◎ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
米国のブリンケン(Antony Blinken)国務長官が6日、ドミニカ共和国を訪問し、人権、経済、地域安全保障、そして隣国ハイチにおけるギャング暴力などについて協議した。
ブリンケン氏は5日にハイチを訪問。コニーユ(Garry Conille)首相らと会談し、ドミニカに移動した。
ブリンケン氏はドミニカのアビナデル(Luis Abinader)大統領と会談。話題の中心はハイチの問題であった。
アビナデル氏は記者団に対し、「我が国はハイチにおける国連PKOミッションの資源が明らかに不足していること、また今年初めにギャングが組織的攻撃の一環としてハイチの2大刑務所を襲撃した後、数千人の受刑者が逃亡したことを懸念している」と述べた。
またアビナデル氏はドミニカに入国しようとする移民が急増し、人々を保護する病院や学校に大きな負担がかかっていると強調した。
アビナデル氏は近年、ハイチからの移民やハイチ人の両親のもとにドミニカで生まれた人々に対する扱いで批判を浴びてきた。同政府はハイチ国境をほぼ閉鎖し、国境沿いに壁を建設している。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ブリンケン氏はPKOを率いるケニア国家警察に謝意を示し、「ハイチの治安はいくらか改善している」と述べた。
またブリンケン氏は「今後の総選挙を含む、ハイチの進歩の礎は平和でなければならない」と強調。「これを確立するのはギャングではなく、国家、国民、国民が選挙で選んだ代表でなければならないとした。