◎事件は同州デライスマイルカーンの人通りの多い通りで発生。警察署に戻る途中のパトカーが爆発に巻き込まれた。
2024年12月17日/パキスタン、首都イスラマバード、ポリオワクチン接種の様子(AP通信)

パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州で全国ポリオワクチン接種キャンペーンの警護に当たっていたパトカーが道路脇に設置されたIED(即席爆発装置)とみられる爆弾の爆発に巻き込まれ、警察官3人が死亡、2人が負傷した。地元警察が17日、明らかにした。

それによると、事件は同州デライスマイルカーンの人通りの多い通りで発生。警察署に戻る途中のパトカーが爆発に巻き込まれた。

犯行声明を出した組織は確認されていない。

AP通信は目撃者の話しとして、「爆弾はパトカーがその近くを通過する直前に爆発したように見えた」と伝えている。何者かがパトカーの位置を確認して起爆した可能性がある。

保健当局は16日から今年最後の全国ポリオワクチン接種キャンペーンを開始。10月末から段階的にワクチン接種を進めてきた。対象は5歳以下の児童約4500万人。

カイバル・パクトゥンクワ州では前日、正体不明の武装集団が医療従事者に向けて発砲、護衛の警察官1人が死亡、女性保健員1人が負傷している。

パキスタンと隣国アフガニスタンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。

世界保健機関(WHO)によると、パキスタンでは今年、63人のポリオ患者が確認されている。

ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。

死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、特に妊婦は重症化リスクが高い傾向にある。

今年最後のワクチン接種キャンペーンは12月22日まで続く。

このキャンペーンに参加する医療従事者や護衛の警察官は過去に何度も暴力に見舞われてきた。

パキスタンのイスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。

過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療従事者らを標的にしている。

政府の統計によると、1990年代以降、このキャンペーンに参加した200人以上の医療従事者や護衛の警察官などが殺害されたという。

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