◎サイード氏は66歳。反対派への弾圧と行政権に対するチェック・アンド・バランスを取り除き、多くの人権団体から非難されてきた。
アフリカ北部・チュニジアの国営テレビは6日夜、大統領選の出口調査を公表し、サイード(Kais Saied)大統領が得票率89.2%で勝利する見込みと報じた。
選挙管理委員会は7日夜に結果を公表する予定だ。
選管は先月、野党候補17人のうち2人の立候補を許可。しかし、そのうちの1人であるザメル(Ayachi Zammel)氏はその直後に逮捕・起訴され、先月、禁固20カ月の実刑判決を受けた。
出口調査によると、野党2候補の得票率は1ケタ台にとどまった。
投票率は速報値で27.7%。選管は30%前後と予想している。
サイード氏の主要なライバル候補は刑務所に収監されているか、出馬を禁じられている。
サイード氏は5年前、アラブの春につながった「ジャスミン革命」で独裁者ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)元大統領を追放した政治家たちが約束を果たさず、汚職に手を染めたと非難。その勢いで大統領に就任した。
その後、サイード氏は2021年7月に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖。野党はこれをクーデターと非難し、各地で小規模な抗議デモを続けている。
議会は22年3月に「解体」され、同年12月に議会選が行われたものの、投票率は9%に届かなかった。
野党は投票をボイコットしており、立候補を許可された2候補も支持していない。
最大野党アンナハダは6日、支持者に対し、街頭に出て抗議するよう促した。
サイード氏は66歳。反対派への弾圧と行政権に対するチェック・アンド・バランスを取り除き、多くの人権団体から非難されてきた。
しかし、大統領就任後も質素な暮らしを続け、利権に興味を示さないサイード氏を支持する人も多い。
サイード氏は野党議員を「金の亡者」と批判。「国民は汚職政治家や腐りきったエリート層にウンザリしている」と主張している。