◎デビ大統領は先月末に発生した武装勢力による襲撃事件に言及。チャド湖周辺の国々が関与する統合任務に不満を表明した。
アフリカ西部・チャドのデビ(Mahamat Idriss Deby)大統領は3日、チャド湖地域における反政府勢力の脅威に対抗する地域安全保障連合MNJTFから脱退する可能性があると示唆した。
デビ氏は先月末に発生した武装勢力による襲撃事件に言及。チャド湖周辺の国々が関与する統合任務に不満を表明した。
この事件は同国西部のナイジェリア国境近くにある基地で10月27日に発生。正体不明の武装集団が基地を襲撃し、少なくとも40人のチャド軍兵士が死亡した。
犯行声明を出した組織は確認されていない。
チャド湖地域では西アフリカ最大のイスラム過激派組織ボコ・ハラムによるテロ攻撃が相次いでいる。
チャド湖地域はナイジェリア、ニジェール、カメルーンと国境を接し、それぞれが国境を越えた反政府勢力に対抗するためにMNJTFに兵力を提供している。
デビ氏は「共通の敵に対する共同の努力が欠けている」と指摘。「MNJTFの調整能力に失望している」と強調した。
またデビ氏はMNJTFから部隊を撤退させる可能性があると示唆したが、時期は明言しなかった。
ボコ・ハラムとナイジェリア政府は戦争状態にあり、15年以上にわたる戦いにより数万人が死亡、200万人以上が住居を失ったと推定されている。
チャド西部では今年3月、ボコ・ハラムとみられる武装集団の攻撃で陸軍兵士7人が死亡した。
チャド軍は2020年のボコ・ハラム掃討作戦で同組織の拠点を全て破壊したとしているが、それ以降もテロ攻撃は続いている。
ナイジェリア、ニジェール、カメルーンの各政府はデビ氏の声明についてコメントしていない。