◎自警団とみられる人々は警察に拘束されたギャングとみられる13人を強奪し、通りで石打ちにしたのち、ガソリンをかけて焼き殺した。
ハイチ国家警察は26日、首都ポルトープランスで活動する自警団による超法規的殺人を非難し、ギャングの暴力を目撃した時は速やかに警察に通報するよう呼びかけた。
警察の報道官は2日前にポルトープランスで怒れる群衆がギャングとみられる13人を公開処刑したことについて、「正義を自分の手に委ねてはならない」と訴えた。
自警団とみられる人々は警察に拘束された13人を強奪し、通りで石打ちにしたのち、ガソリンをかけて焼き殺した。
ソーシャルメディアで共有された動画には、この13人とみられる男たちが石を投げつけられ、血まみれになるところが映っていた。
警察の報道官は記者会見で、「ギャングを見かけたり、暴力を確認した時はすぐ警察に通報してください。間違っても正義を自分の手に委ねないでください」と訴えた。
また報道官はギャングの取り締まりを継続すると国民に約束し、近所で異常な活動や見覚えのない人を見かけた時は通報するよう呼びかけた。
AP通信の取材に応じた警察関係者は「今週も多くの犠牲者が出た」と述べたが、詳細は明らかにしなかった。
ポルトープランス中心部の地区で起きた自警団による公開処刑は世界に衝撃を与えた。国連は25日、あらゆる形態の暴力を非難すると声明を出し、ハイチ当局に徹底調査を要請した。
APによると、この事件が起きた時、現場には限られた数の警察官しかおらず、暴徒の勢いに圧倒され、拘束した13人を力づくで奪われたという。
別の地区でも警察官に射殺されたギャング6人の遺体に火が放たれたと伝えられている。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは半年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げており、国連はこの争いで民間人数百人が死亡または行方不明となり、数十万人が国外に逃亡したと推定している。
報道によると、ここ数日のギャングによる暴力で警察官3人が負傷し、ポルトープランスの一部地域には自警団の検問所が設置されたという。
自警団は町を守るために銃、ナタ、火炎瓶などで武装し、大人数でギャングに襲いかかっているようだ。
警察の報道官は「ギャングの暴力に対する市民の怒りを理解している」と述べたうえで、自警活動は違法行為であり、罪に問われるだけでなく、自分や家族の命を危険にさらす可能性があると警告した。