◎爆破されたモスクはペシャワル中心部の州警察本部と同じ敷地内にあり、警察の警備体制に批判が集まっていた。
パキスタン当局は2日、カイバル・パクトゥンクワ州ペシャワルのモスクで先月30日に発生した自爆テロについて、容疑者は警察の制服を着て敷地内に侵入したと明らかにした。
この自爆テロではこれまでに101人の死亡が確認され、200人以上が重軽傷を負った。地元メディアによると、犠牲者のほとんどが警察官だった。
事件後、隣国アフガニスタンの山岳地帯に拠点を置く「パキスタンのタリバン運動(TTP)」の司令官がツイッターに犯行声明を投稿したものの、TTP報道官はその後、関与を否定する声明を出した。
爆破されたモスクはペシャワル中心部の州警察本部と同じ敷地内にあり、警察の警備体制に批判が集まっていた。
カイバル・パクトゥンクワ州警察のアンサリ(Moazzam Jah Ansari)署長は記者会見で、「自爆犯はオートバイを押して、ペシャワルの警備厳重な警察・政府施設内にあるモスク前に到着した」と語った。
アンサリ氏は「自爆犯は警察の制服を着ていたため、警備員は同僚であると信じ、身体検査をしなかった」と説明した。
またアンサリ氏はテロに関与または支援した者たちをまもなく逮捕すると示唆。首謀者や便宜を図った者をひとり残らず逮捕し、法の下で裁判にかけると約束した。
国防相と内相は今週、議会演説で隣国アフガンに拠点を置くTTPがテロを決行したと非難した。
TTPとアフガンのタリバンは別組織だが、思想は共有している。TTPはかつてパキスタン南西部バルチスタン州に拠点を置き、現在はアフガンの山岳地帯に潜伏している。
多くの専門家が「タリバンはTTPに銃器や弾薬を供与している可能性が高い」と指摘しているが、タリバンはTTPとのつながりを強く否定している。
アンサリ氏によると、負傷者の大半は爆発ではなく、モスクの屋根の崩落に巻き込まれ重軽傷を負ったという。
アンサリ氏は現地のCCTVカメラ映像を公開した。そこには自爆犯とみられる警察の制服を着た男がオートバイを押す姿が映っていた。
アンサリ氏は警備に問題があったことを認め、責任を取ると述べた。
現場のモスク前では地元の市民活動団体などによる抗議デモが続いている。
1日のデモには州警察の署員数十人が参加し、TTPの暴力と政府を非難した。署員のひとりは、「警察官は使い捨ての駒ではない」と叫び、政府に抗議した。