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▽北キブ州の州都ゴマは1月30日、同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)の支配下に置かれた。
2025年1月31日/コンゴ民主共和国、北キブ州ゴマの通り(AP通信)

アフリカ中央部・コンゴ民主共和国の北キブ州当局は1日、過去1週間の戦闘で少なくとも773人が死亡、2800人以上が病院で手当てを受けたと明らかにした。

北キブ州の州都ゴマは1月30日、同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)の支配下に置かれた。

ゴマの保健当局によると、市内の病院と死体安置所に運び込まれた遺体は773体に達したという。

大統領府の報道官も1日の記者会見で、「軍とM23の戦闘による死者が773人にのぼった」と明らかにした。

M23は東部の要衝ゴマを支配下に置き、南キブ州の州都ブカブに向けて進軍中とみられる。

欧米諸国は隣国ルワンダによるM23への軍事支援を非難。一部の国は援助停止を決めている。

M23の幹部は1月31日の記者会見で、「キンシャサまで攻勢をかける予定である」と語った。

また幹部は「政府が対話を求めた場合、応じる用意がある」と主張した。

ルワンダ軍はM23を支援し、ゴマ市内で堂々と活動している。

ルワンダ大統領府は30日の声明で、「コンゴと戦う準備ができている」と述べ、戦争も辞さないと主張した。

M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。

しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。

コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダはこの主張を否定している。

1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。

M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。

ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。

国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。

政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。

M23はこの数週間で支配地域を拡大し、ゴマを包囲していた。

ゴマには国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)の本部と南部アフリカ地域圏の基地があり、郊外の避難民キャンプでは少なくとも200万人がテント生活を送っている。

現地メディアによると、ゴマに配備されていた陸軍の兵士数百人が投降し、M23の管理下に置かれたという。

大統領府の報道官は会見の中で、「死傷数は暫定値であり、実際の数はこれをはるかに上回る可能性が高い」と指摘した。

それによると、M23は占領した町や村の住民に遺体を埋葬するよう命じているという。AP通信は情報筋の話しとして、「数十の集団墓地が新たに作られた」と伝えている。

M23は水道と電力インフラの復旧を許可すると表明。それ以来、数千人の住民がゴマに戻っている。戦闘に巻き込まれた集落では遺体の収容と埋葬が進められている。

戦闘で親族を亡くしたという男性はAPに「途中の集落で兵士の遺体が山積みにされていた」と語った。

MONUSCOの報道官は1月31日、M23とルワンダ軍が南キブ州ブカブの北方約60キロの地点におり、キブ湖に沿って進軍を開始して以来、2日間でかなり前進したと明らかにした。

それによると、部隊はかなりの速さで移動し、数キロ離れた場所にある空港が占領されるのも時間の問題だという。

コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。

政府はISIS系組織「民主同盟軍(ADF)」の攻撃にも対処する必要があり、厳しい戦いを強いられている。

ADFはウガンダで発足した反政府勢力。1990年代半ばから北キブ州などに拠点を置き、民間人数千人を虐殺したと告発されている。

国連安全保障理事会はルワンダにM23への軍事支援をやめるよう呼びかけているが、ルワンダ政府はこれを無視し、ルワンダ大虐殺の加害者を匿っているコンゴに全責任があると主張している。

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