◎外貨不足と対外債務の処理に苦しむパキスタンは劇的な通貨安に見舞われ、危機の真っただ中にいる。
パキスタン、首都イスラマバードのガソリンスタンド(Getty Images)

パキスタン政府は29日午前、レギュラーガソリンとディーゼルの価格を引き上げると発表した。

財務省はこの値上げについて、国際通貨基金(IMF)の融資プログラムを受ける条件のひとつと説明している。

同省によると、値上げ後の全国のレギュラーガソリン価格はリッター249.8パキスタンルピー(約130円)、ディーゼルは262.8Pルピー(約136円)となる。

新価格は29日の現地時間午前11時に適用となり、地元メディアのよると、全国のガソリンスタンドは時間に合わせて価格を引き上げたという。

財務省は声明の中で、「値上げは国際石油価格とルピー安を考慮している」と説明した。

地元メディアによると、一部地域で数日前から燃料の買い占めが確認されていたという。

財務省の発表後、首都イスタンブールのガソリンスタンドには長蛇の列ができた。

SNSには政府の決定に抗議する投稿が相次いで寄せられている。

国税局の前局長はツイッターに、「政府は低中所得者層がインフレに苦しんでいることを知らないのか?」と投稿している。

第2の都市ラホールのガソリンスタンドで給油した男性はAP通信の取材に対し、「インフレは市民の命を奪うと思う」と語った。「政府の不作為で国の首が回らなくなったことは理解していますが、リッター250Pルピーは受け入れがたい,,,」

外貨不足と対外債務の処理に苦しむパキスタンは劇的な通貨安に見舞われ、危機の真っただ中にいる。Pルピーは今週、1ドル=250Pルピーまで値下がりした。

シャリフ政権は中露寄りのカーン(Imran Khan)前首相が積み重ねた債務の処理にも苦労しており、IMFに救済を求めている。

しかし、IMFは2019年に承認した分割融資60億ドルのうち、昨年11月に融資する予定だった11億ドルをまだ承認していない。IMFは政府に歳出削減や税制改革などを求めている。

地元メディアによると、同国の外貨準備高は3週間分の輸入品を支払うほどしか残っていないという。IMFの代表は今週、パキスタンを訪問する予定だ。

パキスタンは先週、全国的な停電に見舞われ、数百万人が影響を受けた。専門家によると、停電の原因は主に電力設備の管理不行き届きと投資不足だという。

国営電力会社も予算不足の影響を強く受けているようだ。

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