ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
2021年10月22日/ハイチ、首都ポルトープランス、武装ギャング「G9&Family」の戦闘員(Matias Delacroix/AP通信)

中米ハイチの法務省は22日、コニーユ(Garry Conille)首相や他の政府高官が「悪意のある集団」に狙われている可能性があるとして、警察に警備を強化するよう求めた。

同省は「国内でトラブルとパニックを引き起こそうと画策する悪意のある何者かが首相や暫定評議会の高官などを標的にしている可能性がある」と声明を出した。

それによると、治安機関がこの情報を入手したという。

同省はそれ以上の詳細を明らかにせず、警察と司法当局に対し、政府高官の警備を強化し、適切な措置を取るよう求めた。

首相府と国家警察はこの声明に関するコメントを出していない。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

首都ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は今月初め頃から激化。中部アルティボニット県では地元で「グラン・グリフ」と呼ばれているギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

暴力に関与する複数のギャングはジャーナリストを脅し、戦闘員にその殺害を命じている。ハイチ・ジャーナリスト協会は22日、この脅迫を非難し、警察にジャーナリストを保護するよう要請した。

一方、国連ハイチ特使は22日、国連安全保障理事会で「ハイチの状況は遺憾ながら悪化している」と指摘した。

それによると、過去1年半で70万人以上が国外もしくは国内のどこかに避難し、その数はこの3カ月で急増したという。

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