◎ハシナ氏は5日、米ニューヨーク州で政党・アワミ連盟の支持者を前にオンラインで演説し、「自身と家族を暗殺する計画があった」と主張した。
バングラデシュの特別法廷は5日、インドに亡命したハシナ(Sheikh Hasina Wajed)前首相の演説を国内で放送したり、拡散することを禁じた。
ハシナ氏は今年7月に激化した反政府デモを受け退任。8月5日にヘリコプターでインドに逃亡した。
その後、ノーベル平和賞受賞者のユヌス(Muhammad Yunus)首相が暫定首相に就任。1971年のパキスタンとの独立戦争中の「人道に対する罪」を扱った特別法廷を再結成した。
ユヌス暫定政権は人道に対する罪を含め、ハシナ氏を100件以上の罪で告発。このデモによる死者は750人超、負傷者は数千人と報告されている。
ハシナ氏は5日、米ニューヨーク州で政党・アワミ連盟の支持者を前にオンラインで演説し、「自身と家族を暗殺する計画があった」と主張した。
またハシナ氏はユヌス暫定政権が自身の失脚以来、大量虐殺を行い、少数派、特にヒンズー教徒の保護を怠っていると主張した。
検察当局は特別法廷に対し、メディアやSNSでのハシナ氏の演説の放送・拡散を禁じるよう要請。特別法廷はこれを認め、国内でハシナ氏の演説を放送したり、SNSに動画を投稿することを禁じた。
特別法廷はハシナ氏とその側近の逮捕状を発行。国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)にも協力を求めている。
検察は要請の中で、「ハシナ氏によるいくつかのスピーチがメディアやSNSで流布され、裁判の証人に影響を与えたり怖がらせたりすることで、ハシナ氏らの捜査を妨害しようとしている」と主張した。
また検察は「裁判の承認たちはこれらのスピーチを聞き、ハシナ氏が復権した場合、摘発の対象になると恐れ、証言できなくなる」と述べた。
特別法廷は関係機関に対し、ハシナ氏の演説をメディアで放送しないよう命じ、さらにSNS上で拡散した動画や音声データも削除するよう命じた。
パキスタンとの独立戦争中の「人道に対する罪」を扱った特別法廷ではイスラム原理主義ジャマート・イ・イスラミ党の政治家が裁かれ、その多くが死刑に処された。
ハシナ氏はニューヨークの支持者に対し、父である故シェイク・ムジブル・ラフマン(Sheikh Mujibur Rahman)元大統領のように自身を暗殺する計画があったと語った。
バングラの独立を主導したラフマン氏と妻、そして息子は1975年8月15日に暗殺された。ハシナ氏と妹はドイツを訪れていたため無事であった。
ハシナ氏は「武装したデモ隊がダッカ市内にある私の自宅に向かったという情報が入り、警護隊との銃撃戦になることが予想されたため、インドに退避せざるを得なかった」と語った。