◎ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。
ハイチ、首都ポルトープランスの避難所(ロイター通信)

米国のニコルズ(Brian A. Nichols)国務次官補(西半球担当)は10日、ギャングの支配下に置かれる中米ハイチの未来を決める暫定評議会が今週中に発足する見通しであると明らかにした。

ニコルズ氏はニューヨーク市で開催されたフォーラムで演説。「次期首相を選出する評議会は早ければ今週中にも正式に発足する可能性がある」と述べた。

評議会は9人の委員で構成される予定だ。

14カ国と1地域で構成されるカリブ共同体(CARICOM)がアンリ(Ariel Henry)首相の後を継ぐ暫定評議会の発足準備を主導している。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

首都ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、空港、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

アンリ氏は未だに帰国できず、無政府状態に陥っている。

現地メディアによると、国内の空港と港は閉鎖されたままの状態。人道機関の物資を積んだ複数の貨物船が沖合で待機を余儀なくされている。

ニコルズ氏はフォーラムで、「ハイチの人道危機は壊滅的であり、世界最悪と言っても過言ではない」と述べた。

またニコルズ氏は暫定評議会発足後、治安を回復したうえで、総選挙に向けた準備を速やかに進める必要があると強調した。

国連はハイチの現状を「大惨事」と評価している。ギャングの暴力で死亡した市民はこの数カ月で1500人を超えたと推定されているが、正確な数は不明である。

ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。

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