◎まもなく6年間の任期を終えるオブラドール氏は集大成として、裁判官を国民投票で選出するなど、物議を醸している改革案を国会に提出した。
メキシコの首都メキシコシティで1日、オブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領が推進する司法制度改革案に賛成する集会が開かれ、数万人が大統領府近くに押し寄せた。
まもなく6年間の任期を終えるオブラドール氏は集大成として、裁判官を国民投票で選出するなど、物議を醸している改革案を国会に提出した。
批評家たちはこの法案が民主主義のチェック・アンド・バランスを脅かしていると批判しているが、有権者はそう思っていないようだ。
デモ隊は「裁判官を国民投票で選びたい」と連呼し、オブラドール氏を称賛した。
オブラドール氏はデモに先立ち、SNSに声明を投稿。「米国の友人や隣人たちも賛成している」と述べた。
駐米大使は先月末、この法案を民主主義に対するリスクと呼び、米国とメキシコの商業関係を危うくすると警告していた。
反対派は経験の浅い政治的に偏った裁判官を生む可能性があると警告。メキシコシティで法案に反対するデモを開いた。
与党・国家再生運動(MORENA)は6月の総選挙で大勝し、国会で多数派を占めている。この法案は近く採決され、成立する見通しだ。
成立した場合、法学部の学位と数年間の弁護士経験があれば、ほぼ誰でも裁判官になる権利を得ることができる。
MORENAは7つの国立機関を廃止する法案も準備している。
オブラドール氏は以前から、多くの裁判官が汚職に手を染め、犯罪者を優遇していると批判してきた。
司法当局はこの主張を否定。麻薬カルテルやその他犯罪組織への対応に苦慮しているオブラドール政権がその責任を司法に負わせようとしていると批判している。