◎1974年のキプロス紛争でキプロス島が二分されて以来、キプロスとトルコはその地位をめぐって激しく対立してきた。
国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は5日、キプロス紛争の問題解決に向けた和平交渉を復活させる可能性を探るため、新特使を任命した。
国連報道官は声明で、「オルギン(María Ángela Holguín Cuéllar)特使はキプロス問題に関するグテレス事務総長のアドバイザーを務める」と明らかにした。
オルギン氏は2010~18年までコロンビアの外相、2004~06年にはコロンビアの国連代表を務めた。
国連によると、オルギン氏は数日以内にキプロスを訪問し、フリストドゥリディス(Nikos Christodoulides)大統領らと会談する予定。
1974年のキプロス紛争でキプロス島が二分されて以来、キプロスとトルコはその地位をめぐって激しく対立してきた。
トルコ系キプロス人のクーデターに端を発するトルコの侵攻は1983年の「北キプロス・トルコ共和国(通称北キプロス)」独立で結実。NATO加盟国のトルコはこの地域に兵士4万人を駐留させ、キプロスを威嚇し続けている。
北キプロスの独立を承認したのはトルコのみである。
キプロスの和平協定が成立すれば、不安定な中東に隣接するこの地域の紛争の火種が減る。地中海東部の天然ガスが豊富な海域に埋蔵されている炭化水素の利用も容易になるだろう。
グテレス氏はこの問題に関して、より慎重なアプローチを取ってきた。2017年にも和平交渉を後押ししたが、両者の溝は深まるばかりである。
トルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は昨年、北キブロスの分離独立49年を記念する式典で演説した際、和平交渉の再開を示唆する一方、「北キプロスの主権と独立を保障しない限り、いかなる取引にも応じない」とキプロスをけん制した。