◎ワグネルの主力部隊はロシア軍の元兵士などで構成され、本体以上の戦力を有すと指摘する専門家もいる。
ロシア南部チェチェン共和国のカディロフ(Ramzan Kadyrov)首長は19日、ロシアの民間軍事会社ワグネルのような会社を設立したいと明らかにした。
カディロフ氏はテレグラムの投稿で、「ワグネルは印象的な結果を収めており、民間軍事会社の必要性を改めて強く感じた」と述べている。
またカディロフ氏は「いつの日か、チェチェンもワグネルのような民間軍事会社を設立する」と表明した。
カディロフ氏はプーチン(Vladimir Putin)大統領の盟友として2007年からチェチェンを統治している。
カディロフ氏は投稿の中でワグネルの戦果を強調し、称賛した。「我々はワグネルがその実力を示し、このような民間軍事会社が本当に必要なのか、という議論に終止符を打ったと確信しています」
またカディロフ氏はワグネルの創設者であるプリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏を「親愛なる兄」と呼び、「兄に負けない民間軍事会社を作ろうと思っている」と語った。「きっとうまくいく。私はやります」
カディロフ氏とプリゴジン氏の部隊はウクライナ侵攻に参戦する一方、ロシア軍の管理外で活動しているとみられる。
2人ともプーチン氏の味方だが、公の場でロシア軍指導部を何度も批判している。
ワグネルの主力部隊はロシア軍の元兵士などで構成され、本体以上の戦力を有すと指摘する専門家もいる。西側はワグネルのような傭兵部隊がウクライナだけでなくロシアをも脅かす可能性があると懸念している。
ワグネルは東部ドネツク州の激戦地バフムートの前線に受刑者や戦闘経験ゼロの素人を投入し、多くの犠牲者を出しながらも少しずつ前進しているとみられる。
米国家安全保障会議は今週、ワグネルが主に東部地域で3万人以上の死傷者を出したとする推計を公表した。
英国防省もワグネルが受刑者や素人を「捨て駒」のように扱い、力づくでバフムート奪還を試みていると指摘した。
米ワシントン・ポスト紙などによると、ロシア大統領府はプリゴジン氏の政治的影響力が高まっていることを懸念し、国防省への批判をやめるよう命じたとされる。
またロシア大統領府は国営メディアにワグネルやプリコジン氏の名前を報じないよう要請したと伝えられている。
カディロフ氏はワグネルについて、「チェチェンが最も必要とするもののひとつ」と評した。