◎中部パンジャブ州の警察署に数百人のイスラム教徒が押し寄せ、冒とく罪で逮捕された男性を誘拐し、公開処刑した。
反イスラムに抗議する人々(Getty Images)

パキスタンの警察当局は11日、中部パンジャブ州の警察署に数百人のイスラム教徒が押し寄せ、冒とく罪で逮捕された男性を誘拐し、公開処刑したと発表した。

地元警察によると、この男性はイスラム教の聖典コーランを侮辱したとして逮捕・拘留されていたという。

怒れる暴徒たちは警察署を襲撃し、はしごを使って署内に侵入。正門を破壊し、男性を誘拐した。

地元メディアによると、暴徒たちは警察署近くで男性をリンチし、死体に火を放ったという。警察は声明で、「署員は暴徒を取り押さえ、男性の遺体を確保した」と述べている。

イスラム国家でコーランを冒涜することは死罪に当たる。パキスタンの刑法も冒とく罪の最高刑を死刑としている。

国際的な人権団体や活動家は冒とく罪の「適用範囲」が曖昧かつ広範であることを非難している。地元メディアによると、処刑された男性はコーランに自分とナイフの写真を貼り付けたり、コーランを投げ捨てたりしたという。

パキスタン政府は長年、冒とく罪を見直すよう圧力を受けてきたが、これに強く抵抗している。

シャリフ(Shahbaz Sharif)首相は11日、リンチ殺人を非難し、パンジャブ州警察に拘留中の男性が保護されなかった経緯を調査するよう命じた。

地元メディアによると、処刑された男性は2019年にも冒とく罪で実刑判決を受け、昨年半ばに出所したという。

地元メディアは関係者の話を引用し、「男性は11日早朝に拘置所内でコーランを冒涜し、乱闘を引き起こした」と報じている。

パンジャブ州警察は事件後、男性を守れなかったとして、署長他数名を停職処分とした。

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