◎親ロシア派のフィツォ元首相はチャプトバ大統領を「西側の傀儡」「米国の奴隷」などと呼んでいる。
スロバキアのチャプトバ(Zuzana Caputova)大統領は2日、週末の議会選(定数150)で勝利した左派政党スメルのフィツォ(Robert Fico)元首相に連立政権樹立を要請した。
スメルは9月30日の選挙で得票率22.9%を獲得し、第1党に躍進。42議席を獲得した。
第2党は中道左派のプログレッシブ・スロバキア。得票率は17%だった。
スメルの連立交渉が成立すれば、フィツォ氏が4度目の首相に返り咲くことになるとみられる。
チャプトバ氏は2日に放送されたテレビ演説で、「新政権はすべての国民に奉仕しなければならない」と強調した。
親ロシア派のフィツォ氏はチャプトバ氏を「西側の傀儡」「米国の奴隷」などと呼んでいる。チャプトバ氏は名誉棄損でフィツォ氏を訴えている。
スロバキアはロシアの侵略に直面する隣国ウクライナを積極的に支援してきたが、フィツォ氏は一連のウクライナ支援を撤回し、EUの対ロシア制裁にも反対すると明言している。
スメルの連立交渉は難航が予想される。
地元メディアは専門家の話しとして、「スメルから分裂し得票率15%で3位となったフラスの動向に注目が集まっている」と伝えている。
フラスの党首は2020年の前回選挙でスキャンダルにまみれたフィツォ氏と袂を分かったが、連立に参加するのではないかという観測が高まっている。
プログレッシブ・スロバキアの報道官はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「スメルが連立に失敗した場合は野党により連立発足を目指す」と述べた。