◎大使館職員は治安当局と一緒に避難したと伝えられている。
イラクの首都バクダッドにある在スウェーデン大使館が暴徒の攻撃を受けた。地元の警察当局が29日に明らかにした。
それによると、イスラム教シーア派の反米指導者・サドル師を支持する数百人が大使館を取り囲み、敷地内に侵入したという。
バグダッドの治安当局は声明で、「暴徒はサドル師の写真と民兵組織の旗を掲げて大使館に突撃した」と述べている。
大使館職員は治安当局と一緒に避難したと伝えられている。
AP通信は情報筋の話として、「暴徒の一部はLGBTQ+(性的少数者)を象徴するレインボーフラッグも燃やした」と伝えている。
スダニ(Mohammed al-Sudani)首相はまだこの大使館襲撃に関する声明を出していない。
APによると、暴徒は治安部隊の退去命令を受け入れ、敷地外に出た後も抗議デモを続けたという。逮捕者が出たかどうかは明らかになっていない。
スウェーデンの首都ストックホルムにあるモスク前で28日に行われたイスラム教の聖典コーランを燃やすデモはイスラム国家の怒りを煽った。スウェーデン警察はイラク系クルド人が主催したこのデモを許可している。
イラクの治安当局によると、デモを主催した男性はキリスト教徒で、2016年に同国の軍隊に編入されたシーア派民兵組織のキリスト教部隊に参加したことがあるという。
スウェーデン警察は今週、コーラン焼却デモを禁じるという決定がストックホルム地裁で覆されたため、表現と言論の自由を理由に28日のデモを許可した。
イスラム教の犠牲祭イード・アル・アドハに合わせて行われたこのデモは世界で非難を浴びた。トルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は29日、スウェーデンのNATO加盟は遠のいたと示唆した。
一方、サドル師は29日、自身のツイッターアカウントに声明を投稿。スウェーデン大使館に抗議し続けるよう支持者に呼びかけた。
サドル師はスダニ氏に対し、駐スウェーデン大使の追放と、コーランを燃やした男を欠席裁判にかけ、国籍を剥奪するよう要請した。
またサドル師は30日にも大使館前で同様のデモを行うよう呼びかけた。
イラク外務省は声明で、「スウェーデン大使を召喚し、同政府に対し、聖なるコーランへの度重なる侮辱を阻止する措置を取るよう求めた」と述べている。
また同省は「宗教を侮辱する表現の自由を容認することはできない」と非難した。