◎チャドは世界で最も貧しい国のひとつであり、1960年の独立以来、政治情勢が安定したことは一度もない。
チャド、首都ンジャメナ、デビ大統領(Getty Images)

西アフリカ・チャドで17日、新憲法の是非を問う国民投票が始まった。軍政はこの新憲法を来年予定されている総選挙の足掛かりにしたいとしている。

この憲法は軍政が主催する国民対話で起草された。

しかし、野党はこれに強い懸念を示し、「国民投票は軍政が権力を保持するための茶番劇に過ぎない」と批判している。

イドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領は2021年4月、反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との戦闘で戦死。これを受け、軍の最高司令官であったデビ(Mahamat Idriss Deby)氏が議会を解散し、軍事評議会を発足させ、大統領代行に就任した。

チャドは世界で最も貧しい国のひとつであり、1960年の独立以来、政治情勢が安定したことは一度もない。

デビ氏は政権を奪取した際、1年半後に選挙を実施すると約束。しかし昨年4月、この体制を24カ月間継続すると発表し、野党を落胆させた。

軍政はこの体制をさらに18カ月間延長する権限を保持している。

国民対話で一部改訂された新憲法は軍指導者の大統領選への立候補も認めている。

新憲法は地方議会と首長を長とする協議会を持つコミュニティの自治を認める内容となっている。

賛成に投票した有権者は地元テレビ局の取材に対し、「新憲法は初めて地方税の徴収を可能にするなど、この国の民主主義を高めている」と語った。

国民投票で反対が過半数を占めた場合、新憲法は再度国民対話で議論されることになる。

アフィリエイト広告
スポンサーリンク