◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
中米ハイチの活動家たちが7日、ギャングによる暴力の急増と貧困の深刻化を理由に、他国に対し、ハイチ移民を強制送還しないよう要請した。
それによると、この1ヶ月の間に何万人ものハイチ移民が強制送還され、そのほとんどが隣国ドミニカからのものであった。
ドミニカ政府は最近、毎週1万人の移民を強制送還すると約束していた。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は先月初め頃から激化。中部アルティボニット県では地元で「グラン・グリフ」と呼ばれているギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
ハイチの人権団体によると、ドミニカ政府は過去1カ月で6万1000人近くのハイチ移民を強制送還したとい。
米国は先月、258人のハイチ移民を強制送還。英領タークスカイコス諸島、ジャマイカ、バハマは合わせて231人を強制送還したとしている。
人権団体は共同声明で、「ハイチに強制送還された移民のほぼすべてがホームレスのままである」と嘆いた。
また団体は「ギャングの支配地から逃れた移民はすべてを失い、帰る場所がない」と強調した。
その結果、送還された者の多くが再びドミニカの国境沿いに向かい、野営して国境を越えるタイミングを伺っているという。
米国のトランプ(Donald Trump)次期大統領は来年1月に就任次第、不法移民を1人残らず強制送還すると宣言している。