◎パキスタンはスンニ派の大国サウジと密接な関係にあるが、シーア派が多いイランとも良好な関係を維持しようとしてきた。
パキスタンのシャリフ(Shahbaz Sharif)首相が18日、イラン南部シスタンバルチスタン州ピシンを訪問し、ライシ(Ebrahim Raisi)大統領と会談した。
両国の首脳が会談したのは10年ぶり。
両首脳はピシンのパキスタン国境に建設された市場の落成式に出席した。
両国は2012年に締結した協定に基づき、国境沿いに6つの市場を建設する予定だ。
国営イラン通信(IRNA)によると、両首脳はパキスタンの遠隔地に電力を届けるイランの送電線の開通式にも出席したという。
その後、両首脳はピシンの政府庁舎で会談し、貿易・経済関係を強化することで合意した。
パキスタン首相府によると、シャリフ氏はライシ氏に首都イスラマバードを訪問するよう要請したという。
両国の関係はパキスタン南西部の国境付近に拠点を置く分離主義勢力の度重なる越境攻撃で悪化した。
パキスタン南西部バルチスタン州に拠点を置く「バルチスタン解放軍(BLA)」は中央政府と戦争状態にあり、イラン側にもテロ攻撃を仕掛けている。
パキスタン政府は10年前、米国の対イラン制裁を無視してイラン産天然ガスを輸入する協定に署名した。この協定は結局、米国の圧力により履行されなかった。
パキスタンはスンニ派の大国サウジと密接な関係にあるが、シーア派が多いイランとも良好な関係を維持しようとしてきた。サウジとイランは長年ライバル関係にあったが、今年初めに外交関係を回復させた。