◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
国連は24日、ハイチ中部でこの数週間、ギャング関連の暴力事件が多発し、少なくとも69人が死亡。地元警察は一部の警察署を放棄せざるを得なくなったと報告した。
国連ハイチ事務所によると、この暴力は中部アルティボニット県で報告され、少なくとも83人が重軽傷を負ったという。
国連は声明で、「地元の武装ギャングが民間人を攻撃している」と非難した。「このギャングは略奪、暗殺、誘拐、破壊、恐喝、若い女性へのレイプ行為などを繰り返し、この地域を恐怖で支配しようとしています...」
また国連は地元警察がギャングの暴力に屈し警察署から撤退したことに深刻な懸念を表明した。「ハイチで活動する複数のギャングは勢いを増し、国を飲み込もうとしています...」
AP通信によると、このギャングは先月下旬に国家警察の職員7人を1日で殺害したという。ギャングの台頭により、この地域の市民約70万人に医療を提供している主要医療機関は1週間前にすべてのサービスを停止せざるを得なくなった。
国連は「学校は閉鎖され、商業活動や公共交通機関も機能不全に陥っている」と指摘した。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは半年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げており、国連はこの争いで民間人数百人が死亡または行方不明となり、数十万人が国内避難民になったと推定している。
ポルトープランスのギャングは市の60%を支配したと推定されている。
国連によると、中部地方の町や集落の住民数千人がこの数週間の暴力で避難を余儀なくされたという。
国連ハイチ事務所は「暴力の連鎖を絶対に止めなければならない」と述べ、国際社会に市民の命と財産を守る手段を講じるよう要請した。
国際社会は主要ギャングに制裁を科し、資産を凍結したり、軍事機器やその他の物資の供給を遮断している。
カナダ、米国、その他の国々はハイチ警察に装甲車、装備、訓練などを提供した。
ハイチのアンリ(Ariel Henry)首相は国連安保理に軍事介入を要請し、米国とカナダに部隊を率いてほしいと提案している。