◎メキシコはシリアやアフガンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつであり、麻薬戦争の犠牲者は35万~40万人、それに巻き込まれて行方不明になった人は10万人以上と推定されている。
メキシコ、南部チアパス州タパチュラの国境検問所(ロイター通信)

メキシコのオブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領は26日、南部チアパス州の麻薬カルテルが支配する地域の住民約600人が隣国グアテマラに避難した問題について、グアテマラ政府に謝意を表明したうえで、「このような暴力はよくあることだ」と主張した。

オブラドール氏は定例会見で、「メキシコは広い国であり、世界の他の国と同様、一部地域で紛争が起きている」と述べた。

またオブラドール氏は麻薬カルテルがチアパス州郊外の複数の集落を支配しているという報道や地元当局の主張を否定。「メキシコは民主主義国家であり、カルテルギャングが首長を務める町など存在しない」と主張した。

さらに、「国家と敵対する者は暴力でこの国を支配したいと考えているようだが、決して実現せず、陸軍と警察が協力して問題に対処する」と述べた。

チアパス州の複数の地域では世界最大の麻薬組織「シナロア・カルテル(Sinaloa Cartel)」や同国№2の「ハリスコ新世代(Jalisco New Generation)」などが1年以上前から支配権を争っている。

両カルテルは麻薬、移民、銃の密輸ルートをめぐって争っているものとみられる。

現地メディアによると、抗争とそれに伴う食料不足により、チアパス州郊外の子供、女性、高齢者など、少なくとも580人がグアテマラに逃れたという。

AP通信の取材に応じた避難者の男性は、「家の外で銃撃戦が始まったため、命からがら逃げだした。彼らは対立する組織と戦う際、地元住民を人間の盾として利用している」と語った。

メキシコはシリアやアフガンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつであり、麻薬戦争の犠牲者は35万~40万人、それに巻き込まれて行方不明になった人は10万人以上と推定されている。

6月にはチアパス州の別の地域で重武装したギャングとみられる男たちが郊外の町に押し入り、多くの家屋に火を放った。報道によると、この襲撃により、少なくとも5000人が一時避難を余儀なくされたという。

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