◎軍政はこの新憲法を来年予定している総選挙の足掛かりと呼んでいる。
西アフリカ・チャドの選挙管理委員会は24日、先週行われた新憲法の是非を問う国民投票の最終結果を公表した。
それによると、軍政率いる国民対話で起草された新憲法は賛成86%で承認されたという。投票率は64%だった。
軍政はこの新憲法を来年予定している総選挙の足掛かりと呼んでいる。
イドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領は2021年4月、反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との戦闘で戦死。これを受け、軍の最高司令官であったデビ(Mahamat Idriss Deby)氏が議会を解散し、軍事評議会を発足させ、大統領代行に就任した。
デビ氏は政権を奪取した際、1年半後に選挙を実施すると約束。しかし昨年4月、この体制を24カ月間継続すると発表し、野党を落胆させた。
新憲法は独立以来チャドが維持してきた単一国家を維持する一方で、地方議会や伝統的な首長制による協議会を持つ自治コミュニティを設立するなどの変更を加えている。
しかし、一部の反対派は連邦国家の創設を求め、その方が産油国でありながら貧困にあえぐチャドの開発に役立つと主張してきた。
FACTを含む反政府勢力や一部の野党は軍政が国民投票を完全に支配していると非難。投票を「茶番」と呼び、有権者にボイコットを呼びかけていた。
チャドは世界で最も貧しい国のひとつであり、1960年の独立以来、政治情勢が安定したことは一度もない。