◎同国の電力網は極めて脆弱であり、電気を利用できるのは人口約2600万人のうち430万人程度にとどまっている。
西アフリカ・ニジェールの水力発電ダム建設が軍事クーデターの影響で中止されたようだ。国営メディアが11日に報じた。
それによると、このダムは首都ニアメの北西約180kmの地点で建設が進められていたものの、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の制裁により、資金を確保することが困難になったという。
国営テレビはダム建設を請け負う中国企業の声明を引用し、次のように報じた。「弊社はダム建設を中断し、従業員を解雇した。資金を確保できれば、建設を再開する...」
このダムはニジェールの電力網を大幅に強化すると期待されていた。
同国の電力網は極めて脆弱であり、電気を利用できるのは人口約2600万人のうち430万人程度にとどまっている。
大統領警護隊らで構成される反乱軍は7月26日に首都ニアメの大統領府を占拠し、バズム(Mohamed Bazoum)大統領とその家族を拘束。その後、チアニ(Abdourahmane Tchiani)将軍が国家元首に就任した。
ECOWASはバズム氏の即時解放と憲法秩序の回復を軍政に要求し、制裁を発動。要求に応じない場合は軍事介入も辞さないと警告している。
この制裁はニジェールの経済を麻痺させ、支援国や多国籍企業とのつながりを断ち切った。
建設中のダムはニジェール川の治水にも役立ち、乾季に下流の灌漑(かんがい)を可能にすると期待されていた。
このダム建設プロジェクトは1970年代から議論されていたようだ。