◎パキスタンとアフガンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。
パキスタン、北西部ペシャワル、経口生ポリオワクチン接種の様子(Muhammad Sajjad/AP通信)

パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州でポリオ予防接種の警備に当たっていた警察官が何者かに撃たれ死亡した。警察当局が4月30日、明らかにした。

それによると、事件は州都ペシャワルの住宅街で発生。正体不明の武装集団が経口生ポリオワクチンの接種を行っていたグループに向けて発砲したという。

カイバル・パクトゥンクワ州では今年、少なくとも10人の警察官がポリオ予防接種の警備中に死亡している。

犯行声明を出した組織は確認されていない。武装集団はバイクで逃亡したと伝えられている。

ポリオ(急性灰白髄炎)は脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。

死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、妊婦はさらに高いと推定されている。

地元メディアによると、カイバル・パクトゥンクワ州では29日から5日間のポリオ予防接種キャンペーンが始まったという。対象は危険度の高いペシャワルの一部地域など、13の地区。

2万1000以上のチームが5歳以下の442万3000人にワクチンを接種する。国家警察は3万2000人以上の警察官を投入し、警備に当たっている。

パキスタンとアフガンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。

パキスタンのイスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。

過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療関係者らを標的にしている。

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