◎中露寄りのカーン氏は昨年4月に不信任決議で弾劾されて以来、政府・司法・軍を批判し、全国各地で集会を開催している。
パキスタンのイスラマバード地裁は28日、カーン(Imran Khan)前首相の逮捕状を発行した。
地裁は逮捕状を発行した理由について、「カーン氏は資産隠しなどの疑いに関する公聴会を欠席した」と説明している。
一方、地裁は同日、カーン氏がライバル政治家の暗殺や接待に関与したとされる別の訴えを棄却した。
イスラマバードの地裁前にはカーン氏の支持者数千人が集まり、裁判所に入るカーン氏に声援を送った。
中露寄りのカーン氏は昨年4月に不信任決議で弾劾されて以来、政府・司法・軍を批判し、全国各地で集会を開催している。
カーン氏は不信任決議に米国が関与していると主張し、シャリフ(Shahbaz Sharif)首相に解散総選挙で「勝負」するよう求めている。
シャリフ氏は任期満了を迎える今年末の選挙でカーン氏の「挑戦」を受ける予定だ。
カーン氏の政党「パキスタン正義運動(PTI)」の報道官は28日、地裁周辺のセキュリティが低下していると懸念を示したうえで、「カーン氏は偽の告発で出頭を命じられた」と主張した。
カーン氏は様々な法的問題を抱えている。
選挙管理委員会は昨年10月、カーン氏が首相在任中に外国高官から受け取った贈答品の売却益を正しく申告していなかったとして、公職に就く資格を5年間剥奪した。
カーン氏は選管の決定に異議を唱え、不正行為を「丸ごと」否定している。
一方、イスラマバード警察は先週、カーン氏の盟友である元陸軍大将を逮捕した。
地元メディアによると、元陸軍大将はテレビインタビューの中で「シャリフ政権はカーン氏の支持者を投獄し続けている」と批判した後、逮捕されたという。警察は認否を明らかにしていない。
カーン氏とシャリフ氏の対立は前例のない経済危機に直面するパキスタン人を動揺させている。
シャリフ政権はカーン氏が政権を握っていた2019年に締結された国際通貨基金(IMF)の救済融資を復活させるべく、交渉を進めている。
米大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスはパキスタンの国債をCaa2からCaa3に格下げし、債務不履行に陥るリスクが高まっていると示唆した。
ムーディーズのグローバル・スケール長期格付けはAaa、Aa、A、Baa、Ba、B、Caa、Ca、Cの9段階。