◎チャドは世界で最も貧しい国のひとつであり、1960年の独立以来、政治情勢が安定したことは一度もない。
チャド、首都ンジャメナの路上(AP通信)

アフリカ中部・チャドの野党グループが首都ンジャメナの国家安全保障局事務所を襲撃した事件について、地元当局は29日、デビ(Mahamat Idriss Deby)大統領のいとこが襲撃を指揮し、治安当局に殺害されたと明らかにした。

この男は5月6日に予定されている大統領選の有力候補であり、野党グループを率いていたとされる。

襲撃事件は28日に発生。大統領府の報道官は「デビ政権の転覆を企てる野党勢力が国家安全保障局の事務所を襲撃した」と非難していた。

地元当局によると、この事件でデビ氏のいとこを含む数人が死亡したという。

野党グループは10台以上の車でンジャメナにある国家安全保障局の事務所を襲撃。少なくとも20人が逮捕され、捜査が進められているようだ。

それ以上の詳細は明らかにされていない。

別の野党グループの財務責任者は28日、司法長官の暗殺を企てたとして逮捕された。この事件も詳細は不明である。

イドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領は2021年4月、反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との戦闘で戦死。これを受け、軍の最高司令官であった息子のデビ氏が議会を解散し、軍事評議会を発足させ、大統領代行に就任した。

政府は昨年、1年半の政権移行期間をさらに2年延長すると発表。国中で抗議デモが発生した。

現地メディアによると、28日午後にンジャメナのインターネットが突然切断され、29日になっても復旧していない。

チャドは世界で最も貧しい国のひとつであり、1960年の独立以来、政治情勢が安定したことは一度もない。

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