◎大統領府は昨年4月、国営の児童養護施設で発生した児童性的虐待を隠蔽しようとして有罪判決を受けた男に恩赦を与えた。
ハンガリーのノバーク(Katalin Novák)大統領が10日、児童性的虐待事件の共犯者として有罪判決を受けた男に恩赦を与えたことに対する世論の反発を受け、辞意を表明した。
ノバーク氏はテレビ演説の中で辞意を表明。「恩赦は間違いだった」と述べ、国民に謝罪した。
ノバーク氏は同国初の女性大統領であり、2022年に史上最年少で大統領に就任した。
大統領府は昨年4月、国営の児童養護施設で発生した児童性的虐待を隠蔽しようとして有罪判決を受けた男に恩赦を与えた。
この男は2004~16年の間に少なくとも10人の児童を性的虐待したとして8年の実刑を言い渡された施設長に対する虐待の告発を撤回するよう被害者に圧力をかけたとして、2018年に実刑判決を受けた。
ノバーク氏は演説の中で次のように述べ、謝罪した。「私は昨年4月、この受刑者が自分に託された子供たちの弱さを悪用したのではないと考え、恩赦を与えましたが、間違いでした。私が傷つけてしまった人々、私が被害者が受けた心の傷を理解していないと感じた全ての人に謝罪します...」
ノバーク氏の辞任は2010年から多数派を占める与党・フィデス・ハンガリー市民連盟のオルバン(Viktor Orbán)首相を動揺させた。
ノバーク氏はオルバン氏の盟友であり、大統領に任命されるまでは大臣を歴任するなど、良好な関係を維持してきた。
ノバーク氏は閣僚時代、伝統的な家族の価値観を支持し、LGBTQ+(性的少数派)の権利拡充などに否定的な考えを示していた。