勢力は6日、警察の車列に待ち伏せ攻撃を仕掛け、少なくとも13人を殺害したとみられる。

暫定政府を支持する勢力はこれに反発し、ラタキア県のいくつかの集落を襲撃。アサド派とみられる数十人を殺害したと伝えられている。

イギリスのNGOシリア人権監視団は7日、この戦闘が始まって以来、200人以上が殺害されたと明らかにした。

それによると、暫定政府派の報復攻撃で一般市民約140人が殺害されたという。暫定政府側の死者数は50人、アサド側は45人が死亡したとされる。

アサド氏は24年12月、タハリール・アルシャーム機構(HTS)率いる反体制派に敗れ、ロシアに亡命。50年にわたるアサド一族の独裁に終止符が打たれた。

シリア人権監視団はアサド氏を支持するアラウィー派の武装集団が治安部隊への攻撃を強化していると指摘。双方に武器を置くよう促した。

同監視団によると、暫定政府派は6日と7日にラタキア県の少なくとも3集落を襲撃。男性69人を殺害したという。女性に被害はなかったとされるが、詳細は不明だ。

同監視団は目撃者の話しを引用し、「彼らは3つの集落内で出会った男性を全員殺した」と伝えている。

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラも3つの集落が攻撃を受けたと伝えている。それによると、1集落で30人以上、残り2つで女性や子供を含む約60人が殺害されたという。

暫定政府は死者数を公表していない。

国営シリア・アラブ通信(SANA)は7日、治安当局者の話しとして、「多数の市民が警察襲撃の報復を求めてラタキア県のアラフィー派が暮らす地域に向かった」と伝えている。

それによると、当局は現地に増援部隊を送り、暴力の拡大を抑えようとしているという。

シャラア(Ahmed al-Sharaa、通称ジャウラニ)暫定大統領は7日のビデオ声明で、前政権に属する勢力に武器を引き渡すよう呼びかけ、暫定政府に忠誠を誓う勢力には市民への攻撃を避けるよう求めた。

ラタキア県近郊にはロシア軍のフメイミム空軍基地がある。

シリア内戦の犠牲者は50万~60万人と推定されている。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルはアサド政権の弾圧により死亡した10万人以上の遺体が首都ダマスカスの集団墓地に埋葬されている可能性があると警告している。

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