◎検察庁は今後、ボルソナロ氏らを正式に起訴して裁判にかけるかどうかを決定する。
ブラジル連邦警察は先週、2022年の大統領選結果を覆すためにクーデターを企てた疑いで、ボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領ら37人の起訴を求める捜査報告書を最高裁判所に提出した。
警察は884ページに及ぶ報告書の中で、証拠と証言によって立証された多段階の計画について説明している。
その計画には▽選挙制度への不信感を民衆に組織的に植え付けること▽この計画に法的根拠を与えるための政令を起草すること▽軍幹部にこの計画に同調するよう圧力をかけること▽首都ブラジリアで暴動を扇動することなどが含まれていた。
検察庁は今後、ボルソナロ氏らを正式に起訴して裁判にかけるかどうかを決定する。
TVグローボは11月30日、関係筋の話しとして、「検事総長は、誰がどの罪状で裁判を受けるかを決定する前に、告発された各人が疑惑のどの部分に関与したかを明確にするために、さらなる証言を求めるかを決定する」と報じた。
ボルソナロ氏とその盟友たちは不正行為や関与を否定。この告発を「ルラ政権による政治的迫害」と主張している。
ボルソナロ氏の支持者たちは23年1月8日、ルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領の就任に抗議し、連邦議会、最高裁、大統領府に押し入った。
暴徒は機動隊のバリケードを飛び越え、屋根によじ登り、窓を割り、室内を荒らしまわった。
ボルソナロ氏は最後まで選挙結果を認めず、ルラ氏の就任式にも出席しなかった。
告発された者の中にはボルソナロ政権時代の国防相や法相、当時の陸軍司令官やボルソナロ氏の政党の党首などが含まれている。
警察は報告書の中で、選挙の電子投票システムに関するフェイクニュースを広める取り組みはボルソナロ氏の就任初年度(2019年)に始まったとし、22年の大統領選が近づくにつれ、より戦略的かつ集中的に行われたと主張している。
また警察は親ボルソナロ派とリンクした数千のソーシャルメディアアカウントで構成されるいわゆる「デジタル民兵」や、その他著名な右派インフルエンサーや政治家たちが「投票システムが改ざんされる可能性がある」と主張するプロパガンダを拡散したとしている。
さらに、ボルソナロ氏はブラジルを共産主義から救ったと主張する軍事独裁政権(1964~85年)を公然と支持し、反対勢力を極左と煽ることで選挙戦を有利に進めようとした。
警察はこれらの偽情報や扇動が23年1月の暴動につながったとしている。