◎国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のターク高等弁務官は10日、少なくとも184人が殺害されたと声明を出した。
ギャングの支配下に置かれる中米ハイチの首都ポルトープランスで週末に100~200人が殺害され、犠牲者の遺族や目撃者が国際社会に支援を呼びかけている。現地メディアが10日に報じた。
地元ラジオ局の取材に応じた男性によると、事件はポルトープランスの南部のスラム街で6~7日に発生。ギャングとみられる武装兵が100人以上が殺害したとみられる。
男性は地元ラジオ局の取材に対し、「テロリストたちは老人を処刑し、女性をレイプし、私の息子を含む若者たちをナタや斧で切り刻んだ」と語った。
AP通信は人権団体などの話しとして、「6~7日で100人以上が殺害され、遺体の多くが路上に放置されている」と伝えている。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のターク(Volker Turk)高等弁務官は10日、少なくとも184人が殺害されたと声明を出した。
この殺戮事件の詳細はほとんど明らかになっていない。
地元メディアによると、警察も事件現場に近づくことができず、死者数は目撃者やSNSに基づく暫定値で、正確な数は誰にも分からないとのこと。
X(旧ツイッター)で共有された動画には、ヒトの頭部のように見えるものが10個ほど路上に並べられ、銃を持った男たちがそれを笑いながら蹴り飛ばす様子が映っていた。
国家警察と国連支援ミッションを率いるケニア警察はコメントを出していない。
同国の治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは2年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は10月初め頃から激化。中部アルティボニット県では地元で「グラン・グリフ」と呼ばれているギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
警察は何年もの間、ギャングが支配する地域に立ち入れず、市民でさえも、殺されることを恐れて証言を拒否する。
OHCHRのターク氏がどのように犠牲者数を特定したかは明らかになっていない。