◎与党・国家再生運動(MORENA)は上院で3分の2以上の議席に1議席足りないが、一部の野党議員が賛成に回ると予想されている。
メキシコ議会下院は4日、政府与党の司法制度改革法案を可決した。
現地メディアによると、10時間以上におよぶ審議の末、憲法改正案は賛成359ー反対135で可決されたという。
オブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領の与党・国家再生運動(MORENA)は上院で3分の2以上の議席に1議席足りないが、一部の野党議員が賛成に回ると予想されている。
最高裁判所を含む多くの公務員がこの改正案に抗議するためストライキを行っている。
現行制度では、裁判官とその補佐役である裁判所秘書官は、その記録に基づいて徐々に高い地位に就く資格を得る。
しかし、今回の改正案は、「すべての裁判官を国民投票で選出する」としている。さらに、最低限の資格を持つ弁護士であれば誰でも裁判官に立候補できるようになる。
法学部の学位と数年間の弁護士経験があれば、ほぼ誰でも裁判官になる権利を得ることができる。
一部の専門家は経験の浅い政治的に偏った裁判官を生む可能性があると警告している。
またMORENAはこの法案で7つの国立機関を廃止するとしている。
オブラドール氏は以前から、多くの裁判官が汚職に手を染め、犯罪者を優遇していると批判してきた。
司法当局はこの主張を否定。麻薬カルテル、ギャング、その他犯罪組織への対応に苦慮しているオブラドール政権がその責任を司法に負わせようとしていると批判している。
一部の専門家はこの改革が司法の独立性に深刻な打撃を与えると指摘。全国数千人の裁判官を選挙で選ぶこと自体が間違いであり、麻薬カルテルや犯罪者に近い人物が立候補する可能性があると警告している。
地元の複数の人権団体が法案の廃止を求める共同声明を発表。「これは民主主義に影響を及ぼし、人権を危険にさらし、国際的義務に違反する」と批判した。