◎ウクライナ侵攻が始まって以来、多くの悲惨な動画がネットで拡散している。
ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は12日、ウクライナ兵がロシア兵に斬首されるように見える動画が拡散したことについて、世界の指導者に対応を呼びかけた。
ゼレンスキー氏はビデオ演説の中で、「誰もが反応し、行動しなければならない」と訴えた。
ウクライナ保安局(SBU)は声明で、「戦争犯罪について調査している」と述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。
一方、ロシア大統領府はこの動画を「ひどいもの」と呼び、その背後に誰がいるか、真偽を確認する必要があると述べた。
この動画はテレグラムで拡散。スマートフォンで撮られたとみられる。斬首されたように見える兵士はウクライナ軍の腕章のように見えるものを身に着けていた。
ロシア兵のように見える男たちはロシア軍の白い腕章のように見えるバンドを巻いている。
男たちはロシア語を話しているが、ウクライナ人もロシア語を話すため、ロシア兵と断定することはできない。
黄色い腕章をつけたウクライナ兵のようにみえる男性は足にバンドをつけた男にナイフで首をはねられたように見える。
男のボディアーマーには「パニッシャー(私刑執行人)」のドクロマークらしきものが描かれている。似たような服を着た兵士は両軍で確認されている。
ソーシャルメディアではこの動画がウクライナ東部ルハンシク州クレミンナで撮影されたという憶測が拡散している。
この映像がいつ、どこで、誰が撮影したかは不明である。SNSでは昨年の春から夏の間に撮影されたという噂が広がっている。あるツイッターユーザーは「映像に写っている葉が鮮やかな緑色をしている」と指摘したが、映像はその気になれば好きなように加工できる。
この映像は親ロシア派の人気ブロガーが11日遅くに拡散した。
ブロガーはこの動画について、「オリジナルではなく、以前からテレグラム上に存在していた」と主張している。
その後、ツイッターでも拡散した。
ロシア大統領府のペスコフ(Dmitry Peskov)報道官は12日、「我々はフェイクだらけの世界に住んでおり、真偽を確認する必要がある」と指摘した。
SNSでは斬首されたとみられる兵士2人の遺体を映した別の動画も拡散している。
この動画にはウクライナ軍が使用している装甲車のように見えるものが移っている。撮影者とみられるロシア語を話す男は「地雷の上を走ったぞ」と言っている。そして、頭と手が欠落したウクライナ兵のように見える2人の遺体が映る。
遺体の右上腕にはウクライナ軍の腕章のように見えるものがついていた。
SNSではこの動画について、東部ドネツク州の激戦地バフムートでロシアの民間軍事会社ワグネルが撮影したもの、というコメントが寄せられている。
ワグネルの創設者であるプリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏はこの動画について、「バフムートで撮影されたもの、ワグネルの兵士が関与したものと示す証拠は見つかっていない」と述べている。
ウクライナ侵攻が始まって以来、多くの悲惨な動画がネットで拡散している。