◎ベネズエラの選挙管理委員会は28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ大統領が得票率51%で勝利したと発表。欧米と一部の中南米諸国から非難を浴びている。
南米ベネズエラ全土で大統領選に抗議するデモが続き、故チャベス(Hugo Chávez)前大統領の像が反体制派の標的となっているようだ。現地メディアが30日に報じた。
首都カラカス郊外の港町に建立された高さ約3.5メートルの像は足元からへし折られた。
ソーシャルメディアで拡散した動画にはこの像を引き倒し、ガソリンをかけて火を放つ男たちの姿が映っていた。
像の上半身は粉々になり、鉄筋がむき出しの状態で黒焦げになっている。
この像を破壊した男たちはこう言っている。「この像はマドゥロと政府支持者のシンボルだ。ひとつ残らず破壊してやる...」
ベネズエラの選挙管理委員会は28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が得票率51%で勝利したと発表。欧米と一部の中南米諸国から非難を浴びている。
全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)氏の得票率は44%とされるが、真偽は不明だ。
投票を監視するジミー・カーター(Jimmy Carter)元米大統領の財団「カーター・センター」はベネズエラ当局に対し、今回の選挙で使用した3万台の投票機の集計結果を公表するよう求めている。
選管は29日朝までに集計結果を公表すると約束したが、地元メディアによると、選管のウェブサイトで不具合が発生し、閲覧できない状態になっている。
地元メディアによると、チャベス氏の像が標的になったのは2017年と19年の反政府デモ以来3回目。この時は数体が破壊されたようだ。
大統領選の結果に抗議する人たちは過去24時間で少なくとも5体のチャベス像を破壊したとされる。
ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏のバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、推定770万人が国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。
選管は投票締め切りからわずか数時間後にマドゥロ氏の勝利を宣言したが、得票率以外のデータは公表せず、公表するかどうかも不明である。
野党はゴンザレス氏がマドゥロ氏の2倍以上の票を獲得したと主張している。
米国やEUなどはベネズエラ当局に対し、選挙結果を再考するよう求めている。
米政府は昨年10月、マドゥロ政権が野党連合と選挙協定を結んだ見返りとして、経済制裁を一部緩和したものの、ベネズエラ初の女性大統領を目指しているマチャド(María Corina Machado)元議員が選挙に立候補できなかったことなどを受け、今年3月にこれを取り消した。
複数の地元メディアが最近行った世論調査によると、ゴンザレス氏の支持率はマドゥロ氏を25~30%上回っていた。