◎コンゴではボートの転覆・沈没事故が多発しており、原因の多くが過積載や安全対策の不備とされる。
コンゴ民主共和国東部・南キブ州の湖で発生したボートの転覆事故について、地元当局は3日、これまでに78人の死亡を確認し、200人近くが行方不明になったとみられると発表した。
同州知事は声明で、「死者数は暫定値であり、増える可能性が高い」と述べた。
それによると、このボートには278人が乗っていたとみられる。
現場は南キブ州のキブ湖。ボートは同州から紛争が続く北キブ州の州都ゴマに向かっていた。
同州知事は地元ラジオ局の取材に対し、「定員30人のボートに100人が乗っていたという情報がある」と述べていたが、その後、その数を278人に訂正した。
ボートは3日早朝、船着き場を出発した直後に転覆したとみられる。
現場で救助活動にあたる地元の民兵やボランティアが少なくとも10人を救助。近くの病院に搬送した。
AP通信は目撃者の話しとして、「ボートは船着き場から10メートルも離れていない地点で転覆した」と伝えている。
コンゴではボートの転覆・沈没事故が多発しており、原因の多くが過積載や安全対策の不備とされる。
南キブ州を含む東部地域では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。
これらの地域では自然災害や事故が発生しても救助活動はほとんど行われない。
今年6月には首都キンシャサ近郊で過積載のボートが沈没し、80人が死亡。1月には北キブ州の湖で22人が死亡、23年4月にはキブ湖で6人が死亡、64人が行方不明になった。
政府は運航者に安全対策を守るよう警告し、違反した者は罰すると宣言している。
戦闘が続く東部の僻地に警察はほとんどおらず、利用できる道路も少ないため、多くの市民がボートに頼って生活せざるを得ない状況になっているようだ。
南キブ州知事は地元ラジオ局の取材に対し、「ボートの運航者を罰し、キブ湖でのボート運用を改善する勧告も出す予定だ」と語った。