◎選管は5月21日に暫定結果を公表する予定であったが、2週間近く前倒しした。
アフリカ中部・チャドの選挙管理委員会が6日に行われた大統領選の結果を発表。現職のデビ(Mahamat Idriss Deby)大統領が得票率61%強で勝利した。現地メディアが9日に報じた。
対立候補であるマスラ(Succès Masra)首相はこの結果に異議を唱え、有権者に抗議デモを呼びかけている。
選管は5月21日に暫定結果を公表する予定であったが、2週間近く前倒しした。
集計によると、次点のマスラ氏の得票率は18.5%。デビ氏が他の候補を圧倒した。
首都ンジャメナでは選管の発表後、デビ政権に反対する勢力が治安部隊に襲いかかり、銃撃戦に発展。一部メディアは一般市民を含む数人が死傷したと伝えている。
イドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領は2021年4月、反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との戦闘で戦死。これを受け、軍の最高司令官であった息子のデビ氏が議会を解散し、軍事評議会を発足させ、大統領代行に就任した。
デビ氏は民政復帰を約束したものの、野党の猛批判を払いのけ、移行期間を2年延長。選管は今年2月、待ちに待った大統領選を5月に行うと発表した。
チャドは世界で最も貧しい国のひとつであり、1960年にフランスから独立して以来、政治情勢が安定したことは一度もなく、選挙で国家元首を選出したのも初めてである。
選管の発表から数時間後、マスラ氏はフェイスブックに動画を投稿。「当局が票を操作している」と主張した。
またマスラ氏は国軍、警察、その他治安部隊に対し、「デビの命令に従うな」と呼びかけた。
「選管の不正はチャドを間違った方向に導くものだ。デビの命令はこの国を戦争に向かわせるものだ。デビは取り返しのつかない、許されざる罪を犯したのである。この不当な命令に従うことを拒否せよ!」